アンドレア・モティスがチリの室内楽団と奏でる、ラテンアメリカの幸せな“2月”の歌たち

Andrea Motis - Febrero

アンドレア・モティス新作はチリの室内楽団との素敵なコラボレーション

カタルーニャの歌手/トランペット奏者アンドレア・モティス(Andrea Motis)が、南米チリの室内楽団カメラータ・パパゲーノ(Camerata Papageno)と録音した新譜『Febrero』がリリースされた。タイトルは「2月」の意味だが、北半球の寒い2月ではなく、南米の暑い夏を祝う意が込められている。毎年のようにチリを訪れているアンドレア・モティスにとって、2月とは“喜び、カーニバル、友情、花、太陽、光、熱の象徴”なのだという。

アンドレア・モティスと、カメラータ・パパゲーノの芸術監督でありギタリストのフェデリコ・ダンネマン(Federico Dannemann)によって選ばれたレパートリーはラテンアメリカやブラジルの名曲、そして2曲のブロードウェイの名曲も含まれている。アンドレアはトランペットと歌を、そして彼女のパートナーであるサン・アンドレウ・ジャズバンド出身のクリストフ・マリンジャー(Christoph Mallinger)がヴァイオリンとマンドリンのソリストを務め、フェデリコ・ダンネマンはギターと編曲を担当。編曲は北米的なジャズとポピュラー音楽にラテンアメリカのエッセンスが加わった素敵なもので、アンドレア・モティスの飾らないヴォーカルがよく映える。

アルバムは優しい曲で幕を開ける。この(1)「La Pajita」はオラシオ・サリナス(Horacio Salinas)作曲、ガブリエラ・オリバレス(Gabriela Mistral)作詞による1981年の曲で、チリでは子どもから大人までよく知られた曲のようだ。アンドレアとクリストフ夫妻の間にも幼い子どもがいるが、ここではアンドレアの母親らしいあたたかな一面がよく表れている。後半のクリストフ・マリンジャーによるマンドリンのソロも素晴らしい。

ストリングスの魅惑的なハーモニーに導かれる(2)「The Man I Love」はガーシュウィン兄弟(George Gershwin, Ira Gershwin)の曲。(3)「Carinhoso」は“ブラジル音楽の父”ピシンギーニャ(Pixinguinha)。ピアノを弾くのはアルゼンチンのアカ・セカ・トリオ(Aca Seca Trio)のアンドレス・ベエウサエルト(Andrés Beeuwsaert)だ。

ジャズ・スタンダードの(4)「Someone to Watch Over Me」

言わずと知れたアントニオ・カルロス・ジョビン(Antônio Carlos Jobim)の代表曲(5)「Garota de Ipanema」もボサノヴァを下敷きにしつつも程よくユニークなストリングスやピアノのアレンジが施されている。トランペットやヴァイオリンのソロもよく、ベタな選曲の割に楽しめる。

(5)「Garota de Ipanema」

メキシコの作曲家アグスティン・ララ(Agustín Lara)によって1935年に作曲された(6)「Noche de Ronda」はメキシコを代表する1曲で、のちにナット・キング・コール(Nat King Cole)やイーディ・ゴーメ(Eydie Gormé)ら多くの歌手によってカヴァーされた。ここでは少しおどけたようなアレンジが秀逸で楽しい仕上がりとなっている。

(8)「Perfidia」はメキシコの作曲家アルベルト・ドミンゲス・ボラス(Alberto Dominguez Borras)が1939年に作った古典的作品。ベンチャーズ(The Ventures)によるカヴァーや、映画『カサブランカ』での使用でも知られている。

(9)「El Carnaval」

Andrea Motis 略歴

アンドレア・モティスは1995年スペイン生まれ。7歳の頃からサン・アンドレウ音楽学校で学び、ベース奏者/音楽教育者ジョアン・チャモロ(Joan Chamorro)が主宰するジャズバンドには12歳から参加。すぐに同バンドのフロントに立つようになり、歌、トランペット、ときにはサックス奏者としても活躍。のちにリタ・パイエス(Rita Payes)やマガリ・ダッチラ(Magali Datzira)、エリア・バスティーダ(Elia Bastida)などを送り出した同バンドが輩出した最初の世界的スターとなった。

2017年に『Emotional Dance』、2019年には『もうひとつの青』などソロ作もリリース。日本ではブルーノート東京などで公演を行い人気に。近年は欧州を代表するビッグバンド「WDR Big Band」との共演作『Colors & Shadows』(2021年)など活躍の幅を広げている。

Andrea Motis – trumpet, vocal
Christoph Mallinger – violin, mandolin
Federico Dannemann – guitar

CAMERATA PAPAGENO :
Felipe Muñóz García – 1st violin
Yerson Navarro Carvajal – 1st violin
Tomás Ruz Flores – 1st violin
Esteban Vergara Soto – 2nd violin
Anais Valencia Peralta – 2nd violin
Tania Painemal Ahumada – viola
Lua Suau Radovcic – viola
David Carrasco “Afro” – cello
Patricio Díaz Alarcón – cello
César Villagra CARREÑO – classical contrabass

Winds & Rythm Section :
Andrés Beeuwsaert – piano
Diego Vieytes – flute, piccolo
Pascal Montenegro – oboe
Alfonso Vergara Valencia – clarinet, bass clarinet
Camila Benítez Soto – fagott
Carlos Cortés – drums, percussion
Tomás Moreno – percussion
Pablo Jara – guitar, cuatro
Milton Russell – contrabass

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