- 2023-10-31
- 2023-10-31
間違いのない極上のジャズ・リスニング体験。経験豊富なピアニスト、シャウル・エシェット新譜
イスラエルのピアニスト、シャウル・エシェット(Shaul Eshet)のピアノトリオ第二作『U R Now』。前作からトリオのメンバーを変え、今回は全員がイスラエル出身者となっているが、そのサウンドは所謂“イスラエルジャズ”に見られるような大胆で特徴的な民族的要素はほぼなく、どちらかと言うと良質なヨーロピアン・ジャズのようだ。
イスラエルのピアニスト、シャウル・エシェット(Shaul Eshet)のピアノトリオ第二作『U R Now』。前作からトリオのメンバーを変え、今回は全員がイスラエル出身者となっているが、そのサウンドは所謂“イスラエルジャズ”に見られるような大胆で特徴的な民族的要素はほぼなく、どちらかと言うと良質なヨーロピアン・ジャズのようだ。
アルバニア出身の歌手エリーナ・ドゥニ(Elina Duni)、ロンドンのギタリストのロブ・ラフト、ピアノとドラムスを担当する同じくロンドンのフレッド・トーマス、そしてスイス出身のフリューゲルホルン奏者マチュー・ミシェルの4人による新作『A Time to Remember』がリリースされた。移民が置かれた状況をテーマとしその音楽的豊かさから絶賛された前作『Lost Ships』と同じメンバーで、アルバニアの伝統音楽にインスパイアされたオリジナル曲を深い叙情を湛え描く。
メキシコ出身のベーシスト/作編曲家、マウリシオ・モラレス(Mauricio Morales)が多数のゲスト・ヴォーカリストを招いて初のヴォーカル・アルバム『The Endless Ride』をリリースした。デビュー作『Luna』が子ども時代の回想のノスタルジーに溢れた作品だとすれば、今作は数多の才能との出会いを経て加速度的に進化する音楽家としての自身の現在の姿、といえそうだ。
フロリダ州マイアミのソウル・ジャズ・オルガントリオ、レモン・シティ・トリオ(Lemon City Trio)の新譜『Postcards』。雷鳴のような適度に歪んだギターを中心とした歌心と野生味が溢れるジャズで、オルガントリオという編成のファンには堪らない音だ。
トルコやアラブの古典音楽やインドの古典音楽を学び、エレクトロニックと融合する独自の活動を続けるイスラエルのウード奏者、ヤニフ・タイヒマン(Yaniv Taichman)の旗振りのもと、イスラエルの豊かなシーンの中でも音楽的感覚と技術で特に抜きん出たグループであるピンハス&サンズ(Pinhas & Sons)のメンバーらを迎えた非常に興味深い4人組バンド、タイヒマニア(Taichmania)のデビュー作がこの『Seventh Heaven』だ。
フランスのクレズマー・クラリネット奏者ヨム(Yom)は、2021年の傑作『Celebration』と同じくピアニストのレオ・ジャセフ(Léo Jassef)とデュオを組んだ新作『Alone in the Light』で、歴史の影を背負い生きる人々の孤独に焦点をあてる。
スペインのピアニスト、シャビ・トーレス(Xavi Torres)は、パンデミックによるロックダウンの最中、創造性を保つために1ヶ月間、毎日1曲ずつ曲を書いた。“検疫の曲たち”を表す今作『Quarantena Songs』は、それらの30曲の中から14曲(サブスクでは12曲を聴くことができる)を選び、2つのトリオで演奏した作品だ。
活動の空白期間を取り戻すように怒涛の勢いで新作をリリースするイスラエルのベーシスト、ヨセフ・ガトマン・レヴィット(Yosef Gutman Levitt)。2023年の立夏の頃に学生時代の旧友であり世界的ギタリストのリオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)とのリユニオン作『Soul Song』をリリースしたが、早くもその続編となるアルバム『Melodies Of Light』がリリースされた。
在イスラエルの4人の音楽家が組んだブラジル音楽集団、クアットリオ(QuatRio)のデビューEP『QuatRio』。たった4曲のミニアルバムながら、中東音楽や現代ジャズのエッセンスを注入した最高に技巧的かつオリジナリティ溢れる音楽性が面白い、充実した作品だ。
ドイツのジャズチャートで4ヶ月連続トップになるなど絶賛されたニルス・ラングレン率いる“4WD”(四輪駆動)プロジェクトの前作『4 Wheel Drive』(2019年)から4年。北欧ジャズの巨人たちによる第二弾『4 Wheel Drive II』がリリースされた。今作ではポール・サイモンやエルトン・ジョンといった往年の名曲を取り上げつつ、オリジナル曲の比重も増やしている。
米国のジャズ・サクソフォン奏者ジョシュア・レッドマン(Joshua Redman)の新作『Where Are We』は、長いキャリアを持つ彼がコロナ禍の中で構想した、初のヴォーカリストをフィーチュアした作品となっている。また、これまではワーナー・ブラザースやノンサッチから作品をリリースしてきた彼にとて初のブルーノート・レコードからのリリースだ。
欧州を代表するプログレバンド Magmaで活躍したドラマー/ピアニスト、シモン・グーベル(Simon Goubert)とセネガルのグリオの系譜のコラ奏者アブライエ・シソコ(Ablaye Cissoko)の二人によるプロジェクトが、これまでも強力なサポートを受けてきたピアニストのソフィア・ドマンシッチ(Sophia Domancich)そしてコントラバス奏者のジャン=フィリップ・ヴェレ(Jean-Philippe Viret)らを正式にメンバーとして迎え、バンド名:アフリカン・ジャズ・ルーツ(African Jazz Roots)として始動。
各地の民族音楽と呼ばれる特徴的な旋律やリズムを音楽の中に取り入れ、独自の音楽性を築いてきたフランスのジャズ・ピアノトリオ、EYM Trio。新作『Bangalore』ではインドの歌手/フルート奏者のヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)を全面的に迎え、彼らの創作の独自の魅力を強力にアピールする好盤となっている。
ジャズやネオソウル、さらにはブラジル・ミナス音楽などを独自の感性でミックスし表現する他に類を見ない米国LAの唯一無二のユニット、ノウワー(Knower)の2023年新譜『Knower Forever』。複雑な楽曲を超絶技巧で演奏しつつ、力の抜け具合もどこか絶妙で、聴けば聴くほどルイス・コール(Louis Cole)とジェネヴィーヴ・アルタディ(Genevieve Artadi)の二人の天才の術中にハマっていく。