中南米音楽への憧憬が生んだ多幸感溢れるジャズ。スイス出身ルイ・マトゥテ 4th

Louis Matute - Small Variations of the Previous Day

ルイ・マトゥテ新作『Small Variations of the Previous Day』

前作『Our Folklore』でジャズ、ブラジル音楽、ネオソウルなど多様な音楽的バックグラウンドを凝縮した優れた音楽を提示してみせたスイス出身のギタリスト/作曲家ルイ・マトゥテ(Louis Matute)が、自身4枚目のアルバムとなる『Small Variations of the Previous Day』をリリースした。

今作も中南米や大西洋の島々の音楽への深い探求心がサウンドの中核を担う。レユニオン島のマロヤの影響を受けたであろう(1)「Narcissus」、カーボベルデのモルナを思わせる(2)「Vue Soleil」、フランスの新世代シンガー、ギャビ・アルトマン(Gabi Hartmann)が歌うボサノヴァ(3)「Alma No Mar」、ストリングスも加えた変拍子のラージ・アンサンブル(4)「2000 Years」、アコースティック・ギターがアメリカのカントリー音楽を思わせるレア・マリア・フリース(Lea Maria Fries)が英語で歌う(5)「Forever」、クイーカの音もサウダーヂを誘うサンバ(7)「Marcovaldo」など、ルイ・マトゥテの内にある多様な音楽的エッセンスが彼の中で消化され、アウトプットされたサウンドがとても魅力的だ。

(1)「Narcissus」

いくつかの管楽器のレイヤーと、複合的なリズム。豊かなグルーヴとハーモニーによって成り立つ彼の音楽は、まさに“多幸感”そのものだ。(8)「A Voz De Deus」には米国のハープ奏者ブランディー・ヤンガー(Brandee Younger)もゲスト参加し、天上の音楽のようなハープの音色を聴かせてくれる。

何よりも、どの楽曲も、アドリブにおいてさえもメロディアスで、彼がメロディを重視していることを感じ取れる。コードやリズムは複雑だが、工夫されたそれらもすべて美しいメロディを際立たせるためにアレンジされているように思わせる。それはルイ・マトゥテ自身も「本当に残るのはメロディーです。私は自分が演奏する曲を歌うのが大好きです。同時に歌わずにメロディーを書いたことはありません」と語っている通り、間違いない彼の音楽の軸なのだろう。

ギャビ・アルトマンがヴォーカルを担当する(3)「Alma No Mar」

Louis Matute プロフィール

ルイ・マトゥテは2013年にスイス・ジュネーヴにて1993年に生まれた。父はホンジュラス出身で、10代の頃にはフラメンコギターを学んだ。
クラパレード大学の音楽賞を受賞し、ジャズの道へ。ウォルフガング・ムースピール(Wolfgang Muthspiel)やリオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)から手解きを受け、2016年にはリオデジャネイロとサンパウロで開催されたモントルージャズフェスティバルの50周年を記念して開催されたスイス・ミーツ・ブラジル・フェスティバルにも出演した。

2018年と2020年には自身のカルテットを率いて2枚のアルバムをリリース。2022年にさらに洗練された3rdアルバム『Our Folklore』もリリースし、フランスのジャズ・アカデミーの「エビデンス」賞、スイスのZKBオーディエンス・ジャズ・アワードを受賞するなど高く評価され、現在もっとも注目すべきギタリストとしてその存在感を強めている。

Louis Matute – electric guitar
Andrew Audiger – piano, keyboards
Léon Phal – tenor saxophone
Zacharie Ksyk – trumpet, trombone
Virgile Rosselet – double bass
Nathan Vandenbulcke – drums, percussions
Nelson Schaer – cuica (7)
Antoine Favennec – alto saxophone, flute
Gabi Hartmann – vocal (3)
Louis Matute – vocal (3)
Lea Maria Fries – vocal (5, 10)
Brandee Younger – harp (8)
Girolamo Botiglieri – violin
Raya Ratcheva – violin
Caroline Cohen-Adad – viola
Florestan Darbellay – cello

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