Stéphane Galland & Adriaan Van de Velde 『Polar Dwarfs』
ベルギー出身のドラマーステファン・ギャラン(Stephane Galland)と、鍵盤奏者アドリアーン・ファン・デ・ヴェルデ(Adriaan Van de Velde)による新しいプロジェクト、ポーラー・ドワーフズのデビュー作『Polar Dwarfs』は、大胆なシンセ使いが印象的なインパクト抜群のエレクトロ・ジャズファンクだ。
全編クレイジーなリズムとシンセサウンドに溢れ、聴いていてニヤニヤが止まらない。アシッドジャズの影響もありそうなグルーヴは有機的で、どことなくハービー・ハンコックの70年代の“ヘッドハンターズ”の正統進化をも思わせる。(2)「Near Birth Experience」にはベトナム系フランス人ギタリストのグェン・レ(Nguyen Le)が、そして(6)「Synth-Ethic Selection」にはインドの打楽器奏者B.C. Manjunathが口ドラム(コナッコル)で参加し多様性に華を添える。
1曲の間で様々な表情を見せ、後半ではレゲエやダブの要素も取り入れたスペイシーな(5)「A Day on KOI 5715.01」は、生命が居住可能ともされる太陽系外惑星“KOI 5715.01”をテーマにしている。この曲は極地のドワーフ(Polar Dwarfs)の二人が、地球を離れ一日この惑星に住んで探索をしてみるという物語をモチーフとしている。
この曲に代表されるようにアルバム全編にSF感覚が溢れ、好奇心を強く刺激する楽しい作品となっている。
Polar Dwarfs プロフィール
首謀者ステファン・ギャランは1969年生まれ。1992年に結成されベルギーのジャズシーンに一石を投じたアヴァン・ジャズバンド、Aka Moonのドラマーとして知られる。2011年に始動したプロジェクト、Lobiではアルメニアの天才ピアニスト、ティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)らと共演。2014年からはフランスのトランペット奏者イブラヒム・マアルーフのバンドのレギュラーメンバーとなるなど常に新しく刺激的な音楽を追求している。
アドリアーン・ファン・デ・ヴェルデはPomrad名義でも知られるベルギー・アントワープ出身の鍵盤奏者/作曲家。電子音楽やヒップホップに強く影響されたサウンドで知られ、ロングヒットとなった2013年作『This Day EP』は広く称賛された。
Polar Dwarfs :
Stéphane Galland – drums, programming, composition
Adriaan Van de Velde – keyboards, composition
Guest :
Nguyen Le – guitar (2)
B.C. Manjunath – konnakol (6)