アリスティ新作『En busca del flow perdido』
コロンビア・マニサレス出身のシンガーソングライター、アリスティ(Aristi)の新作『En busca del flow perdido』。クンビア1を基調とし、優しく温かみのある声や素朴な楽曲構成、適度に緩いライヴ感のあるギターやパーカッション、管楽器などの演奏もなんとも言えず素敵で味わい深い。
アルバムのタイトルはスペイン語で「失われた流れを求めて」の意味で、今作のルーツ回帰志向を象徴する。
アリスティは、実験的ロックバンドの「Animales Blancos」や「Coco Mano」などの活動で知られるセルヒオ・ゴンサレス・アリスティサバル(Sergio Gonzalez Aristizabal)のソロプロジェクト。2019年に『De Sol a Sol』でソロデビューし、以降精力的に活動を行っている。彼のこれまでの作品は伝統的な音楽の価値観に根差しながらも、エレクトリックやラップの導入などより独創的なものが多かったが、4作目となる今作は彼自身初のクンビアに焦点を当てた作品となっている。
- クンビア…コロンビアの伝統音楽(あるいはダンス)で、2/4拍子のシンプルなリズムを持つ。先住民、ヨーロッパからの入植者、アフリカから奴隷として連れてこられた人々の文化的要素が含まれている。1950〜60年代以降形式化、ポピュラー音楽化が進み、ペルーのフォルクローレにも似たシンプルなコード進行、レゲエにも通ずる裏打ちのリズムが特徴的となっている。 ↩︎