超絶ハープ奏者エドマール・カスタネーダ、家族をテーマにしたラテンジャズ新譜

Edmar Castaneda - Family

コロンビアのアルパ奏者エドマール・カスタネーダ新譜『Family』

上原ひろみやヤマンドゥ・コスタとの共演などで知られるコロンビア出身の超絶技巧のアルパ(南米のハープ)奏者、エドマール・カスタネーダ(Edmar Castaneda)が新譜『Family』をリリースした。
タイトル通り、ヴォーカリストの妻アンドレア・ティエラ(Andrea Tierra)や、二人の子供もコーラスで参加したヴィジュアル的には家庭的な作品(ジャケットのイラストも含め)だが、ジャズやファンクやタンゴなどを自在にブレンドし超絶技巧で仕上げた音楽には現代ジャズらしい独特の緊張感が漂う。

演奏陣は低音からコード、メロディーまで幅広い音域を担うエドマールの他、イスラエル出身のサックス奏者シュロミ・コーエン(Shlomi Cohen)とドイツ生まれ・コロンビア育ちのドラマー、ロドリゴ・ヴィジャロン(Rodrigo Villalon)のトリオ編成。

アルバムは(1)「Battle of Faith」の煌びやかなアルパのイントロから凄い吸引力だ。ヨーロッパで発展した大型のコンサートハープともまた異なる野趣味に溢れたエドマールの演奏はアルパという楽器の魅力を強く印象づけるには充分。

(2)「For Jaco」は名ベーシスト、ジャコ・パストリアスに捧げたオリジナルで、上原ひろみとのデュオでも披露されていた曲。ジャズファンクの影響を受けた特徴的なリズムと旋律が爽快。

(4)「Canción Con Todos」はアルゼンチン・フォルクローレの名歌手メルセデス・ソーサの歌唱で知られる曲で、ここではエドマールの妻アンドレア・ティエラがヴォーカルを担当している。エドマールのアルパはピアノとギターの中間のような温かく美しい音色でジャズの豊かな和音を鳴らし彼女の歌をサポートする。曲調が軽やかに変化する終盤部では子供たちのコーラスも聴くことができる。

(5)「Agua Fresca」は、誰もが知るラテンの名曲「コーヒールンバ(原題:Moliendo Cafe)」で知られるベネズエラの作曲家ウーゴ・ブランコ(Hugo Blanco)の代表曲。

荘厳なアルパ・ソロ(6)「Acts」を経て、ラストは(7)「My Favorite Things」。再びアンドレア・ティエラによるスペイン語ヴォーカルが登場し、斬新なアレンジとともに名曲が蘇る。

アルバム『Family』のEPK

コロンビアの伝統に根ざしつつ、NYでジャズを学んだ才人

エドマール・カスタネーダは1978年生まれ。父Pavelid Castañedaはプロのアル奏者/歌手で、そんな父の姿を見ながら幼少期から自然とアルパや音楽に親しんだ。1994年に米国ニューヨークに渡りジャズ・トランペットを学び、管楽器の演奏法をアルパでのフレージングの参考にしたりもして独自の奏法を確立。レストランやバーでのソロ・パフォーマンスはやがて評判となり、ウィントン・マルサリスやマーカス・ミラーといったジャズの大御所からも注目を集める存在となった。

2009年の2nd『Entre Cuerdas』は人気ギタリストのジョン・スコフィールドも参加するなど話題に。2016年にはカナダのモントリオール・ジャズ・フェスティヴァルで日本のピアニスト、上原ひろみと出会い、「上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ」プロジェクトも発足。2017年に『ライヴ・イン・モントリオール』としてアルバムを発表している。

Edmar Castaneda – harp
Andrea Tierra – vocal
Shlomi Cohen – soprano sax
Rodrigo Villalon – drums
Zeudi & Zamir Castaneda – chorus

Edmar Castaneda - Family
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