マイケル・リーグ率いるBokantéの3rd『History』
スナーキー・パピー(Snarky Puppy)首謀者マイケル・リーグ(Michael League)率いるワールド・ミュージック集団、ボカンテ(Bokanté)の3rdアルバム『History』は、その重いアルバムタイトルに負けない重厚な雰囲気の作品だ。グアドループ出身の女性歌手マリカ・ティロリアン(Malika Tirolien)によってクレオール語で歌われる9つの楽曲は、勝者によって都合よく作られてきた歴史や文化や音楽に疑問を抱き、これまで光の当てられることのなかった立場にも目を向けさせようとする。
アルバムに添えられたライナーノーツの冒頭は象徴的だ。
物語を書き直そう。
realworldrecords.com
他の視点から語ろう。
見落とされた人、のけ者にされた人、違うことを知っている人を称えよう。
そして、できることなら、そうすべきなのだから、踊ろう。
アフリカや中東、アラブの民族楽器や音楽の特徴を主軸に、西洋音楽のノウハウも塗した独自のサウンドは“グローバル・ミュージック”そのものだ。マイケル・リーグはゲンブリやエレクトリック・ウードを弾いている。
そして、4人のパーカッショニストの存在感も強烈だ。スウェーデンの“フォークの叛逆者”ことヴェーセン(Väsen)のアンドレ・フェラーリ(André Ferrari)、スナーキー・パピーがグラミー賞を受賞する度に「日本人がグラミー賞受賞!」とメディアに騒ぎ立てられる長崎県出身の小川慶太(Keita Ogawa)、レバノンをルーツに持つ米国のベテラン打楽器奏者ジェイミー・ハダッド(Jamey Haddad)、ガーナ生まれニューオーリンズ育ちのウィーディー・ブライマ(Weedie Braimah)が叩き出す嵐のようなリズムは本作の大きな魅力だ。
低音や打楽器の音はやはり本能を踊らせてくれる。
楽曲の構成はグナワのように単調すぎず、ジャズのように難しすぎない。ブルースをアフリカでやったらこうなる、といった塩梅もちょうど良い。コンセプトもサウンドも、素晴らしいクオリティの作品に仕上がっていると思う。
本作はミクスチャー音楽の盛んなスペイン・バルセロナでレコーディングされた。
Malika Tirolien – vocals
Weedie Braimah – djembe, congas
Keita Ogawa – congas, dohola, cymbal, chains, claps, bendir, bells, darbuka, surdo, caixa, riq, krakeb, kanjira, timbau, bomb legüero
Jamey Haddad – Kuwaiti tar, ocean drum, finger cymbal, chains, bells, claps, kanjira, cowbell, shekere, palm brushes, vocal percussion, bendir, darbuka, metal pots, anklung
André Ferrari – bombo legüero, frame drum, bells, grouse pipe, bass drum
Michael League – guimbre, electric oud, electric bass, vocals, claps, ngoni, krakeb
Chris McQueen – electric guitar, acoustic guitar
Bob Lanzetti – electric guitar, acoustic guitar, nylon string guitar
Roosevelt Collier – lap steel guitar