ロンドンで活躍するザンビア出身SSWナンヴラ、社会的テーマを独自の音で表現する新作

Namvula - All Shades of the Sun

Namvula 『All Shades of the Sun』

ロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター、ナンヴラ(Namvula)。彼女のアイデンティティはアフリカ南部の内陸国ザンビアにあり、彼女の音楽もまた、ザンビアの伝統的な音楽スタイルとロック、ジャズ、フォークなどのジャンルを融合させた独自のものを築いている。彼女の新作EP『All Shades of the Sun』は、前作『State of Emergency』で試みたエレクトロニックとの融合は幾分影をひそめ、ギターを中心とした素朴な曲調、丁寧なサウンド・プロダクションが印象的な作品に仕上がっている。

今作のテーマはナショナリズムの台頭、環境問題、BLM(Black Lives Matter)運動、消費主義、政治的無関心など、現代社会の複雑なプロセスから生まれたさまざまな歪みだ。EPに収録された5つの楽曲はいずれも彼女の深い考察から得られた社会的態度の表明であり、例えば移民問題や人種差別についての怒りを含んだ(3)「The Crossing / Mbira」の歌詞などは象徴的だ。

この皮膚の下では私たちは皆同じ
この奇妙で冷たい世界を理解しようとしている

The Crossing / Mbira

(4)「Dust to Dust」。老人たちの死によって伝統文化が失われ、それに付随する社会的・文化的タペストリーの糸がほつれていくことを嘆いている。 

今作はPRS FoundationHelp Musicians、そしてクラウドファンディングからの経済的支援によってサポートされた。こうした優れた芸術家への感心や支援が、豊かな文化形成に果たしている役割も大きい。

Namvula プロフィール

ナンヴラことナンヴラ・レニー(Namvula Rennie)はザンビア人の母親とスコットランド人の父親の間にザンビアで生まれた。ザンビアの著名な歌手モーリーン・リランダ(Maureen Lilanda)は彼女の叔母にあたる。
幼少期からピアノを習っていたが、レッスンでの試験が嫌で代わりにギターを弾き始め、同時に曲作りを始めた。

20代の前半までは写真関係の仕事でキャリアを築いたが、“自分の人生には何かが欠けている”と気づき音楽の世界への転身を決意。もっとも大きな転機は2012年のロンドン・パラリンピックのプロジェクトを通じて南アフリカの伝説的なトランペット奏者ヒュー・マセケラ(Hugh Masekela, 1939 – 2018)と出会ったことで、生涯を通じてアパルトヘイトとの闘いに多大な貢献をしてきた彼の政治的信念と活動に感銘を受けたという。
以降、彼女はそれまでに経験してきたザンビア、スイス、ケニア、米国、英国での暮らしで得た知見も糧に、さまざまな人生や社会問題をテーマに音楽を制作。2017年に『Quiet Revolutions』でデビューした。

Namvula – vocals
Liran Donin – bass, synth, bv’s, claps, guimbri
Yuval Wetzler – drums
Phil Dawson – guitar

Namvula - All Shades of the Sun
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