インド系スウェーデン人音楽家イシャークによるサイケロック作
インド系スウェーデン人アーティスト、イシャーク(Ishaaq)ことイサク・クラッソン(Isak Klasson)率いるイシャーク・アーキストラ(Ishaaq Aarkistra)。2026年作『Arikomban Space』は、インドのラーガをベースに西洋音楽の馴染みやすさで繕った、サイケデリックでスピリチュアルな怪作だ。ドラムス、タブラ、ペダルスティールギター、バンスリ、シンセ、そしてヴォーカルという奇特な編成で、即興も重視された60〜70年代風のレトロなバンドサウンドも魅力的だ。
サイケロックとインド音楽の融合という点では、どことなくシタール奏者アナンダ・シャンカール(Ananda Shankar, 1942 – 1999)の名盤『Ananda Shankar』(1970年)をも彷彿させる。各楽曲は比較的シンプルなフレーズを基本とするが、即興のバリエーションや音響処理などによって飽きさせることなく、ドープな中毒性が最高だ。
アルバムタイトルは、Ishaaqのルーツであるインド南部ケララ州の象の個体アリコンバン(Arikomban)に由来する。この象は「米泥棒象」としてインドメディアでならず者と呼ばれ、米を求めて地元の商店を襲撃し多数の死傷者を出したことで有名になった。しかし実際は、生息地の森林を人間が開発したことによって自分の空間(=space)がなくなった結果の行動だったとIshaaqは指摘する。象はただ新しい場所で米を見つけて食べただけであり、このことにインスパイアされ“変わりゆく空間・境界を超えた自由な世界”を象徴するものとして、『Arikomban Space』と題された。
Ishaaq Aarkistra 略歴
Ishaaq Aarkistraは、スウェーデン在住のミュージシャン、Ishaaq(Isak Klasson)が率いるアンサンブル。Ishaaqはスウェーデンで育ち、インド系ハーフ(インド・スウェーデン二重国籍)というルーツを持つ。2000年代初頭にインディーポップバンド Speedmarket Avenue のシンガー・ギタリスト・ソングライターとしてElefant Recordsからリリースし、その後ソロとしてIshaaq名義でインド古典音楽寄りのスピリチュアルなスタイルへ移行した。
「Aarkistra」という名前は、ウルドゥー語で「orchestra(オーケストラ)」をスウェーデン風に捩った造語。『Arikomban Space』(2026年)では、インドと西洋の融合をさらに深化させた境界のない即興中心の音楽を追求。Ishaaq自身が「自分のインド・スウェーデン両方のルーツを直接反映した音楽」と位置づけている。
Ishaaq Aarkistra :
Konrad Agnas – drums
Daniel Bingert – synthesizer, keyboards
Suranjana Ghosh – tabla
Nicolo Melocchi – bansuri flute
Simon Svärd – pedal steel
Tripti Sharma – vocals
Ishaaq – swarmandal, vocals, arrangements