儚げなフォークサウンドが魅力、イスラエル女性SSWカマ・ヴァルディ

Kama Vardi - Moonticket

イスラエルの女性SSW、カマ・ヴァルディ 珠玉の3rdアルバム

イスラエル産の王道フォークを行くシンガーソングライター/ギタリストのカマ・ヴァルディ(Kama Vardi)の2020年新譜『Moonticket』が素晴らしい。
シンプルながらどこか影を帯びた歌とギターで、触れただけで壊れてしまいそうな繊細なストーリーを歌う、儚げで美しい作品だ。

収録曲はジャクソン・ブラウン(Clyde Jackson Browne)作詞作曲で、ニコ(Nico)が歌い1960年代後半に大ヒットした(2)「These Days(青春の日々)」以外は全てオリジナル。
少し幼さの残る歌声で全編英語で歌われる楽曲群はどこまでも素朴で美しく、心安らぐものがある。ギターを片手に歌う彼女の姿は古き良き時代のフォークソングそのもので、若さゆえの過ち、喪失、愛、それらの経験から得たものをストレートに自然体で歌う。

(1)「Whatever Will Be」
(2)「These Days」はニコ(Nico)の大ヒット曲のカヴァー。

アルバムをサポートするミュージシャンの中で特筆すべきはジャズシーンで活躍するトランペット奏者セフィ・ジスリング(Sefi Zisling)、ソフトロックデュオ、アイザイア(Isaiah)のメンバーでSSWのトメル・イェシャヤフ(Tomer Yeshayahu)あたりだろうか。ソロ作品などでは強烈な個性を発揮する彼らだが、本作ではあくまでもカマ・ヴェルディの歌の引き立て役に徹している。

(5)「Under the Sun」

英国の路上で培われたシンガーソングライター

カマ・ヴァルディ(Kama Vardi)は1989年、エルサレム生まれ。著名な詩人/作家のヌリト・ザルキ(Nurit Zarchi)の孫、作家のイスラエル・ザルキ(Israel Zarchi)の曾孫にあたる。

17歳の頃に友人のエラ・ダニエル(Ella Daniel)とサシャ・ボイセン(Sasha Boyesen, 薬物の過剰摂取により23歳で死去)とともにイギリスに一時的に移住し、ロンドンのストリートなどで演奏を行った。2009年、19歳でイスラエルに戻り、エレクトリック・ロカビリーバンドを結成。何枚かの自主制作アルバムを録音している。

2012年に『Forgetmenot』でアルバムデビュー。2ndアルバム『Sof Maarav』はクラウド・ファンディングで資金を集め、2016年にリリースされている。

Kama Vardi – vocal, guitar
Shay Roth – keyboards
Sefi Zisling – trumpet
Nir Geva – guitar
Tomer Yeshayahu – guitar
Eden Bahar – drums
Dan Zeitune – bass
Harrison F Keithline – drums
Noga Davidson – bass
David Mizrahi – electric guitar

Kama Vardi - Moonticket
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