圧倒的熱量の中東ジャズ!クラリネット奏者ハレル・シャハル&The Ottomans

Harel Shachal - Solomon's Dreams

中東ジャズの第一人者、ハレル・シャハル『Solomon’s Dreams』

『Solomon’s Dreams』は長年の海外生活を終えイスラエルに戻ったクラリネット奏者/作曲家ハレル・シャハル(Harel Shachal)が結成したバンド「The Ottomans」の5年間の活動の集大成だ。収録の全9曲はスタジオで1日でライヴ録音され、余計な編集をせずそれ故に圧倒的な熱量を持っている。バンドはG管クラリネットのハレルのほか、カーヌーン、ウード、ヴァイオリン、ダルブッカ、リクという6人編成。ターキッシュ・クラリネットを軸としたアンサンブルで極上の中東ジャズを奏でる。

始まりは淡々と。しかし演奏は次第に熱を帯び、雄叫びを上げるようなクラリネットの音色は演奏者自身もリスナーにも精神を覚醒させるような強い作用があり、音楽が持つ神秘的な力を実感させる。本作はアルバムを通じ一貫してそうした不思議な感覚を与えてくれる。

アルバムのタイトル曲でもある(10)「Solomon’s Dreams」は病床に伏せたハレルの父シュロモ(ソロモン)に捧げられた曲。長く闘病するシュロモはしばしば寝言を言い、その様子を見ていたハレルは父が深くスピリチュアルな追体験をしているように思えたという。

(10)「Solomon’s Dreams」

Harel Shachal プロフィール

ハレル・シャハルの音楽的なルーツは中東音楽、とくにマカームやクレズマーへの深い知識と、ニューヨークで学んだジャズの知識にある。2002年には多数の気鋭音楽家を輩出するNYのニュースクールの教員となり、中東音楽のアンサンブルを指導。彼の抱く中東音楽とジャズを融合させるというヴィジョンはアニスター(Anistar)というNYで活動する9人組のバンド結成へとつながり、世界中のフェスティヴァルなどで高く評価された。

Harel Shachal – clarinet
Ariel Qassis – kanun
Yaniv Taichman – oud
Daniel Hoffman – violin
Roei Fridman – darbuka
Nur Bar Goren – riq

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