- 2023-07-10
- 2023-07-09
深い情感を秘めた魅惑の歌声。メキシコ出身歌手マゴス・エレーラの新譜『Aire』
ジャズやボサノヴァ、ショーロの影響を受けたメキシコのシンガー、マゴス・エレーラ(Magos Herrera) の新譜『Aire』は、室内楽オーケストラとジャズバンドをバックに、彼女の深みのある魅力的な歌声を堪能できる素敵な作品だ。
ジャズやボサノヴァ、ショーロの影響を受けたメキシコのシンガー、マゴス・エレーラ(Magos Herrera) の新譜『Aire』は、室内楽オーケストラとジャズバンドをバックに、彼女の深みのある魅力的な歌声を堪能できる素敵な作品だ。
シンガーソングライター/ギタリストのオムリ・ポラット(Omri Porat, ヘブライ語:עומרי פורת)を中心にイスラエルのエルサレムで結成されたグループ、ティユル(Tiyul)のデビュー作『Shibolim』が最高に心地いい。バンドは4人で、オムリ・ポラットによるガットギターとヴォーカルのほか、フルート、ダブルベース、パーカッションという編成。木漏れ日のような温かくオーガニックなアンサンブルは音楽的に非常に洗練されており、リラックスの極致を味わわせてくれる。
スコットランドのヴォーカリスト、ルイーズ・ドッズ(Louise Dodds)と、アゼルバイジャン出身のピアニスト、エルチン・シリノフ(Elchin Shirinov)のデュオによるスコットランド歌曲集 『Two Hours After Midnight』がリリースされた。スコットランドの原風景を感じさせる素朴で美しい旋律と歌声、個性的で優れた編曲とピアノ演奏がジャズの感性で調和し、耳に優しく響く素晴らしい作品だ。
イスラエル・テルアビブを拠点に活動するインディー・フォークバンド、MIQEDEMの3rdアルバム 『Eshkona』。傑作と絶賛された前作『כרך ב׳』の民族音楽的なニュアンスをそのままに、さらにサウンド面で洗練された音楽に仕上がっている。“休息”をテーマにした今作には安堵はあれど暗澹さはまったくない。全編にわたって感じられるのは辛い時期を乗り越えて未来へ向かう希望だ。
南インド出身の歌手/作曲家/ダブルベース奏者/学者のガナーヴィヤ(Ganavya)と、ブラジル出身のギター/ベース奏者/作曲家ムニール・オッスン(Munir Hossn)。異なる文化的背景を持ちながら、ともに国際的に注目される二人のアーティストによる初のデュオアルバム『Sister, Idea』は、余計なものを一切排除しつつもそれぞれの類稀な感性と圧倒的な技術で相当に深みのある音楽作品となっている。
モロッコ出身で現代グナワ音楽を代表するアジズ・サハマウイ(Aziz Sahmaoui)と、アメリカ合衆国のチェロ奏者エリック・ロングスワース(Eric Longsworth)による双頭名義の『Il fera beau demain matin jusqu'à midi』。アラビア語、フランス語、英語でフォーク・ミュージックやジャズ、ブルースをグナワ音楽と巧みに融合させる試みだ。
ユダヤ系のディアスポラである4人のメンバーで構成されたカナダのバンド、ブラック・オックス・オーケスター(Black Ox Orkestar)が実に15年ぶりとなる新作『Everything Returns』をリリースした。バンドは2000年にモントリオールで結成され、2006年までに2枚のアルバムをリリースしていたが同年に解散。今作は2021年に再結成されてから最初の作品となる。
アルジェリア出身のシンガーソングライター/ギタリストのスアド・マッシ(Souad Massi)は、通算10枚目となる新作『Sequana』で彼女の音楽の幅をさらに広げた。プロデューサーはアラブやアフリカ音楽にも造詣の深い英国のギタリスト、ジャスティン・アダムス(Justin Adams)。
イタリアのシンガーソングライター/打楽器奏者、ラケーレ・アンドリオーリ(Rachele Andrioli)の新作『Leuca』は、南イタリア・サレント地方の伝統的な音楽と現代的な洗練の完璧な融合だ。ラケーレ・アンドリオーリの強靭な意志を感じさせる歌声、地中海の打楽器、女性コーラスグループCoro a Coroの重厚な響きの合唱、そして名手レディ・アサ(Redi Hasa)の美しいチェロのアレンジも魔法のように折り重なり、個性的かつ素晴らしい作品に仕上がっている。
チャーリー・ハンター(Charlie Hunter)との共演で知られるメキシコのフォーク・ポップ・シーンの新星シルバナ・エストラーダ(Silvana Estrada)のソロ・デビュー作 『Marchita』は、近年ますます注目されるラテン音楽の中でも際立って退廃的な美しさを湛え、それがゆえに親近感を抱いてしまう傑作だ。
これまでAfion、Zykopops、Anfi Trionといったバンドで歌ってきたクロアチア出身の歌手リディア・ドクゾヴィッチ(Lidija Dokuzovic)が、ギター、ダブルベースとの自身のトリオで 録音したアルバム『I've Heard』は、南スラヴの伝統的な音楽に焦点を当てた繊細で郷愁感のある美しい作品だ。
優れた才能を輩出し続けるテルアビブの音楽シーンから、また若く素晴らしいシンガーソングライターが現れた。シェリー・アーチャー(Shelly Archer)のデビューEP『Lovebird』は、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)からフィービー・ブリジャーズ(Phoebe Bridgers)に連なる系譜を継ぐ新たな才能の出現を高らかに宣言する。
アルゼンチンの新鋭シンガーソングライター、デルフィーナ・マンカルド(Delfina Mancardo)の初のフルレンス・アルバム『Octante』。これは素晴らしすぎる。想像力の翼で地球を自由に飛び、いつまでも終わらない夢の中を揺蕩たゆたうような心地よさ。彼女自身が弾く控えめなアコースティックギターと南米音楽らしい丁寧で洗練された室内楽的なアレンジはどこまでも美しく、ヴォーカリストとしての表現力を際立たせる。
アメリカーナ・ミュージック・アワードの新人部門にノミネートされるなど大いに注目されたソロデビュー作『Putting On Airs』から3年、アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルのSSWエリン・レイ(Erin Rae)の待望の2ndアルバム『Lighten Up』がリリースされた。ギターを手に歌い、素朴なアメリカーナを体現する彼女の音楽は今回も純朴で親しみやすく、多くの人の心に響くことだろう。