タル・マシアハの周囲に広がるNYのクリエイティヴ・シーンを象徴する2nd
イスラエル出身・ニューヨークを拠点とするギタリスト/ベーシスト/作曲家のタル・マシアハ(Tal Mashiach)のソロ第二弾『Who’s Around?』がリリースされた。自身が所属する現代ジャズの最高峰ピアノトリオであるGTO Trio のメンバーはもちろん、世界各地から多様な音楽家を迎え、影響源の幅広さを窺わせる多彩なオリジナル楽曲によって鮮やかに彩られたアルバムだ。
アルバムのタイトルは、現在の彼を中心に広がる音楽仲間たちを象徴する言葉だろう。ゲストに名を連ねるのは、世界的クラリネット奏者アナット・コーエン(Anat Cohen)ら同郷の名手のほか、特に(5)「Creta」で地中海の風をもたらすギリシャ出身ベーシスト/シンガーのパナヨーティス・アンドレウ(Panagiotis Andreou)、(7)「Ajaruli」で東欧の民族音楽とジャズを融合させるジョージア出身のサックス奏者ホンジ(Khondzi)と打楽器奏者エリボ・イメルリシュヴィリ(Elibo Imerlishvili)、南米屈指の若手ピアニストであるガブリエル・チャカルヒ(Gabriel Chakarji)など多様性を極める。
楽曲も多様だ。
まず、アルバム冒頭の(2)「Titu」でブラジル音楽へのリスペクトを表現し、驚くほどストレートなタイトルの(3)「Paco」ではフラメンコの抒情的な側面を見事に描き上げてみせる。かと思えば、つづく(5)「Creta」ではコンスタンディノス・レヴェラス(Konstantínos Révelas)の弾くブズーキと、パナヨーティス・アンドレウのヴォーカルも加わってギリシャの伝統音楽への深い造詣も見せるし、今作は前作で垣間見せていたタル・マシアハの音楽表現の豊かな土壌をさらに深く掘ってゆくような楽曲が並んでいる。
Tal Mashiach プロフィール
タル・マシアハは1993年、イスラエル北部ガリラヤ地方のハラシム生まれ。現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する、グラミー賞ノミネート歴を持つベーシスト/ギタリスト/作曲家/バンドリーダー。クラシック・ギターを10歳で始め、17歳からコントラバスを学ぶ。18歳のときにエルサレム音楽舞踊アカデミーの全国クラシック・ギター・コンクールで優勝し、イスラエル軍兵役中は「優秀音楽家(Exceptional Musician)」として活動した。さらに、アメリカ・イスラエル文化財団(AICF)の奨学金をクラシックおよびジャズ部門で継続的に受給している。
2015年、全額奨学金を得てニューヨークのThe New School for Jazz and Contemporary Musicへ留学。以後、ベーシスト、ギタリストとして急速に頭角を現し、アナット・コーエン(Anat Cohen)、トランペット奏者のアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)、ムラトゥ・アスタトゥケ(Mulatu Astatke)、ラヴィ・コルトレーン(Ravi Coltrane)、ジェフ・バラード(Jeff Ballard)、シャイ・マエストロ(Shai Maestro)ら数多くの第一線ミュージシャンと共演・録音を重ねてきた。また、Carnegie Hall、Blue Note New York、Lincoln Center、Newport Jazz Festival、SFJAZZ、Umbria Jazz、Montreal International Jazz Festival、東京Pit Innなど世界各地の著名な会場やフェスティヴァルにも出演している。
自身のプロジェクトとしては、ジャンルの垣根を越えた「TM Street Band」、ピアニストのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)とドラマーのオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)との「GTO Trio」を率いるほか、2022年には故郷ハラシムの森のキャビンで録音したソロアルバム作品『Tiyul』を発表。2026年にはAnzic Recordsからセカンド・アルバム『Who’s Around?』をリリースし、ジャズを軸にブラジル音楽、ギリシャ音楽、中東音楽、フラメンコなど多様な文化を融合した独自のサウンドを展開している。卓越した演奏技術と、異なる音楽文化を自然に結び付ける作曲・アレンジ能力によって、現代ニューヨークのクリエイティヴ・ジャズ・シーンを代表する新世代アーティストの一人として高い評価を集めている。
Tal Mashiach – guitar (1, 2, 3, 5, 6, 7, 8, 9, 10), bass (3, 6, 7), electric guitar (9), percussion (6)
Ofri Nehemya – drums (2, 3, 6, 7, 8, 9)
Gadi Lehavi – piano (2, 6, 9), organ (6, 9), keyboards (9)
Panagiotis Andreou – bass (2, 5, 8, 9), vocals (5)
Anat Cohen – clarinet (2, 5)
Maya Belsitzman – cello (3, 9, 10)
Itamar Borochov – trumpet (3)
Konstantínos Révelas – bouzouki (4, 5)
Vagelis Karipis – percussion (5)
Victor Pablo – percussion (6, 9)
Yonathan Peled – trombone (6, 9)
Itai Kriss – flute (6, 9)
Khondzi – saxophone, vocals (7)
Elibo Imerlishvili – doli (7)
Benjamin Furman – piano (8)
Gabriel Chakarji – piano, keyboards (9)
Dana Herz – vocals (9, 10)