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SSW

  • 2022-07-23
  • 2022-07-23

アンゴラの美しさと社会的危機の両面を歌う。女性SSWアリーネ・フラザォンの音楽

アンゴラのSSWアリーネ・フラザォン(Aline Frazão)の5枚目の作品となる2022年新譜『Uma Música Angolana』は、これまでにルゾフォニア(ポルトガル語圏)を中心に世界中の音楽を吸収してきた彼女らしい、洗練されたジャジーな音楽に仕上がっている。が、そのシンプルかつ意味深なタイトルに込められた彼女の想いの強さにも同時に気付かされる素晴らしい芸術作品だ。

  • 2022-07-10
  • 2022-07-09

シンプルながら深く心に刺さるインディ・フォーク。ナッシュビルのSSWエリン・レイ新譜

アメリカーナ・ミュージック・アワードの新人部門にノミネートされるなど大いに注目されたソロデビュー作『Putting On Airs』から3年、アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルのSSWエリン・レイ(Erin Rae)の待望の2ndアルバム『Lighten Up』がリリースされた。ギターを手に歌い、素朴なアメリカーナを体現する彼女の音楽は今回も純朴で親しみやすく、多くの人の心に響くことだろう。

  • 2022-07-05
  • 2025-06-07

ドイツの才女オリヴィア・トゥルマー、カート・ローゼンウィンケルらを迎えた傑作新譜

ドイツ出身のピアニスト/ヴォーカリスト、オリヴィア・トゥルマー(Olivia Trummer)の2022年新譜『For You』。冒頭、ウーリッツァーピアノがレトロお洒落な風情の(1)「Thirsty in the Bathtub」から傑作を確信する素晴らしい一枚だ。ギタリストのカート・ローゼンウィンケル、トランペッターのファブリツィオ・ボッソも参加。

  • 2022-06-30
  • 2022-06-29

質素なようで複雑な和声感覚が魅力。サンパウロのSSWセッサ(Sessa)新譜『Estrela Acesa』

セッサ(Sessa)のステージネームで知られるセルジオ・サイエギ(Sérgio Sayeg)が新作『Estrela Acesa』をリリース。彼が気だるく甘美に歌う内容は、実際はパンデミックの世界やファシストの大統領が支配する社会への批判で、少ないコードとシンプルな楽曲構成ながらひとつひとつのハーモニーには複雑な響きがあり、淡々と刻まれるリズムにも人生の儚さへの憂いや何かへの躊躇すら感じさせる。

  • 2022-06-24
  • 2022-07-24

ジャズと現代音楽のアーティスティックな交叉点。萎えた社会に希望を与えるフランチェスカ・ガザ新譜

ルーマニアにルーツを持ち、イタリア/ドイツ国籍、現在はスイスを拠点に活動するSSW、フランチェスカ・ガザ(Francesca Gaza)の3枚目のアルバム『Sfiorire』がリリースされた。プロデューサーはイタリアを代表するトランペット奏者のパオロ・フレス(Paolo Fresu)。クラシック、現代音楽、ジャズ、エレクトロ・ミュージックなど幅広い影響を受けた芸術性の高い音楽で、オクテット編成の繊細かつ時に大胆なアンサンブルも素晴らしい。

  • 2022-06-19
  • 2024-12-10

イスラエル発、今一番クレイジーなバンド。ウジ・ナヴォンの新譜は『生涯』

イスラエルの特異すぎるバンド、ウジ・ナヴォン・レガシー(The Uzi Navon Legacy)の新譜『לכל החיים (The Experiences)』が登場した。アルバムタイトルはヘブライ語で“生涯”の意味。もう本当に、変な方向へのこだわりの具合では現在活動中のバンドでは世界随一ではないだろうか。

  • 2022-06-16
  • 2022-06-15

ジャズと中東音楽の魅力的な融合、トルコ出身SSWシネン・エイディネル新作EP『Orient Express』

2022年リリースのEP『Orient Express』でシネン・エイディネル(Sinem Aydıner)というトルコ出身のSSWの音楽を初めて聴いたが、ジャズやフュージョン、ファンクといったブラック・ミュージックと中東地域特有の奇数系変拍子のセンスの良い混合具合で一瞬で好きになってしまった。

  • 2022-06-12
  • 2022-06-12

故郷ハバナへ想いを馳せるアナ・カルラ・マサ、圧倒的技巧で描き出すチェロ弾き語り新譜

キューバ出身のチェリスト/SSW、アナ・カルラ・マサ(Ana Carla Maza)の『Bahia』は、生まれ故郷であるハバナやチェロを学んだフランスなどへの想いを、自身のチェロと声のみで演じられる豊かな音楽作品だ。キューバのソンなどのラテン音楽、南米音楽、ヨーロッパの大衆音楽、クラシック、ジャズなどを幅広く吸収した感性による弾き語りはシンプルだがエレガントで躍動感に満ち、芯の強さを感じさせる。

  • 2022-06-11
  • 2022-06-11

得も言われぬ高揚感と郷愁を呼び起こす、カーボベルデの歌手ジェニフェル・ソリダーデ新譜

カーボベルデのSSW、ジェニフェル・ソリダーデ(Jenifer Solidade) の新作EP『Tanha』は、大西洋の島国らしい潮風と、同国の歴史的経緯からくるソダーデ(郷愁)が絶妙にミックスされた良作だ。プロデュースはセザリア・エヴォラをはじめ同国を代表する数々のアーティストと仕事をしてきたカーボベルデ屈指のプロデューサー、エルナニ・アルメイダ(Hernani Almeida)。

  • 2022-06-01
  • 2022-05-31

知的な遊び心溢れるピアノと声のデュオ。ダヴィッド・ヘルボック&カミーユ・ベルトー

オーストリア生まれのピアニスト、ダヴィッド・ヘルボックと、フランス生まれYouTube育ち(?)のジャズ・ヴォーカリスト、カミーユ・ベルトーのデュオアルバム『Playground』。一見するとピアノと女性ヴォーカルというよくあるデュオのフォーマットだが、そこはユニークな個性と経歴を持つこの二人だからこそ成し得た、非常に特色のある作品に仕上がっている。

  • 2022-05-28
  • 2022-05-28

日本のR&Bに新風をもたらしたSSW・Kiki ViVi Lily。類まれなる世界観と表現力の成せる音楽の解像度。

甘い歌声と等身大の歌詞、アーティスティックなトラック。これが一つでも欠けたら、この作品はまったく違う評価だったに違いない。全てが一つの要素として完成された作品であり、全てのバランスが程よく調和された奇跡のアルバム。それがこのデビュー作の『vivid』である。