葡歌手と伯ギタリストによるユニットOrfélia、ルゾフォニアの伝統を革新的に融和するデビュー作

Orfélia - Tudo o Que Move

ポルトガル×ブラジルのデュオ Orfélia デビュー作

ポルトガル出身のシンガー/鍵盤奏者アンテラ(Antera)とブラジル出身のギター奏者フェリペ・マットス(Filipe Mattos)がベルリンで出会い誕生したユニット、オルフェリア(Orfélia)初のフルレンス・アルバム『Tudo o Que Move』。両国の伝統的なリズムとサイケデリアが混ざり合い、絶妙な浮遊感のある夢心地のサウンドが展開される。

音楽的にはシコ・ブアルキ(Chico Buarque)、カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)といったブラジルの巨匠たちからシャンソン歌手のジャック・ブレル(Jacques Brel)、“ファドの女王”ことアマリア・ロドリゲス(Amália Rodrigues)、さらにはビートルズ(The Beatles)など広範囲からの影響が窺える。アルバムのタイトルもジルベルト・ジル(Gilberto Gil)の曲「Aqui e Agora」の一節“Amor é tudo que move(愛がわたしたちを動かすすべて)”から採られているというが、こうした伝統的な音楽からの強い影響を受けつつもサウンド自体は現代的に洗練された作品となっている。

(2)「Tudo o Que Move」

ブラジルとポルトガル、サンバとファドが対比ではなく歩み寄り融和する音楽性が印象的だ。アコースティックとエレクトリックも境界なく混ざり合い、伝統を保ちつつも積極的に変容を受け入れ、促す。
アルバムのラスト(9)「Tempo de Carnaval」でのフェードインするサンバは、リスナーを彼らのカルナヴァルの行進に招き入れようとしているように感じる。

プロフィール

Orfélia は舞台芸術を専攻しクラシックのピアノと歌を学んだポルトガル・ラゴス出身のアンテラ(本名:Anaïs Thinon)と、ポルトガル文化の影響が強いブラジル南部の都市フロリアノポリス出身のギタリストであるフェリペ・マットスにより2019年に結成され、同年4曲入りEP『Retratos Temporais』をリリース。2020年にはボーダフォンとソニーミュージック・ポルトガルが主催したInéditos Vodafone コンテストにシングル「Lagos」が入賞した。

Orfélia :
Antera – piano, keyboards, vocals
Filipe Mattos – guitar, keyboards, vocals

Orfélia - Tudo o Que Move
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