グナワのDNAを注入するジャムバンド Club d’Elf、亡き盟友に捧げた最新作『Loon & Thrush』

Club d'Elf - Loon & Thrush

クラブ・デリフ、唯一無二のグルーヴを炸裂させる新譜

ジャズやファンクにグナワ音楽を持ち込み、その強烈なグルーヴで四半世紀以上にわたり人々を踊らせてきた米国のジャムバンド、クラブ・デリフ(Club d’Elf)。バンドにグナワの遺伝子を注いだ活動初期からの最重要メンバーであるモロッコ出身のブラヒム・フリーブガーン(Brahim Fribgane)は2024年初頭に亡くなったが、彼への追悼とともに“トランス体験”を是とするコレクティヴの根幹的な魂が健在であることを証明したのが、2026年4月にリリースされた最新作『Loon & Thrush』だ。

(2)「Loon and Thrush」

今作は主にバンドの揺るぎないリーダーであり、ベーシストとして骨格を支えるマイク・リヴァード(Mike Rivard)のオリジナル曲でのワンテイクの即興演奏を中心に構成されているが、彼の主たる影響源であるグレイトフル・デッド(Grateful Dead)の名曲である(1)「Bird Song」と(5)「New Speedway Boogie」に彼らなりの編曲──つまり、抗いがたいモロッコ風のエッセンス──を施したカヴァーも含まれている。

(1)「Bird Song」

ミスター・ローク(Mister Rourke)の支配的なターンテーブルや適度なダブ処理が随所で効いた(2)「Loon and Thrush」、ほぼ完全なグナワのグルーヴで蘇ったグレイトフル・デッドの(5)「New Speedway Boogie」、ニューオーリンズ風のシャッフル・ビートと絢爛なブラスが気分を高揚させる(6)「Second Line」などは今作の最高峰。
(10)「Level Up Your Soul」にはバーモント州バーリントンを拠点に活動するSSW、ヘイリー・ジェーン(Hayley Jane)がスペシャル・ゲストとして参加。今作唯一のヴォーカル・トラックを類稀な表現力で彩っている。

Club d’Elf 略歴

クラブ・デルフ(Club d’Elf)は、米国ボストンを拠点とするモロッコのトランス音楽を深く取り入れたことで知られるサイケデリック・ダブ・ジャズ・コレクティヴ。モーフィン(Morphine)の故マーク・サンドマン(Mark Sandman, 1952 – 1999)の強い勧めによりマサチューセッツ州ケンブリッジのリザード・ラウンジ(Lizard Lounge)でレジデンシーを開始し、固定されたフロントマンやラインナップを持たない集団的な即興性を追求するプロジェクトとしてベーシスト/作曲家のマイク・リヴァード(Mike Rivard)を中心に1998年にスタートした。

以来、四半世紀以上の長きにわたり、モロッコのトランス、ダブ、エレクトロニカ、ジャズ、即興ファンクを融合させた変幻自在の音楽で聴衆を時間の束縛から解き放ち、恍惚的なグルーヴの扉を開き続けてきた。マイク・リヴァードのベースと作曲を中心に、ボストンやニューヨークをはじめとする各地からミュージシャンが参加し、常に移ろいゆく生態系を形成。音楽的な美学は“トランス体験”で、1999年にモロッコ・カサブランカ出身のウード/打楽器奏者ブラヒム・フリーブガーン(Brahim Fribgane)が加入したことでモロッコのグナワ音楽をアイデンティティのレベルにまで深く取り入れることになった。

マイク・リヴァード自身もグナワで欠かせない楽器であるシンティール(別名:ゲンブリ)を学んだ。ブラヒム・グリーブガーンは2024年初頭に逝去したが、彼の精神は今もなおバンドに強い影響力を保っている。

これまでにジョン・メデスキ(John Medeski)、DJロジック(DJ Logic)、デヴィッド・フュージンスキー(David Fiuczynski)といった異才たちと多くの共演を果たしてきた彼らは、伝統への敬意とアヴァンギャルドな精神を併せ持つ稀有な存在として北米のジャズ/ジャムバンド・シーンにおいて唯一無二の地位を確立している。

Tom Hall – tenor saxophone, baritone saxophone (2, 6, 9)
Alex Lee-Clark – trumpet (2, 6, 9)
Brian Thomas – trombone (2, 6, 9)
Duke Levine – guitar (2, 4, 6, 9), slide guitar (5), electric sitar (1)
Kevin Barry – lap steel (1, 2, 4, 5, 6)
Lyle Brewer – guitar (1, 3, 8)
Randy Roos – guitar (7, 8)
Jeff Lockhart – guitar (3)
Reeves Gabrels – guitar (10)
Paul Schultheis: Rhodes (2, 4, 6, 9), organ (1, 5, 6, 9), Moog (4), Mellotron (7, 8)
Amy Bellamy – Rhodes, organ, clavinet (3)
Sam Gilman – Wurli, Moog (10)
Neil Larson (a.k.a. Dr Nigel) – Rhodes, beats, synth (10)
Mister Rourke – turntables
Mike Rivard – electric bass (1, 2, 3, 4, 7, 8, 9), sintir (5-7), acoustic bass (10), tamboura (10)
Matt Kilmer – djembe, frame drum, karakab, shaker (1, 2, 5, 8)
Dean Johnston – drums (1, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 9)
Erik Kerr – drums (3)
J.Hilt – drums (10)
Dave Mattacks – drums (10)
Hayley Jane – lead & background vocals (10)

Club d'Elf - Loon & Thrush
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