知る人ぞ知るベトナム系ジャズギタリスト、グェン・レによる絶品ジミヘンJAZZ

Nguyen Le - Purple

独自の解釈が施された絶品ジミヘンJAZZ

かの天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix、通称“ジミヘン”)。ギターマガジン誌が選ぶ史上最も偉大なギタリストで1位に選出された彼のフォロワーは数え切れないほどおり、トリビュート盤だって多数リリースされている。

だが、このグェン・レという知る人ぞ知るギタリストが唐突に発表したジミヘン・トリビュート作品『Purple – Celebrating Jimi Hendrix』は異色の作品であろう。

ベトナムにルーツを持つギタリストが挑んだジミヘン・トリビュート傑作

ジャズギタリスト、グェン・レ(Nguyên Lê)は1959年生まれ。両親がベトナム人で、彼自身はフランスで生まれ育っている。アジア人としてのアイデンティティを大切にしながら、ヨーロッパを中心にボーダレスに活躍するギタリストだ。過去にはビートルズ、スティーヴィー・ワンダー、レッド・ツェッペリンなどの名曲をグエン・レ風に料理した2011年作『Songs of Freedom』や、自身のルーツであるベトナムのミュージシャンとの共演作『Ha Nội Duo』(2017年)や『Fragile Beauty』(2008年)、さらに日本人琴奏者のみやざきみえこ、インド人タブラ奏者のPrabhu Edouardとのトリオ編成の2009年作『西遊記(Saiyuki)』等々、国境を超えた驚くべき作品を次々と発表してきている。

そんなグェン・レの中でも、個人的にもっとも好きな作品がジミヘン曲集『Purple – Celebrating Jimi Hendrix』(2002年リリース)だ。録音メンバーにはテリ・リン・キャリントン(Terri Lyne Carrington, ds, vo)やミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello, b, vo)など、当時引っ張りだこだったミュージシャンが名を連ねる。

(1)「1983…(A Merman I Should Turn to Be)」で幕を開ける『Purple – Celebrating Jimi Hendrix』は、ジミヘンの代表曲がグェン・レにより巧みなリハーモナイズやアレンジが施され現代に蘇っている。
(4)「Purple Haze(パープル・ヘイズ)」はなんと15拍子のリズムに。(6)「If 6 Was 9」では後半で「Hey Joe」のリフが引用されるなど、ジミヘンファンは感涙するほどのカッコよさである。
(7)「Voodoo Child (slight Return)」など、呪術的なアフリカ音楽風のイントロに導かれるグェン・レのギターは神懸かり的な素晴らしさ。

ベトナムにルーツを持つジャズギタリストが、自身が音楽的にもっとも影響されたアーティストであるジミ・ヘンドリックスを思いのまま存分に演った『Purple – Celebrating Jimi Hendrix』。ロックファンとジャズファン、両方に聴いてもらいたい素晴らしい作品だ。

Nguyen Le - Purple
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