鍵盤楽器とハベッカで紡ぐブラジルの素朴な音風景。アンドレ・メマーリ&カタリーナ・ロッシ

Catarina Rossi & André Mehmari - Arco de Rio

アンドレ・メマーリとハベッカ奏者カタリーナ・ロッシのデュオ作

ピアニスト/作曲家のアンドレ・メマーリ(André Mehmari)と、ハベッカ(ヴァイオリン)奏者のカタリーナ・ロッシ(Catarina Rossi)の共演作『Arco de Rio』。洗練されていながら素朴さも感じさせる、クラシックやブラジル北東部の伝統音楽にインスパイアされた歌心溢れる美しい音が散りばめられた素敵なアルバムだ。

収録曲は大型のハベッカとチェンバロで演奏される伝統曲(5)「Riacho de Areia (Beira Mar)」、メマーリとロッシ共作の(7)「Memória ao Mestre」以外はすべてアンドレ・メマーリの作曲。メマーリらしいアカデミックを超越した自由さやユーモアが随所に感じられ、(3)「Chão Batido」や北東部音楽を強く意識した(4)「A Flor do Manacá」にはパーカッションもオーヴァーダブされるなどバラエティ豊か。

それに呼応するカタリーナ・ロッシも素晴らしく、彼女は一般的なヴァイオリンから素朴な作りの大型のハベッカまでそれぞれの楽器の能力を最大限に引き出す魅力的な演奏で魅了する。

(2)「Acalanto da Rabeca」

アルバムはアンドレ・メマーリの自宅スタジオ「Estúdio Monteverdi」で録音。
(6)「Valsa Antiga」にはブラジルを代表するチェリストのジャキス・モレレンバウム(Jaques Morelembaum)がゲストで参加している。

ブラジルの伝統的な音楽の歴史への愛と敬意が込められた、聴き応えのある最高の一枚だ。

伝統曲(5)「Riacho de Areia (Beira Mar)」は、とりわけ古楽の趣に溢れる

プロフィール

アンドレ・メマーリ(André Mehmari)は1977年、リオデジャネイロ州の都市ニテロイにレバノン系の家系に生まれた。ピアニストや作編曲家としてジャズ、クラシック、ポップスなどジャンルの垣根を越え高い評価を得ているが、自身の作品ではピアノ以外の楽器を演奏することも多く、ギター、ヴァイオリン、コントラバス、フルート、トランペット、ホルン、パーカッションなど多彩な楽器を自在に演奏する。また、ブラジル国内外の数多くの音楽家と共演しており、プロデューサーとしても優れた作品を数多くリリースしている。
その音楽の才能は早くから示され、10歳でジャズを学び作曲も開始。同国を代表するピアニストとして知られるようになるまでそう長くはかからなかった。代表作は『Canteiro』(2007年)など。

カタリーナ・ロッシ(Catarina Rossi)はサンパウロ州出身のヴァイオリン奏者で、ピラシカバ交響楽団のメンバー。土着のポピュラー音楽の研究者であり、2014年にブラジル北東部ペルナンブコ州のハベッカの世界に没頭し、それ以来、伝統的な即興音楽プロジェクトや名手ネルソン・ダ・ハベッカ(Nelson da Rabeca)の音楽を通じてハベッカの都市化のプロセスを研究している。

André Mehmari – piano, keyboards, clavinet, harpsichord, synth, percussion
Catarina Rossi – violin, rabeca

Guest :
Jaques Morelembaum – cello

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