- 2023-02-28
- 2023-02-28
現代ジャズで個性を確立するトランペッター、シオ・クローカー。ネオソウルを取り入れた新譜
米国の気鋭トランペット奏者、シオ・クローカー(Theo Croker)の新作EP『By The Way』がリリースされた。今作は南ロンドン出身の女性ヴォーカリスト、エゴ・エラ・メイ(Ego Ella May)やDJ/プロデューサー/打楽器奏者のD’LEAUを全面的にフィーチュアし、ネオソウルの心地良さを纏った作品となっている。
米国の気鋭トランペット奏者、シオ・クローカー(Theo Croker)の新作EP『By The Way』がリリースされた。今作は南ロンドン出身の女性ヴォーカリスト、エゴ・エラ・メイ(Ego Ella May)やDJ/プロデューサー/打楽器奏者のD’LEAUを全面的にフィーチュアし、ネオソウルの心地良さを纏った作品となっている。
ヴォーカル/作詞作曲のレベッカ・ンボングー(Rébecca M'Boungou)とギターのアーナウ・エスター(Arnaud Estor)のデュオ・ユニットとして2018年にデビュー作『Earthquake』をリリースしたコリンガ(Kolinga)が、6人編成となってリリースした2ndアルバム『Legacy』。この編成強化により、ギターとヴォーカルを中心にサウンドが組み立てられていた前作から大幅に色彩感がアップ。当初より高い評価を得ていたレベッカの歌声の魅力はそのままに、より訴求力の高い作品に仕上がった。
“サイケデリック R&B”を自称する英国ロンドン南東部出身のSSW、グリーンティー・ペン(Greentea Peng)が面白い。2021年のデビューアルバム『MAN MADE』に続く2022年作『GREENZONE 108』で、彼女は更なる飛躍を遂げて見せた。
ドイツ人でクリスチャンで白人の母と、ソマリア人でムスリムで黒人の父との間にベルリンで生まれ、現在はUKで活動するシンガーソングライター、サーラ・グー(Sahra Gure)が素晴らしい。2022年に2作目となる新作EP『Stolen Moments』をリリース。新作ではサウンドもソングライティングもますます洗練されており、R&Bやネオソウル、ジャズの混淆であり適度にキャッチー&ポップな感性は、あらためて新世代の最注目音楽家であることを知らしめる。
米国生まれながら、インドにルーツをもつ歌姫ラヴィーナ(Raveena)はメジャーデビュー作のタイトルを 『Asha’s Awakening』とした。この物語の主人公アシャのモデルはアシャ・プスリだ。今作は遥か遠く古代のパンジャーブの宇宙王女が、数世紀に渡る旅を通じた愛と喪失を経て、その後の癒しと破壊について学ぶというコンセプトを具現化している。
モロッコ系イスラエル人のSSW、J.ラモッタ すずめの2022年新譜『So I've heard』。これまでは英語詞での音楽表現をメインに活動してきた彼女が初めてほぼ全編で母国語であるヘブライ語を用い、ヒップホップ/ネオソウルの明瞭なサウンドに中東音楽のエッセンスも適度に取り入れた意欲作となっている。
ブラジル・バイーア生まれのシンガーソングライター、シェニア・フランサ(Xenia França)が2ndアルバム『Em Nome da Estrela』をリリースした。前作『Xenia』(2017年)はここ日本でもアフロ・ブラジル系ネオソウルの傑作として高く評価されたが、今作も伝統的なブラジルの多彩なリズムに現代的なサウンド、ソフトな歌声が相まって極上のヴォーカル・アルバムに仕上がっている。
新型コロナウイルスの影響で日程を延期しての開催となった2022年グラミー賞。王者ブルーノ・マーズ(Bruno Mars)率いるシルク・ソニック(Silk Sonic)が主要部門で強さを見せる中、ジョン・バディステ(Jon Batiste)の最多5部門受賞がサプライズを起こしたのは記憶に新しいのではないだろうか。最優秀アルバム賞に輝いた『We are』の楽曲「Sing」を共作・プロデュースしたのが、ザック・クーパー(Zach Cooper)とヴィック・ディモツィス (Vic Dimotsis)のプロデューサーデュオ、キング・ガービッジ(King Garbage)。彼らは同グラミー賞にノミネートされたリオン・ブリッジズ(Leon Bridges)の楽曲「Sweeter」でもペンを執る、まさに今後のアメリカン・ソウルを牽引していくと言っても過言ではないアーティストだ。
南カリフォルニア大学在学中に結成された新世代ネオ・ソウルバンド、ムーンチャイルド(Moonchild)の最新作『Starfruit』が今年リリースされた。フロントマンであり紅一点のボーカル、アンバー・ナヴラン(Amber Navran)をはじめ、マックス・ブリック(Max Bryk)、アンドリス・マットソン(Andris Mattson)とメンバー全員がマルチプレイヤーであるムーンチャイルドの最新作は、心地よいメロウネスはそのままに、我々にまた新たな色を見せてくれる。
歌?楽器?カテゴリとしてはエフェクターであり、楽器の音をビニールチューブを通して演奏者の口に入れて響かせるというその衝撃的なビジュアルと、ホワホワしたその特徴的な音色が耳に残って離れない、トーキング・モジュレーター(通称:トークボックス)。ザップ(Zapp)および、そのフロントマンであるロジャー・トラウトマン(Roger Troutman)などのPファンクに愛された音というイメージだが、ロック界隈ではボン・ジョビ(BON JOVI)があの有名な「Livin’ on a Player」や「It's My Life」で使っていたり、最近ではブルーノ・マーズ(Bruno Mars)が「24K Magic」で使用したことで再度注目を集めている。
若くして、その才を世界に見せつけた天才。それが「神童」の定義だとするのならば、ここにもう一人の「神童」をご紹介したい。英国出身のマルチアーティスト、ジェイコブ・コリアー(Jacob Collier)。奇しくも大谷・羽生と同じ27才もまた、世界に大きく羽ばたこうとしている。ここではコリアーの作品の中でも最もワールドミュージックの色濃い2019年作『Djesse Vol.2』(ジェシーVol.2)をご紹介したい。
今から約10年前。タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, the Creator)が、デビュー作『Goblin』で発表した楽曲「Yonkers」はあまりにも衝撃的だった。2011年のビルボードチャートと言えば、LMFAOの「Party Rock Anthem」に代表されるようにEDM真っただ中。そんな中、MVのインパクトもさることながら「Yonkers」はウータン・クランの再来かと思うくらいのミニマルでスリリングなサウンドとクオリティで、シーンに殴り込みをかけてきたのだ。
ジャズピアニストであり、同時にヒップホップのMCでもあるという肩書きを持つミュージシャンを探すことは容易ではないが、ロンドンの鍵盤奏者/SSW/MC/プロデューサーのアルファ・ミスト(Alfa Mist)は、これまでに2017年のデビュー作『Antiphon』などでそれらを両立する稀有な才能を示し証明してきた数少ないアーティストのひとりだ。
アルゼンチンのSSW、ニコラス・カロウ(Nicolás Carou)が様々なゲストを迎えて制作した知られざる傑作盤『Antes, Último』(2020年)。ネオソウル、ヒップホップ、ジャズといった要素が絡み合い、全体としてオーガニックで心地よいグルーヴを形成する。