欧州ジャズの伝統的叙情性と現代ジャズの感覚が同居する、マルティン・サレミ待望の2nd

Martin Salemi - About Time

ベルギーのピアニスト、マルティン・サレミ待望の2nd

2017年のデビュー作『Short Stories』での抒情性が高く評価されたベルギー出身のピアニスト、マルティン・サレミ(Martin Salemi)の新作『About Time』。収録の7曲はすべてマルティン・サレミのオリジナルで、短調を中心とした欧州的リリシズム溢れる楽曲の基本構成、ブラッド・メルドーを彷彿させるアドリブソロ、随所で攻めた表現も聴かせるトリオのアンサンブルも絶妙な素晴らしい作品だ。

トリオのメンバーはルクセンブルク出身のベース奏者ボリス・シュミット(Boris Schmidt)と、オランダ出身のドラマーダニエル・ヨンカース(Daniel Jonkers)。特にダニエル・ヨンカースのドラムスはブラシを多用しつつも随所にアタックの強い音の出るセッティングとなっており、この手の音楽にしては珍しく湿度を下げ、現代的なジャズの香りを強くしている。

静かに上質な時間を過ごしたいときのBGMとしても良し、伝統的なヨーロピアン・ジャズを踏襲しつつも現代的なエッセンスがさりげなく散りばめられた芸術作品としてじっくり聴くもよし、さまざまなシーンで重宝しそうな優れたアルバムだ。

(4)「Lamento」

Martin Salemi プロフィール

マルティン・サレミは1988年ベルギー・ブリュッセル生まれ。両親はともに芸術家で、ギターを弾く父親は早くからマルティンを音楽の世界に導いた。6歳でピアノを学び始め、2013年にブリュッセル王立音楽院でジャズピアノの修士号を取得。

鍵盤奏者として在籍するジャズファンク・バンド、Opmocで2012年に『Journeys』でデビュー。バンド活動の傍らで自身のトリオによるヨーロピアン・ジャズ作品『Short Stories』(2017年)をリリースし、“ビル・エヴァンスとキース・ジャレットが宿っている”といった絶賛を受ける。

ジャズだけでなく、エリック・サティやドビュッシーの美学にも通ずる詩的な世界観は日本を含む世界中で評価されている。

Martin Salemi – piano
Boris Schmidt – double bass
Daniel Jonkers – drums

Martin Salemi - About Time
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