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田方 春樹(Haruki Tambo)

  • 2023-08-10
  • 2023-08-10

現代地中海ジャズの最高峰!アヴィシャイ・ダラシュが提示する高次元の“異国音楽体験”

アンダルシア、北アフリカ、中東といった地中海を取り囲む地域の豊かな伝統音楽と西洋のクラシック音楽がジャズという言語のもと、最高のレベルで出会った作品と言っても過言ではないだろう。イスラエル出身、オランダ・アムステルダムを拠点に活動するアヴィシャイ・ダラシュ(Avishai Darash)が、彼が芸術監督を務めるマルムーシャ・オーケストラ(Marmoucha Orchestra)を率いて録音したアルバム『Andalusian Love Song』。それぞれ出自の異なる15名の個性的な音楽家たちによる祝祭の饗宴。

  • 2023-08-09
  • 2023-08-05

夏を彩るブラジル発の超絶良質音楽。レオ・ミデア新譜『Gente』

サンバやボサノヴァ、トロピカリアなどブラジルのオールドスクールを現代の感性でアップデートしたリオデジャネイロ出身の気鋭SSWレオ・ミデア(Leo Middea)の5thアルバム 『Gente』が素晴らしい。ブラジルらしい洗練されたリズムやハーモニーの感覚、オーガニックなヴォーカルやアンサンブル、さりげなく効果的に加えられたエレクトロニック。今ブラジルやヨーロッパで人気のアーティストだ。

  • 2023-08-08
  • 2023-08-07

アフリカ発の洗練されたJazzy R&B。JazzZ & Tenten『Absinthe』

ナイジェリアのヴォーカリストJazzZと、ジンバブエのプロデューサーTentenの共同プロジェクトによる初のリリース『Absinthe』。ジャズ、R&B、ヒップホップ、ソウルなどの影響がバランスよく織り込まれたそれぞれ短めの14のトラックはどれも清涼で洗練されており、心地よい時間へとリスナーを誘う。

  • 2023-08-06
  • 2023-08-05

黄昏時の魔法のような音楽。フィンランドの“電気羊飼い”が示す伝統と革新の狭間

“電気羊飼い”を意味するグループ名を持つフィンランドの3人組ユニット、セーコパイメン(Sähköpaimen)の2ndアルバム『Hämärä』は非常に興味深い音楽作品だ。アルバムタイトル「Hämärä」とは“黄昏”の意味で、昼と夜の曖昧な境界線を彼らの伝統と革新の両方に足を踏み入れた音楽性に喩えている。

  • 2023-08-05
  • 2023-08-05

万華鏡のように煌めく“声とピアノ”。ヴァルダン・オヴセピアン&ソン・イ・ジョン 初デュオ作

ワールドワイドに音楽を吸収し、現代ジャズ界で活躍する二人の音楽家──アルメニア出身のピアニスト/作曲家ヴァルダン・オヴセピアン(Vardan Ovsepian)と、韓国出身の歌手ソン・イ・ジョン(Song Yi Jeon)によるデュオ作『Lawless Heart』が届いた。最小限の編成ながら、リズムとハーモニーを高いレベルで追求する二人による圧巻の表現力と、その限りなく透明な美しさに心を動かさせる作品だ。

  • 2023-08-04
  • 2023-08-04

イスラエルのフラメンコギター奏者イダン・バラス、独自の音楽を探求する3rd『Un Momento』

イスラエルのフラメンコ・ギタリスト、イダン・バラス(Idan Balas)の3rdアルバム『Un Momento』がリリースされた。彼のこれまでの作品と同様に優れたコンテンポラリー・フラメンコの作品となっており、彼のギター・インストゥルメント曲を中心にスペインから歌手を招いた曲や、イスラエル・ジャズの要素を強めた楽曲など非常に幅広くクオリティの高いアルバムだ。

  • 2023-08-03
  • 2023-08-03

ロンドンで活躍するテルアビブ出身鍵盤奏者ヨニ・メイラズ。悪霊祓いをテーマにしたデビュー作

イスラエル出身でロンドンを拠点に活動する鍵盤奏者ヨニ・メイラズ(Yoni Mayraz)による初のフルレンス・アルバム『Dybbuk Tse!』は、ヒップホップやネオソウル、ロックの影響も感じさせるハイブリッドな現代ジャズ作品だ。バンドメンバーには活発なイスラエルのジャズシーンの中でも特に勢いのある精鋭を揃え、先進的な演奏を聴かせてくれる。

  • 2023-07-31
  • 2023-12-02

濃縮された南米音楽の美しさ。最高峰の“声とギター”、パラナ州の男女デュオによる『Macramê』

ブラジル・パラナ州の二人、ギタリストのアンドレ・シケイラ(André Siqueira)と、シンガーのナタリア・レプリ(Natália Lepri)による美しい“声とギター”のアルバム『Macramê』。オリジナルはアンドレ・シケイラ作の(5)「Vozear」のみで、他はエグベルト・ジスモンチ、ギンガ、セルジオ・サントス、カルロス・アギーレ、クチ・レギサモンなど南米の美しい楽曲の極上カヴァーとなっている。

  • 2023-07-30
  • 2023-12-25

モンゴル出身歌手Enji、ジョアナ・ケイロスも参加したアジア的抒情の傑作ジャズ・ヴォーカル作

モンゴル出身の歌手エンジ(Enji)が待望のサードアルバム『Ulaan』をリリースした。前作から引き続きポール・ブランドルがギターを、モンゴル出身のムングントフチ・ソルモンバヤルがダブルベースを担当。さらに今作ではブラジルのクラリネット奏者ジョアナ・ケイロスとドラムス奏者マリア・ポルトガルが全面参加し、アジア的な雰囲気のソングライティングとブラジルの洗練された現代ジャズのエッセンスが魔法のように融合。前作を上回る素晴らしい作品に仕上がっている。

  • 2023-07-29
  • 2023-08-19

ポール・サイモンの生き様が詰まった新作『七つの詩篇』

ポール・サイモン(Paul Frederic Simon)は1941年10月13日、アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューアークのユダヤ人の中流家庭に生まれた。いつも聖書を読み、神が私たち全員に目を留めておられると信じて育った少年は、その後の長い人生を通じて、彼が“家族”と呼ぶ同じくユダヤ系のアート・ガーファンクル(Arthur Ira Garfunkel, 1941 - )とのデュオ時代を含め、史上最多の13度のグラミー賞を受賞し、ミュージシャンとしては唯一「世界で最も影響力のある100人」に選出されるほどの成功を収めた。

  • 2023-07-28
  • 2023-07-27

スペインの歌手アルバ・サントス 2ndはキューバ、ブラジル、インド人混成カルテットによる意欲作

世界がパンデミックの危機に陥る直前の2020年1月、スペイン出身の歌手/作曲家アルバ・サントス(Alba Santos)、キューバのベーシストのアニエル・ソメイラン(Aniel Someillan)、ブラジルのドラマー、イサイアス・アウヴェス(Isaías Alves)、そしてインド出身ピアニストのアヌラグ・ナイドゥ(Anurag Naidú)の4人の傑出した音楽家たちが スリランカに集い、7日間の創造的な合宿で一枚のアルバムを録音した。

  • 2023-07-27
  • 2024-06-12

ノルデスチ音楽の伝統と現在地を結ぶ傑作。アコーディオン奏者マルセロ・ジェネッシ新作

ラテン・グラミー賞ノミネート経験もあるサンパウロ出身の人気SSW/アコーディオン奏者マルセロ・ジェネッシ(Marcelo Jeneci)の2023年新譜『Caravana Sairé』は、彼が幼少期に一時期過ごしたブラジル北東部ペルナンブーコ州サイレ(Sairé)の伝統音楽に特化した、サウダーヂ感がありつつも彼らしく現代的にアップデートした素晴らしい作品となった。