• 2023-02-02
  • 2023-08-28

蝶のように美しく舞う北欧ジャズ・ヴィブラフォン。ポーランド若手No.1マルチン・パテル新譜

ポーランドの若手ヴィブラフォン奏者、マルチン・パテル(Marcin Pater)が自身のトリオに加えピアニストのレシェック・モジジェルと、さらに数曲でギタリストのヤコブ・ミゼラッツキを再びゲストに迎えた2022年新譜『Between』。ヴィブラフォンの魅力である宝石のように美しい音色、蝶が舞うような速いパッセージ、長いサステインを利用した空間的な表現などジャズ・ヴィブラフォンの魅力も詰まった素晴らしい作品だ。

  • 2023-02-01
  • 2023-01-28

モスクワのエスノジャズ・カルテット、Sakhra。叙情的なピアノに特殊奏法満載のフルートが楽しい

ピアニスト/作曲家のエフゲニー・アブラモフ(Evgeny Abramov)率いるモスクワのエスノ・ジャズ・カルテット、Sakhraのデビュー作 『Rise in Bedia』が素晴らしい。それぞれが高度な技巧をもつピアノトリオ+木管の4人のアンサンブルを中心に、民族楽器や電子楽器を塗したワールド・コンテンポラリーなジャズだ。

  • 2023-01-31
  • 2023-01-29

ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者/歌手ルシアーナ・エリゾンド、幅広い選曲と教会録音が美しい新譜

アルゼンチン出身のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者/シンガーのルシアーナ・エリゾンド(Lucíana Elizondo)がイタリアの教会で録音した『Cantos De Amor Y De Ausencia』。カンターレ・オール・ヴィオラ=“ヴィオラで歌う”というルネサンス時代の忘れられた伝統を蘇らせた現代最高峰のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者と評される彼女の音楽の魅力が凝縮された、美しい作品に仕上がっている。

  • 2023-01-30
  • 2023-01-29

【連載】ネイティブ・タンの衝撃~⑥アフロセントリックに呼応したネイティブ・タンの始祖、ジャングル・ブラザーズ

時は80年代後半。アフリカン・ファーストを掲げるムーブメント「アフロセントリック」はファッションの分野を皮切りに、それらと密接に関わるHipHopにもまた大きな影響を与えていた。ネイティブ・タンの代表的な存在でもあり、ハウスを取り入れた音楽性にとかく注目が集まりがちなジャングル・ブラザーズ(Jungle Brothers)であるが、彼らもまたアフロ主義をメッセージに込めた「アフロセントリック」なアーティストであることを忘れてはならない。

  • 2023-01-29
  • 2023-01-30

コロンビアから現れたジャズ新星ヘスス・モリーナ、新譜は女性チェリストとの抒情的デュオ

コロンビア出身のピアニスト/作曲家ヘスス・モリーナ(Jesús Molina)が2022年に新たに送り出した作品が、韓国出身のチェリストHAEINSANEとの極上のデュオ作品『Cello Stories』だ。今作はサウンド面の派手さは一切なく、ピアノとチェロのアコースティックなデュオとなっており、シンセサイザーも駆使しながら超絶技巧的表現を次々と繰り出すヘスス・モリーナのイメージからすると意外性に満ちた内容となっている。

  • 2023-01-29
  • 2023-01-29

Snarky Puppy のマイケル・リーグとビル・ローレンス、新たな音楽表現を追求するデュオ作

スナーキー・パピーの中心人物である二人、ベーシストのマイケル・リーグ(Michael League)と鍵盤奏者のビル・ローレンス(Bill Laurance)のデュオ作がドイツの名門レーベルACTからリリースされた。北アフリカやトルコなどの地中海沿岸地域の音楽への傾倒を強めるマイケル・リーグらしく、今作はウードやフレットレス・ギターを用いるなどスナーキー・パピーとはまた異なるアプローチが全面的に押し出された魅力的な作品となっており、『Where You Wish You Were』というタイトルからも遠い異国の地や文化、まだ聴いたことのない音楽に対する彼らの強い好奇心が窺える内容となっている。

  • 2023-01-28
  • 2023-02-02

チュニジア出身ダファー・ヨーゼフ新譜。H.ハンコック、M.ミラーなど参加の現代ジャズの最重要作

北アフリカのチュニジアに生まれ、アラブ世界の伝統音楽と西洋音楽、特にジャズとの融合に挑戦し続けるウード奏者/ヴォーカリストのダファー・ヨーゼフ(Dhafer Youssef)の新譜『Street of Minarets』がリリースされた。まさしく唯一無二のスタイルを武器に、まだ誰も歩んでいない音楽の道を進み続けてきた彼が辿り着いた最高峰だと断言できる素晴らしい作品で、ぜひ多くの人にこの驚異的な音楽を体験してほしいと思う。

  • 2023-01-27
  • 2023-01-26

オマール・ソーサとチガナ・サンタナ。共通のルーツへの畏敬の念によって結ばれた深淵なデュオ作

キューバのピアニストのオマール・ソーサ(Omar Sosa)と、ブラジルのシンガーソングライター/ギタリストのチガナ・サンタナ(Tiganá Santana)のデュオ・アルバム『Iroko』は、世界的にも稀に見る才能を持つ二人の音楽家による深淵な語らいが垣間見える傑出した作品だ。

  • 2023-01-26
  • 2023-01-25

葡歌手と伯ギタリストによるユニットOrfélia、ルゾフォニアの伝統を革新的に融和するデビュー作

ポルトガル出身のシンガー/鍵盤奏者アンテラ(Antera)とブラジル出身のギター奏者フェリペ・マットス(Filipe Mattos)がベルリンで出会い誕生したユニット、オルフェリア(Orfélia)初のフルレンス・アルバム『Tudo o Que Move』。両国の伝統的なリズムとサイケデリアが混ざり合い、絶妙な浮遊感のある夢心地のサウンドが展開される。

  • 2023-01-25
  • 2023-01-25

ディアスポラの切なる想いと願いを歌うBlack Ox Orkestar 再結成!15年ぶりの新譜リリース

ユダヤ系のディアスポラである4人のメンバーで構成されたカナダのバンド、ブラック・オックス・オーケスター(Black Ox Orkestar)が実に15年ぶりとなる新作『Everything Returns』をリリースした。バンドは2000年にモントリオールで結成され、2006年までに2枚のアルバムをリリースしていたが同年に解散。今作は2021年に再結成されてから最初の作品となる。

  • 2023-01-22
  • 2023-01-22

「人魚は日本に実在した…!」鳥羽・海女の物語にインスパイアされた伊トロンボーン奏者の新譜

三重・鳥羽に伝わる海女の物語が、彼らに音楽的なインスピレーションを与えた。イタリアのトロンボーン奏者、ジャンルカ・ペトレッラ(Gianluca Petrella) が率いるコズミック・ルネッサンス(Cosmic Renaissance)による新作『Universal Language』は、今も続く日本の伝統漁に感化されている。

  • 2023-01-21
  • 2023-01-17

世界中の音楽が混淆するイスラエル・ジャズシーンを凝縮。“Karasorchestra Project”

イスラエルの作曲家/ピアニスト、アサフ・カラソ(Asaf Karaso)のデビュー作『Karasorchestra Project』はイスラエル特有のジャズから北アフリカ音楽、ブラジル音楽、アフロ・キューバンといった幅広い音楽性が魅力のハイレベルな作品だ。ここにはイスラエル・ジャズと呼ばれるシーンの面白さが凝縮されている。

  • 2023-01-20
  • 2023-01-19

イタロ・カルヴィーノ名作『見えない都市』に触発。レバノン発の傑作Jazz『Villes invisibles』

レバノン出身・フランス在住のサックス奏者/作曲家トゥーフィック・ファルーク(Toufic Farroukh)の2017年作『Villes invisibles』は、ヨーロッパの洗練されたジャズと、アラブ〜中東音楽の民族音楽が高いレベルで融合した最高に楽しい作品だ。一部には南米音楽のエッセンスも加わる。