- 2020-02-25
- 2021-07-13
分断された故郷への悲痛な叫び…コソボ出身の新鋭ベーシスト、そのデビュー作に圧倒的物語性
紛争により1999年から分断されたままのコソボ共和国の都市ミトロヴィツァ出身で、現在はトルコ・イスタンブールを拠点に活動するベーシスト、エンヴァー・ムハメディの初リーダー作『Letter to K』は、ピアノにアティバー・アサドリを迎えたセクステットによる意欲的な現代ジャズ作品だ。
紛争により1999年から分断されたままのコソボ共和国の都市ミトロヴィツァ出身で、現在はトルコ・イスタンブールを拠点に活動するベーシスト、エンヴァー・ムハメディの初リーダー作『Letter to K』は、ピアノにアティバー・アサドリを迎えたセクステットによる意欲的な現代ジャズ作品だ。
2019年の前作『Love Tape』が高く評価されたシカゴ出身、LAを拠点に活動するトランペット/フリューゲルホルン奏者、マーキス・ヒルがそのフォローアップ作品『Love Tape: With Voices』をリリースした。ベースにユニウス・ポール、ドラムスにマーカス・ギルモアという強力なリズムセクションはそのままに、マーキス・ヒルのスピリチュアルな楽曲群に生きた歌という新たな息吹が与えられた。
ブラジルのピアニスト/作曲家、アンドレ・メマーリの2枚組全30曲におよぶ大作『Canteiro』は、あらゆる楽器に精通し、ジャズ、クラシック、ポピュラー音楽の境目なく活躍する稀代の天才アーティストの真髄であり最高傑作のひとつだ。様々な歌手を迎え、「歌」にフォーカスした本作は全曲がアンドレ・メマーリによる作曲。とても丁寧に紡がれたメロディーはどれもが耽美な世界観を持つ名曲ばかりで、彼の音楽への尽きない愛が溢れ出る。
盟友ライル・メイズの訃報が伝えられたのはほんの数日前だった。世界中がこの享年66の名キーボード奏者の死を悼む中で、パット・メセニーの実に6年ぶりの新作『From This Place』がリリースされた。多くのジャズファン/ギターファンが待ちわびたレジェンドの新作ということは勿論、ライル・メイズの突然の悲報も相まって早くも今年最も注目されたジャズアルバムになることは間違いなさそうだ。
ブラジル・ミナスジェライスのSSW、エステヴァォン・マスカレーニャス(Estevão Mascarenhas, gt, vo)が率いるバンド、シフラス・ノ・ヴァラル(Cifras no Varal)の2019年作『Roda dos Orixás』。トロピカリアの雄、オス・ノヴォス・バイアーノス(Os Novos Baianos)を彷彿とさせる、ブラジルの民族音楽成分が多めの気持ちいいロックサウンドを聴かせるおすすめのバンドだ。
フランスのジャズピアニスト、ゴーティエ・トゥーを中心とするピアノトリオに、スイスのヴォーカリスト、リー・マリア・フライスが加わり新たに始動したプロジェクト、『For a Word』は、これまでも良作を発表していながらいまいち注目されることのなかったこの新鋭ピアニストの存在感を充分に示す、素晴らしいクオリティの作品だ。
イスラエルのビートミュージックシーンの中心人物であり、イスラエルジャズ界隈にも影響を及ぼすビートメイカー/作曲家/マルチ奏者ユヴィ・ハヴキンのソロプロジェクト、リジョイサー(Rejoicer)が待望の2ndアルバム『Spiritual Sleaze』をLAのレーベルStones Throwからリリースした。
フランスのサックス奏者、サミー・ティエボー(Samy Thiébault)がオーケストラと共演した2019年作『Symphonic Tales』。2018年の前作でカリブ海の音楽に挑戦し成功を得た注目のサックス奏者が新たに挑んだのは、ブルータニュの交響楽団と、そしてなぜかインドのタブラ奏者を迎えた壮大なスケールのジャズだった。
フランスのクロマチック・ハーモニカ奏者オリヴィエ・ケル・オゥリオ(Olivier Ker Ourio)の2020年新譜 『Singular Insularity』は、自身が生まれ育ったインド洋に浮かぶレユニオン島をはじめとするクレオール文化にフォーカスした非常に個性的なジャズ作品だ。
オーストラリアのサイケロック・バンド、テーム・インパラ(Tame Impara)の5年ぶり新作『The Slow Rush』がリリースされた。(1)「One More Year」から(12)「One More Hour」までの全12曲は、コロンビアのノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスの名作小説『百年の孤独』にインスパイアされた、“時間の流れ”をテーマとして明確に提示したコンセプチュアルなアルバムとなっている。
イスラエル出身のサックス奏者、オデッド・ツール(Oded Tzur)が名門ジャズレーベルECMから『Here Be Dragons』をリリースした。インド古典音楽の旋法に多大な影響を受けた独自のスタイルを築き上げた鬼才の音楽は、どこか東洋的で神秘的。
「ジャズ」という音楽の従来のイメージを根底から覆しながら、それでも「ジャズ」としか呼べない音楽を次々と生み出し続けるイギリス・ロンドンの現在進行形のシーンから、その中心で活躍するドラマー、モーゼス・ボイド(Moses Boyd)の衝撃的な新譜がリリースされた。
イスラエルの革新的なピアノトリオ、シャローシュ(Shalosh)と、同国を代表するジューイッシュ・ジャズサックス奏者ダニエル・ザミール(Daniel Zamir)が最新のコラボ動画をYouTubeで公開している。
ミルトン・ナシメントやロー・ボルジェスの盟友として知られ、2015年に惜しまれながら他界した詩人フェルナンド・ブランチ(Fernando Brant)へのトリビュート・アルバム『Vendedor de Sonhos』(夢を売る人、という意味)がリリースされた。