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ヴォーカル

  • 2024-12-05
  • 2024-12-04

MPBの遺産を受け継ぐSSW、マトゥ・ミランダ。 大物ゲストも参加した注目のデビュー作

マトゥ・ミランダ(Matu Miranda)というシンガーソングライター/ギタリストの登場は、今年(2024年)のブラジル音楽におけるひとつの重要なトピックだ。マットグロッソ・ド・スル州カンポ・グランデで生まれ、現在はリオデジャネイロを拠点とする彼は2023年にオーディション番組「The Voice Brasil」で準決勝まで進出。2024年9月に待望の初アルバム『Matutando』をリリースした。

  • 2024-12-01
  • 2024-11-30

臍から臍へとサンバは受け継がれる──。バイーアの女性バンドが魅せるディープなブラジル音楽

ヤヤ・マセンバ(Yayá Massemba)の音楽はアフリカ系ブラジル人の文化を尊重し、女性として表現し、そして叡智を生み出す基盤としてのサンバのルーツを広めることを目的としている。グループ名の「Yayá」はヨルバ語で“母親”を意味し、キンブンドゥ(アンゴラで話されているアフリカの言語)に由来する「Massemba」はアフリカ起源の宗教に存在するウンビガダ(臍 = umbigo を突き出す動作)を指す。

  • 2024-11-26
  • 2024-11-25

ジンバブエ・ヴィクトリアの滝から現れた最高のアフロ・フュージョンバンド、Flying Bantu

世界最大の瀑布であるジンバブエのヴィクトリアの滝近くを拠点とするバンド、フライング・バントゥー(Flying Bantu)。非常に洗練されたアフロ・フュージョンで、ファンク、レゲエ、ロック、ジャズの要素が混ざり合ったサウンドに英語やバントゥー語の歌詞が乗る。楽器は一部でムビラの音色が聴こえるほかはほぼ西洋楽器で、スケールなども西洋音楽のものなので民族音楽色はかなり薄いが、それが逆に耳馴染みの良さに繋がっている。

  • 2024-11-13
  • 2024-12-19

魔法のようなコントラバスと声のジャズ。ルノー・ガルシア=フォン父娘が魅せる『Blue Maqam』

フランスのベース奏者、ルノー・ガルシア=フォン(Renaud Garcia-Fons)の2024年新譜『Blue Maqam』は、娘でシンガーのソレア・ガルシア=フォン(Solea Garcia-Fons)をフィーチュアしたカルテットによってアンダルシアからアナトリアに至る地中海周辺音楽、さらには中東やインドまでの種類豊かな音楽を独自のベースを軸に表現する優れたアルバムだ。

  • 2024-11-12
  • 2024-11-12

最高の歌手シルビア・ペレス・クルスが最高のギター奏者フアン・ファルーと奏でる至福の南米音楽

スペインを代表する歌手シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)の新作『Lentamente』は、アルゼンチン最高のギター弾きのひとりであるフアン・ファルー(Juan Falú)との至上のデュオ作品となった。多くがアルゼンチンの作曲家たちの名曲のカヴァーで、一部にはブラジルの音楽、そして二人のオリジナルも1曲ずつ収録されている。

  • 2024-11-03
  • 2024-10-31

時代を超越する普遍的な音楽。リアナ・フローレスのメジャーデビュー作『Flower of the soul』

ロンドンのシンガーソングライター、リアナ・フローレス(Liana Flores)のメジャーデビュー作『Flower of the soul』は、万人におすすめしたい傑作だ。イギリスのフォークに60年代のブラジルのボサノヴァとジャズの雰囲気をまぶし、時代を超えた魅惑のベッドルーム・ポップに仕立て上げる。

  • 2024-11-01
  • 2024-10-31

ジューイッシュ・ジャズの象徴ダニエル・ザミール、SSWとしての新章を告げる新譜

ダニエル・ザミール(Daniel Zamir)といえば、イスラエルの現代ジャズシーンを代表するソプラノサックス奏者として世界に広く知られていることに疑念の余地はない。その音楽観は非常に個性的で、彼は2000年代以降一種のムーヴメントとなった所謂“イスラエル・ジャズ”勢の中でも突出してユダヤの伝統に強くインスパイアされた“ジューイッシュ・ジャズ”の音を鳴らし続けてきた。

  • 2024-10-31
  • 2024-10-30

米国随一のトロンボーン奏者ライアン・ケバリー、“カタルシス”名義での5年ぶり新譜

アメリカ合衆国のトロンボーン奏者/作曲家ライアン・ケバリー(Ryan Keberle)が率いるバンド、カタルシス(Catharsis)の新譜『Music is Connection』がリリースされた。メンバーにはチリ出身のギターのカミラ・メサ(Camila Meza)、ペルー出身のホルへ・ローダー(Jorge Roeder)、そして米国出身のドラマー、エリック・ドゥーブ(Eric Doob)を擁し、南米音楽からの影響も濃いコンテンポラリー・ジャズ作品に仕上がっている。

  • 2024-10-29
  • 2024-10-28

澄んだ歌声とスピリチュアルなジャズが魅力。インド系SSWシャラダ・シャシダール新作

米国ロサンゼルスを拠点とするインド系のシンガーソングライター、シャラダ・シャシダール(Sharada Shashidhar)。父親の影響で幼少時からインド古典音楽に触れ、ジャズを学んでいた兄の影響でジャズに傾倒、ニューヨークのニュースクールでジャズ・ヴォーカルを学んだという経歴の彼女の2nd EP『Soft Echoes』がリリースされた。エレクトロニック/ネオソウル色の強かったデビュー作『Rahu』(2020年)と比較すると、今作はよりオーガニックな前面に出し、ソウルフルなヴォーカルが映える作品となっている。

  • 2024-10-25
  • 2024-10-25

カメルーンをルーツに持つベルギーの女性コラ奏者/SSWルビアナ、音楽の本質を捉えた傑作新譜

カメルーンとベルギーのハーフであり、世界的に見ても珍しい女性コラ奏者/シンガーソングライターのルビアナ(Lubiana)の新譜『Terre Rouge』が素晴らしい。アルバムのタイトルはフランス語で“赤い大地”を意味する。それは彼女が幼少期から毎年家族とともに訪れた父の故郷アフリカ・カメルーンの真っ赤な土の色の記憶であり、コラの繊細な音に乗せて歌うその声にはアフリカへの強い望郷の想いが滲む。

  • 2024-10-24
  • 2024-10-19

ブラジルとラテンアメリカを結ぶ、懐かしくも新しい音楽紀行。マリ・ジャスカ 1st『Disparada』

シンガーソングライター/ギタリストとして12年のキャリアを持つブラジルのマリ・ジャスカ(Mari Jasca)が、自身初のアルバム『Disparada』をリリースした。ブラジルやラテンアメリカの伝統音楽を参照しながら、現代的なサウンドテクスチャに落とし込んだ注目すべき作品に仕上がっている。

  • 2024-10-22
  • 2024-10-21

コロンビアを代表するSSWマルタ・ゴメス、豊かな詩情に包まれる新譜『Seré Guitarra』

コロンビアを代表する女性シンガーソングライター、マルタ・ゴメス(Marta Gómez)による新作『Seré Guitarra』がリリースされた。子供時代のインスピレーションをもとにしたという純真な感性に満ちた作品となっており、オリジナル曲には世界を変えることはできないかもしれないが、少なくともそれを試みようという詩的なメッセージが散りばめられている。

  • 2024-10-20
  • 2024-12-31

個性的かつ創造的な一大叙事詩。マリア・ジョアン&アンドレ・メマーリ 稀代の音楽家のデュオ作

ポルトガルの鬼才歌手マリア・ジョアン(Maria João)と、ブラジルの天才ピアニスト/作曲家アンドレ・メマーリ(André Mehmari)の共演作『Algodão』が登場した。二人の卓越した表現力により、極めてアーティスティックな大傑作といって過言ではないだろう。