リカルド・モレノ&ジェンク・エルドアン 初のデュオ作
スペインのフラメンコ・ギタリスト、リカルド・モレノ(Rycardo Moreno)とトルコのフレットレス・バリトンギター奏者ジェンク・エルドアン(Cenk Erdoğan)の初のデュオ作『Connected Disconnection』。タイトル「接続された分断」は互いに言葉の通じない二人が音楽によって心を通じ合わせる様を表現する。
二人は2018年にイスタンブールで初めて出会い、2019年に再開。アメリカやスペインでのツアーの中で曲を完成させ、イスタンブールに隣接するユスキュダルにあるジェンク・エルドアンのスタジオで演奏を録音した。
互いの出身地域を曲名に冠した(4)「Andalucía & Anatolia」に象徴されるように、言葉によらない会話を交わすようなスペインとトルコの音楽文化の交歓が最高に素敵な一枚だ。
明るく鋭い音色のフラメンコギターと、微分音も効果的に用い粘るように演奏されるフレットレス・ギターが互いにソロを取り合う様子はまさに“異文化交流”。楽器や演奏方法こそ多少異なれど、ともに2本のギターに張られたナイロン弦の音色はこの上なく優しく、温かい気持ちにさせてくれる。
6曲のオリジナルと、トルコの伝統曲(3)「Bülbülüm Altın Kafeste」、アンダルシアの伝統曲(5)「El Mantillo」を含む全8曲。
プロフィール
フラメンコ・ギターのリカルド・モレノ(Rycardo Moreno)は1981年スペイン・アンダルシア州セビリア生まれ。
ニューヨーク滞在中はフラメンコ・ワールドミュージック・カルテットを結成するなどし活動。
これまでに『Varekai』(2015年)、『aGaleano』(2017年)などの作品をリリースしている。
フレットレス・バリトンギターのジェンク・エルドアン(Cenk Erdoğan)は1979年トルコ・イスタンブール生まれ。2004年にデヴィッド・フュージンスキー(David Fiuczynski)の招待によりバークリー音楽大学でトルコ音楽におけるフレットレスギターとモードに関するワークショップを開催するなど、フレットレスギターの第一人者として知られている。自身の作品だけでなく他アーティストへの客演、映画のサウンドトラックなど活動の幅は広い。