独自の“ワールド・ミュージック”を探求するAO Music、多文化共生を祝う新作『Otherness』

AO Music - Otherness

AO Music 7枚目のアルバム『Otherness』

AO(エイオー)とは、古代ポリネシア語で“純粋な光”あるいは“すべての色”を指すらしい。セントルイス出身のリチャード・ギャナウェイ(Richard Gannaway)とジェイ・オリヴァー(Jay Oliver)を中心に2000年にデビューしたエイオー・ミュージック(AO Music)。独自の“ワールド・ミュージック”を探求し続けてきた彼らが、通算7枚目の新作『Otherness』をリリースした。

活動の途中で彼らは南アフリカ出身でフレディ・マーキュリーやカイリー・ミノーグのバック・ヴォーカリストを務めたこともある女性歌手ミリアム・ストックリー(Miriam Stockley)と、インド・ムンバイを拠点とするボルウッド映画音楽作曲家/マルチ奏者のサンディープ・チョウタ(Sandeep Chowta)をメンバーに加えており、今作もアフリカや南アジアの影響が色濃い独特のポピュラー・ミュージックとなっている。

(1)「Unn Goh Rach」では国際的に活躍するインド出身の歌手/バンスリ奏者ヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)がバンスリを吹いている。さまざまな人々が踊るMVとあわせ、世界中の文化の多様性を賞賛する楽曲だ。
ヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパルはアルバムのタイトル曲(7)「Otherness」でも素晴らしい歌を聴かせてくれる。

彼らの多くの曲のリフレインの歌詞はさまざまな古代言語を参考に彼らが独自に作成した言語によって歌われており、これは世界中の誰が聴いてもエキゾチックで新鮮な印象を与える効果があるという。今作ではズールー語、ウェールズ語、チベット語を参考にした歌詞や、英語で歌われる曲((3)「Hero’s Masquerade」など)もあり、親しみやすさも感じさせる。

英語詞で歌われる(5)「Ukweli」にはウェールズの児童合唱団が参加。
ホーミー(喉歌)も印象的な(9)「Om Mani Peme Hum」はチベットの音楽にインスパイアされたもので、中国のヴォーカル・デュオがフィーチュアされている。
ラストの(12)「Calon Lân」はウェールズの伝統歌のアレンジで、ここでも児童合唱団をフィーチュア。

AO Musicの音楽は世界の様々な音楽の文化を取り入れてはいるが、楽曲の根底に常に揺るぎなく存在しているのは西洋音楽の理論だ。それが多くのリスナーに親しまれ、受け入れられる要素であることは間違いない。

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