セネガル系フランス人SSW、Awa Ly『Essence and Elements』
セネガルにルーツを持つフランス出身シンガーソングライター、アワ・リー(Awa Ly)の『Essence and Elements』(2025年)。大地、水、風、火の“四元素”をテーマに、4つのパートでそれぞれ異なるプロデューサーを迎えてのコンセプチュアルな作品だ。
(1)「Ô Gaïa」から、彼女の世界観に惹き込まれる。この“大地”パートでは、“サンプリングの魔術師”の異名を持つニコラス・レパック(Nicolas Repac)がプロデュースを担当。楽曲を通じて、コシ(Koshi)と呼ばれる鈴のような楽器の音色が聴こえる。コシはフランスのピレネー山脈の麓の工房で手作りされている竹製のチューブラー・ウィンドチャイムで、四元素それぞれを表す異なる調律が施された楽器群でもある。ここでは大地のコシ(Koshi Carillon Terra)が演奏されており、この楽器が持つ自然で瞑想的な音色が大地との繋がりを歌う音楽に溶け込み、深い味わいを与えている。
アルバムからの最初のシングルカットである(2)「My Essence」で、アワ・リーは自身の核と、大地に深く根ざすことの大切さを歌う。
(4)「Summer Rain」からはロッサパルド(Lossapardo)がプロデュースする“水”のパートとなる。ここではピアノやストリングスなどの柔らかさが包容力を示し、移ろいゆく感情や心の浄化が歌われている。
(7)「Breathe in, Breathe out」からの“風”のパートでは、ハンナ・ヴァサン(Hannah Vasanth)がプロデュースを担当。サウンドはよりジャジーで感傷的になってゆく。
(10)「Le Feu」からの“火”パートは、レオニー・ペルネ(Léonie Pernet)がプロデューサーを務める。ダークな低域などエレクトロニックが多用され、儀式的な没入感を伴いながら物語を締めくくる。
いくつかの曲にはセネガル出身のコラ奏者アブライエ・シソコ(Ablaye Cissoko)が参加し、アフリカの自然を思わせる郷愁を優しく塗している。
Awa Ly プロフィール
アワ・リーは、1977年フランス・パリに生まれたセネガル系フランス人のシンガーソングライター/俳優。両親がセネガル出身で、家族の多くはセネガルの首都ダカールに暮らしている。
幼少期をパリで過ごした後、現在はイタリア・ローマを拠点に活動。多言語を操るポリグロットとして知られ、音楽を生涯の軸に多様なキャリアを重ねてきた。2009年にデビューアルバム『Modulated』をリリースして以来、ソウル、フォーク、ジャズを自然に融合させた温かくスピリチュアルなボーカルで国際的な注目を集めている。2016年の『Five and a Feather』、2020年の『Safe and Sound』に続き、2025年5月には最新作『Essence and Elements』を発表した。
音楽活動の傍ら、女優としても活躍し、2011年のイタリア映画『Escort in Love』などに出演したほか、2013年にはイタリアの著名SSWピノ・ダニエレ(Pino Daniele)の国際ツアーに参加するなど、ジャンルを超えた交流を続けている。