2010年代の革新的な「#UNADECADA」プロジェクトの再発見
2003年にスペイン・マドリードで結成されたデュオ・グループ、カンテカ・デ・マカオ(Canteca de Macao)が、結成10周年を記念して2013〜2014年にかけて展開した革新的なトランスメディアプロジェクト「#UNADECADA」。毎月15日にYouTubeで新曲とMV(ミュージック・ヴィデオ)を公開するというこのプロジェクトは、直前に行われたスペイン音楽史上最大規模の600人が参加したクラウドファンディングのプロジェクトとともに、音楽がフィジカルからインターネット配信での消費に移行する過渡期であった当時、大いに注目された。
今回紹介する『Unadecada』は、この先駆的なプロジェクトを、今日のストリーミング時代に合わせてデジタル配信した再リリース盤だ。ファンに二次創作や共有(シェア)を促進し、現代のSNS時代に通じるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の原型としても評価された当時の時代性を象徴するプロジェクトへの進歩的な再訪だ。
アルバムはフラメンコを基調に、レゲエ、スカ、ロックなどを融合させた彼らの独特の音楽性を存分に楽しめるものとなっている。単なる再発に留まらず、未発表の(4)「Circo Fúnebre」や、2000年代を代表するバルセロナ・ミクスチャーバンドであるオホス・デ・ブルッホ(Ojos de Brujo)のDJ Pankoによるリミックスの(8)「Nunca Es Tarde」といった楽曲も含まれており、カンテカ・デ・マカオのキャリアを総括的に振り返るものとなっている。
彼らは2017年に一度解散を宣言していたが、公式な活動の節目にあたる結成20周年を記念する形で今作のリリースとともにライヴ活動を再開。フラメンコ・ミクスチャー文化を次世代へと繋いでゆく。
Canteca de Macao プロフィール
カンテカ・デ・マカオは、2003年にスペイン・マドリードで歌手アニータ クルーバ(Anita Kuruba)とギタリスト/歌手チキ・ローラ(Chiki Lora)を中心に結成された。フラメンコを基調にレゲエ、スカ、ルンバを融合させた独自のミクスチャー・スタイルと、情熱的なライヴパフォーマンスで知られる。
多国籍のメンバーにより構成され、路上ライブからスタート。2004年のデモテープは50万回以上ダウンロードされ、2007年にWarner Musicと契約してアルバム『Camino de la vida entera』をリリース。スペイン国内外で100回を超える公演を行い、メキシコ、アルゼンチン、ニューヨークなど国際的に活躍した。2011年にメジャーを離れ、クラウドファンディングで2012年に『Nunca es Tarde』を制作。2013年の結成10周年にはトランスメディアプロジェクト「#UNADECADA」を展開し、毎月YouTubeで新曲動画を公開する先進的な試みを行った。2014年にCD+DVD『Una Década』、2015年に『Lugares Comunes』をリリースしたが、2017年に一旦活動を休止し、メンバーらはソロキャリアを歩み始めた。
2026年、結成20年を超える節目にマドリードのTeatro Eslavaで記念ライブを開催し、過去の傑作『Unadecada』のデジタル再配信も実現。
社会性のある歌詞とエネルギッシュなサウンドは、今も世界中のファンを魅了し続けている。