グアドループの音楽一家に育ったクレリア・アブラハム、デビュー
兄妹バンド、アブラハム・レユニオン(Abraham Réunion)でピアノやコーラスを担当していたグアドループ出身のクレリア・アブラハム(Clélya Abraham)がソロデビュー作『La source』をリリースした。
彼女は明るい音色と確かなテクニックのピアノのほか、数曲でヴォイスも聴かせる。燦々としたラテンの気分と、そこに時折現れるカリブ海における奴隷貿易の悲しい記憶……それらをジャズの開かれた自由の中でありのままに表現する。
カルテット編成のバンドで演奏される本作はクレリアのほか、ギターのアントニン・フレッソン(Antonin Fresson)、ベースのサミュエル・フィマ(Samuel F’Hima)、ドラムスのティロ・ベルトロ(Tilo Bertholo)のカルテット編成。クレリア・アブラハムによる作曲は作り込まれており、1曲ごとに聴きごたえがある。
(3)「Outre Mer」でクレリアはクレオール語の歌詞でヴォーカルも披露する。レユニオン島に伝わる伝統音楽マロヤからグアドループの伝統音楽などルーツを次々と明らかにしながら、彼女の音楽表現のベクトルは明らかに未来に向いている。
今後の活躍が期待できそうな、そんな素晴らしいデビュー作だ。
Clélya Abraham プロフィール
クレリア・アブラハムはフランス海外県グアドループの音楽一家に生まれ、現在はパリを拠点に活動している。ヴァイオリンやピアノを習い、早い頃から作曲をおこなっていた。成長の過程でジャズやソウル、カリブ海の音楽、ブラジル音楽、アフリカ音楽などを幅広く吸収し、ディディエ・ロックウッド(Didier Lockwood)が設立したパリの音楽学校に入学。多くの仲間と出会い、リーダーまたはサイドウーマンとしてMaë Defays、Crafting quintet、Teddy Sorrès、Ora projectなど様々なプロジェクトに参加した。
兄妹のザカリー(Zacharie)、シンシア(Cynthia)もミュージシャンで、2020年には兄妹3人に加えアーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)をドラムスに迎えたアルバム『Abraham Réunion』をリリースしている。
Clélya Abraham – piano, vocal
Samuel F’Hima – contrabass
Tilo Bertholo – drums
Antonin Fresson – guitar, voice