アンビエント・ジャズの鬼才デヴィッド・ビニー、現代JAZZのキーマンを迎えた新譜

David Binney - Aerial 2

サックス奏者David Binney、アンビエントジャズの新譜『Aerial 2』

米国のサックス奏者/作曲家デヴィッド・ビニー(David Binney)の2021年作『Aerial 2』は、ゲストにマーク・ジュリアナやアントニオ・ロウレイロといった現代ジャズを代表するミュージシャンたちを迎え、シンセを多用した繊細で広がりのある恍惚のサウンドが展開される。

一聴するとジャズサックス奏者のアルバムとは思われないかもしれない。もちろんサックスのソロなどもあるが、全体的に立体的な音響が特徴でタイトル通りの“空気感”のある作品だ。2020年作『Aerial』は個人プロジェクトの印象だったが、今作では前述のようにゲストも交え彼らの個性も作品の世界観に大きく反映されている。

(2)「Modern Courtesy」にはドラマーのマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)とベーシストのティム・ルフェーヴル(Tim Lefebvre)が参加。1曲の中で見事な物語を描くマーク・ジュリアナのドラムスはさすが。

(5)「What the Sun Brings」にはベーシストのフレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)、ドラムス/パーカッションのアントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)のブラジル勢と、ギタリストのアダム・ラトナー(Adam Ratner)が参戦。

つづく(6)「Wave Rider」にはアダム・ロジャース(Adam Rogers)が参加し、ミニマム&アンビエントなギターを演奏している。

主役であるデヴィッド・ビニーは全曲の作曲とプログラミング、シンセ、サックス、ギターなどでサウンド全体をプロデュース。近年電子音楽に傾倒するジャズミュージシャンとして、メインストリーム・ジャズとはまた一味も二味も違う“もうひとつのジャズ”の在り方を提示する。

マーク・ジュリアナ、ティム・ルフェーヴルをゲストに迎えた(2)「Modern Courtesy」

David Binney プロフィール

デヴィッド・ビニーは1961年フロリダ州マイアミ生まれ・カリフォルニア育ち。音楽好きの両親の影響で幼い頃からジョン・コルトレーン、マイルス・デイビス、ウェイン・ショーター、ジミ・ヘンドリックスといった音楽に触れてきた。ロサンゼルスでサックスを習い、19歳でニューヨークに移住。ジョージ・コールマン、デイヴ・リーブマン、フィル・ウッズに師事し1990年にアルバム『Point Game』でデビュー。以降25枚ほどのリーダー作をリリースし、ダウンビートのアルトサックス部門の評論家投票を3回受賞するなど個性的な音楽家として評価されている。

近年はブラジル新世代を代表するギタリスト、ペドロ・マルチンス(Pedro Martins)のバンドSpider’s Egg Sextetに参加したり、2021年9月にはジェネヴィーヴ・アルタディ(Genevieve Artadi)をヴォーカルに迎えたシングル『Paradice』もリリースするなど若手との積極的なコラボレーションも行っている。

KNOWERのジェネヴィーヴ・アルターディをヴォーカルに迎えたシングル「Paradice」

David Binney – ellectronics, synths, saxophones, guitar, vocal

Guests :
Mark Guiliana – drums (2,7)
Tim Lefebvre – bass (2,7)
Frederico Heliodoro – bass, vocals (5)
Antonio Loureiro – drums, percussion, vocals (5)
Adam Ratner – guitar (5)
Adam Rogers – guitar (6)
Jacob Richards – drums (10)

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