脳天直撃の衝撃。e.s.t.のベーシスト率いるポストロック・ジャズバンド Tonbruket 5thアルバム

Tonbruket - Masters of Fog

元エスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.)のベーシスト、ダン・ベルグルンド(Dan Berglund)率いるジャズ/ポストロックバンド、トンブルケ(Tonbruket)が新作『Masters of Fog』をリリースした。今作も挑戦的なJAZZを続々リリースしているヨーロッパジャズの名門レーベル、Act Music からのリリースとなっている。

トンブルケというバンドのサウンドを一言で表すのはとても難しい。彼らの音楽を聴いたことがない人にとっては、おそらく脳天を直撃するような全く新しいサウンドに聴こえるだろうし、e.s.t. 活動停止後のトンブルケの経緯を知っている人にとっては今作も“トンブルケらしい”サウンドに聴こえるだろう。
つまり、トンブルケというバンドは彼ら独自の唯一無二のサウンドを既に確立しているのだ。

百聞は一聴にしかず…。下の動画を観ていただければ、彼らのかっこよさが分かると思う。

トンブルケ(Tonbruket)のアルバム『Masters of Fog』のティーザー動画。

e.s.t. の遺志を受け継ぐトンブルケ

その斬新なサウンドでジャズ界隈に多大な影響をもたらしたスウェーデンの伝説的ジャズトリオ、エスビョルン・スヴェンソン・トリオの終焉はピアニストのエスビョルン・スヴェンソン(Esbjörn Svensson Trio)の不慮の事故死(2008年6月14日)によって唐突に訪れた。

バンドのサウンドを支えたベーシストのダン・ベルグルンド(Dan Berglund)は2010年に『Dan Berglund’s Tonbruket』をリリース。e.s.t.ともまた違う独自の方向性を打ち出した同作はスウェーデンで同年の最優秀ジャズアルバムを受賞。以降、“トンブルケ”の名を冠したバンドで活動を続けており、2010年の『Dig It To The End』、2013年の『Nubium Swimtrip』も高い評価を得て、3作連続でスウェディッシュ・グラミー賞を受賞するという快挙も成し遂げている。

彼らの音楽は“ジャズ”にはとてもカテゴライズしきれない。反骨心を感じさせるパンクロックだし、プログレッシヴ・ロックの高い芸術性もあるし、何よりも彼ら自身が音楽や音そのものを心から楽しんでいる様子が伺える。

ダン・ベルグルンドは同じく元e.s.t. のドラマー、マグヌス・オストロム(Magnus Öström)との活動も続けており、Rymden という新しいバンドや、e.s.t.の楽曲を交響楽で蘇らせるプロジェクト『E.S.T. Symphony』といった意欲作も世に送り出している。

2010年作『Dig It To The End』収録の(1)「Vinegar Heart」のライヴ演奏。
Tonbruket - Masters of Fog
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