- 2024-06-17
- 2024-06-16
オリエンタル・マカームの新時代を開拓するエジプトの天才ウード奏者モハメド・アボゼクリ
エジプトの天才的ウード奏者モハメド・アボゼクリ(Mohamed Abozekry)の新作『Roh El Fouad』。とかく伝統楽器としての側面が注目され、古典的な振る舞いを求められがちなウードという楽器の伝統に囚われない自由で先進的な演奏が新鮮。6人編成のバンドでアラビック・ミュージックをジャズの語法に持ち込んだ、大胆かつ美しいアルバムだ。
エジプトの天才的ウード奏者モハメド・アボゼクリ(Mohamed Abozekry)の新作『Roh El Fouad』。とかく伝統楽器としての側面が注目され、古典的な振る舞いを求められがちなウードという楽器の伝統に囚われない自由で先進的な演奏が新鮮。6人編成のバンドでアラビック・ミュージックをジャズの語法に持ち込んだ、大胆かつ美しいアルバムだ。
新しいアラビック・ポップスターの誕生だ。中東パレスチナと南米チリをルーツに持つシンガー、エリアナ(Elyanna)が驚くべきデビューアルバム『WOLEDTO』をリリースした。2023年のコーチェラ・フェスティバルで史上初の全編アラビア語で歌い切ったアーティストとして大きな話題となり一躍メインストリームに躍り出た彼女による、アラビック・ポップの新時代の幕開けを告げる象徴的なアルバムだ。
トルコ・イスタンブールを拠点とする7人編成のバンド、デヴェラー(Develer)。ピアノ、シンセ、ドラムス、エレクトリック・ベースという西洋音楽の楽器に加え、弓弾きするタンブールやフレットレスのクラシックギター、ダラブッカといったこの地域特有の楽器を加えた微分音満載のジャズ・アンサンブルがなんとも魅惑的だ。
フランス人の母親とイラク人の父親を持つウード奏者/作曲家、アミン・アル・アイディ(Amin Al Aiedy)のデビュー作『SHAMS』は驚きに値する。西洋とアラブ、常に二つの文化が当たり前に存在する環境で育った彼が今作で魅せるのは西洋の音楽理論をベースにしていながら、従来その枠内では発想することさえ難しかった斬新な旋律だ。
チュニジア出身のヴィオラ・ダモーレ奏者ジャッセル・ハジ・ユーセフ(Jasser Haj Youssef)の新作『Reminiscence』は、フランスの世界遺産シャンボール城の広間で収録した深淵な響きが神秘的で美しい作品だ。収録曲のほとんどはヴィオラ・ダモーレの独奏だが、数曲でガエル・カドー(Gaël Cadoux)がローズピアノを演奏しており、古楽器と電気楽器の対比も面白い。
1995年チュニジア生まれのピアニスト、ワジディ・リアヒ(Wajdi Riahi)のピアノトリオ第二作目となる『Essia』には、メンバーを変えずに新たに録音された11曲が収録されている。チュニジアの伝統音楽からヨーロッパの洗練されたジャズまで、多様性の象徴かつ最も高度なジャズが繰り広げられる圧巻の作品。
欧州最大のソング・コンテストである「ユーロヴィジョン」優勝経験のあるウクライナの歌手/作曲家ジャマラ(Jamala)が、故郷クリミアの名を冠した新作『QIRIM』をリリースした。今作はクリミア半島に伝わる古い歌がイスラム文化の特徴をもった素晴らしいオーケストラ・アレンジで収録されており、80人以上のクリミアの音楽家が参加する壮大な作品となっている。
パレスチナのシンガーソングライター、ハヤ・ザートリー(Haya Zaatry)が16歳のときにギターを手にし独学で曲を書き始めたとき、自分と同じようにアラビア語で歌う女性ミュージシャンはほとんどいなかった。だから、彼女は米国のジョニ・ミッチェル(Joni Mitchel)やアルジェリアのスアド・マッシ(Souad Massi)のアルバムが彼女の大きな影響源となった。
ヨルダンの首都アンマンで2007年に結成されたアウトストラッド(Autostrad)はロック、レゲエ、ラテン、ファンク、ジャズ、アラブ伝統音楽を組み合わせたバンド名「高速道路」のとおりの疾走感のある音楽をアラビア語のヨルダン方言で歌う、アラブ圏で非常に人気のあるバンドだ。アラビア語圏を中心に各国でツアーを行なっているが、2014年にはイギリス・ロンドンでも演奏をした。
レディオヘッドのサウンドの中核を担うギタリスト、ジョニー・グリーンウッド(Jonny Greenwood)が、長年の友人でもあるイスラエルの音楽家ドゥドゥ・タッサ(Dudu Tassa)とともに、中東全域から歌手やミュージシャンを集め、中東全域から集められた古典的なラブソングのコレクションを録音したアルバム『Jarak Qaribak』を今年発表した。2023年パレスチナ・イスラエル戦争が始まってしまった今、改めて、このアルバムと向き合う。
フランスのクレズマー・クラリネット奏者ヨム(Yom)は、2021年の傑作『Celebration』と同じくピアニストのレオ・ジャセフ(Léo Jassef)とデュオを組んだ新作『Alone in the Light』で、歴史の影を背負い生きる人々の孤独に焦点をあてる。
シリア出身の新星ウード奏者/作曲家/シンガー、ジャワ・マンラ(Jawa Manla)がアラブの古典音楽をベースにジャズや西洋クラシックの要素を取り入れた美しいアルバム『Distant Roots』でデビューした。収録の5曲はいずれも10分前後と長尺で、ジャワ・マンラ作曲による器楽曲と、彼女がシリアで過ごした子供時代に聴いたアラビア語の曲にインスパイアされた歌曲が収められている。
アラブ音楽やアンダルシア音楽に精通するモロッコ出身のウード奏者/作曲家モハメド・アハダフ(Mohamed Ahaddaf)の通算4枚目のアルバム『Ana W'inta』がリリースされた。2019年に加入した中東や北アフリカ音楽を専門とするオランダ・アムステルダム拠点のマルムーシャ・オーケストラ(Marmoucha Orchestra)とともに作り上げた作品で、15人ほどの豊かなアンサンブルで個性的なアラビック・ジャズを聴かせてくれる興味深い作品だ。
スナーキー・パピー首謀者マイケル・リーグ率いるワールド・ミュージック集団、ボカンテ(Bokanté)の3rdアルバム『History』は、その重いアルバムタイトルに負けない重厚な雰囲気の作品だ。グアドループ出身の女性歌手マリカ・ティロリアン(Malika Tirolien)によってクレオール語で歌われる9つの楽曲は、勝者によって都合よく作られてきた歴史や文化や音楽に疑問を抱き、これまで光の当てられることのなかった立場にも目を向けさせようとする。