イスラエルのショーロ・バンドによる至上のアルバム『Encontros』
フルート/アコーディオン奏者/作編曲家サリット・ラハヴ(Salit Lahav)率いるイスラエルのショーロ・アンサンブル、ショローレ(Chorolê)の新作『Encontros』。ほとんどはブラジルのショーロのカヴァーで、ショーロとしてはオーソドックスな編成に、即興ではジャズのアプローチをしっかりと持ち込んだ極上のアルバムになっている。
アルバムはサリット・ラハヴのフルートが小鳥のように軽やかに舞う(1)「Pro Paulo」で幕を開ける。
バンドのメンバーはイスラエル出身のパンデイロ奏者オデッド・アロニ(Oded Aloni)と7弦ギター奏者ニル・スタインバーグ(Nir Steinberg)の二人に、ブラジル出身のカヴァキーニョ奏者ダニエル・リング(Daniel Ring)というイスラエルとブラジルの混成。
モアシール・サントス(Moacir Santos)作曲の(3)「Coisa N. 10」にはChorolêのオリジナルメンバーで、近年はイスラエルのスーパーバンド、ピンハス&サンズ(Pinhas & Sons)にも加入したクラリネット奏者ヨナタン・ハダス(Jonathan Hadas)が参加。
ハダメス・ジナタリ(Radames Gnattali)作曲の組曲「Suite Retratos」から(4)「Pixinguinha」、(5)「Chiquinha Gonzaga」、そしてラストのシヴーカ(Sivuca)の名曲(11)「Feira de Mangaio」には弦楽五重奏も参加しアンサンブルを厚くしている。
(8)「Yaô」にはアナ・コスタ(Ana Costa)が、(9)「Doces Recordações」にはニウジ・カルヴァーリョ(Nilze Carvalho)がそれぞれ歌手としてゲスト参加している。ブラジルのサンバ音楽を代表するこの二人はサリット・ラハヴにとっても憧れの存在であり、遠隔での録音ではあるものの共演の願いが叶ったことは彼女にとっても大きな喜びだっただろう。
イスラエルを代表するショーロ音楽家、Salit Lahav
サリット・ラハヴ(Salit Lahav)はフルート、アコーディオンで国際的な評価を得ている。イスラエルでのショーロの普及を目指すグループ、Clube do Choro de Israel の中心人物としてブラジルやラテンの音楽に傾倒しており、これまでにヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)、ギンガ(Guinga)、エドマール・カスタネーダ(Edmar Castaneda)といった主要ミュージシャンとステージや録音で共演してきた。
現在はイスラエルのショーロ・アンサンブル Chorolê や、ブラジリアン・ジャズと地中海音楽を融合させたバンド、QuatRio のメンバーとしても活躍している。
Chorolê :
Salit Lahav – flute, accordion
Daniel Ring – cavaquinho
Oded Aloni – pandeiro
Nir Steinberg – 7 string guitar
Guests :
Pedro Franco – bandolim (2)
Jonathan Hadas – clarinet (3)
Ana Costa – vocal (8)
Nilze Carvalho – vocal (9)
Daniela Spielmann – saxophone (10)
Hagar Maoz – violin (4, 5, 11)
Asaf Maoz – violin (4, 5, 11)
Marta Sikora – viola (4, 5, 11)
Rafael De Caboclo – cello (4, 5, 11)
Antonino Tertuliano – contrabass (4, 5, 11)