現代ジャズで個性を確立するトランペッター、シオ・クローカー。ネオソウルを取り入れた新譜

Theo Croker - By The Way

シオ・クローカー、ネオソウルに接近した新作EP

米国の気鋭トランペット奏者、シオ・クローカー(Theo Croker)の新作EP『By The Way』がリリースされた。今作は南ロンドン出身の女性ヴォーカリスト、エゴ・エラ・メイ(Ego Ella May)やDJ/プロデューサー/打楽器奏者のD’LEAUを全面的にフィーチュアし、ネオソウルの心地良さを纏った作品となっている。

(1)「THEO SAYS」から適度に脱力した、俯瞰的で魅力的な楽曲が続く。シオ・クローカーのトランペットはヴォーカルの補完的な役割を担っており、決して目立たないが思索的に音を選んでいくような演奏はなかなかに感じ入るものがある。

(1)「THEO SAYS」

ラストの(5)「SOMETHIN’」にはギタリストのジェフ・パーカー(Jeff Parker)が参加。本作の中ではもっとも熱く感情的なソロを弾き、その影響は他のバンドメンバーの演奏の熱量にも波及する。

Theo Croker 略歴

シオ・クローカー(本名:Theodore Lee Croker)は1985年フロリダ州生まれのジャズ・トランペッター/作曲家/プロデューサー。祖父は同じくトランペッターで、ベニー・グッドマンの楽団などでも活躍したドク・チーサム(Doc Cheatham, 1905 – 1997)。

彼は11歳でトランペットを始め、音楽大学を卒業後、演奏機会を求めて中国・上海に移住し7年間を過ごした。
2013年に帰国後はニューヨークを拠点とし、ジャズの解釈をサルサやフュージョン・ロック、R&B、ヒップホップ、ブルースなどにまで広げ、新世代のジャズを代表するミュージシャンとして活躍。
『AfroPhysicist』(2014年)や『Escape Velocity』(2016年)などジャンルの概念を取り払う個性的な作品は高く評価されている。

多様な文化の影響を受けたシオ・クローカーは、ジャズの成り立ちや現代ジャズが置かれた立場にまで深く切り込む鋭い思想の持ち主としても注目を集める存在だ。

本作のリリースにあわせて開催されたタイニー・デスク・コンサートの模様

関連記事

Theo Croker - By The Way
最新情報をチェックしよう!