フランス現代JAZZシーン、若手最注目バンド「Uptake」

Uptake - Out of the Blue

フランスから期待の新星「Uptake」登場

フランス・パリを拠点に活動する若手4人組バンド、アップテイク(Uptake)の2020年作『Out of the Blue』がなかなかに凄い。凄いのに情報がほとんどなく調べるのに苦労したが、せめて備忘録としてはここに残しておきたい。バンドとしてか個人としてかは分からないが、きっとこれから大きく飛躍するはずの個性がここにはある。

パリのカルテット「Uptake」。
バンドメンバーはトロンボーンのロビンソン・クーリー(Robinson Khoury)、ピアノのバスティアン・ブリソン(Bastien Brison)、ベースのノエ・ベルン(Noé Berne)、ドラムスのポール・ベルン(Paul Berne)。ドラムとベースは兄弟だ。2014年にフランス有数のジャズタレントコンテストで優勝(この時、トロンボーンのクーリーは器楽奏者としての最優秀賞も受賞している)。2017年にデビュー作『Portraits』(EP)をリリース、初のフルアルバムである本作『Out of the Blue』も録音自体は2017年に行われているようだ。

若いバンドだけあって、サウンドは普通のピアノトリオにトロンボーンが加わりました、程度のものでは勿論ない。(1)「Sense」に象徴されるようにビートが強調され、ローズピアノやエレクトリックベースによる電化サウンドを軸とするがそこに所謂フュージョンの野暮さはない。全ての曲は鍵盤のバスティアン・ブリソンが中心となって作曲されており、洗練さと同時に近年のUKジャズにも通じるキャッチーさも感じさせる。ここに絡むトロンボーンが特に秀逸で、この楽器特有の暖かみがなんともいえない色をこのバンドに与えている。

ジェイソン・リンドナー(Jason Lindner)、ロバート・グラスパー(Robert Glasper)、ロビン・ユーバンクス(Robin Eubanks)といった現在のニューヨークのジャズシーンからの影響を公言しており、“Out of the Blue”という今作のアルバムタイトルもそうした現代的なジャズシーンを意識したものだろう。

Uptake というバンドとしての演奏動画がほとんどアップされていないので映像で紹介しきれないことが残念だが、このバンドは演奏技術も音楽性も素晴らしい。鍵盤のバスティアン・ブリソンなどはNYジャズの中心的なドラマー、アリ・ホーニグ(Ari Hoenig)とも共演を果たすなど個性的なピアニストとしても名声を高めているようだ。
今、大いに注目しておきたいグループである。

Uptakeとしての映像はこれしか確認できなかった(2015年のもの)。
初期の頃はベーシストが違っているようだ。

Robinson Khoury – trombone, effects
Bastien Brison – piano, rhodes
Noé Berne – bass, guitar (4)
Paul Berne – drums

Uptake - Out of the Blue
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