イスラエル発、中東ジャズファンク新星Sababa Five セルフ・タイトルの注目作

Sababa 5

日本人シンガーとの共演でも知られるバンド、Sababa 5

イスラエル在住日本人シンガー、ユリカ・ハナシマ(Yurika Hanashima)との共演作「東京ミッドナイト」などでも話題を呼んだテルアビブのバンド、サババ・ファイヴ(Sababa 5)の2022年新作『Sababa 5』は、彼ららしい洗練とは無縁で愚直なレトロ・サイケ・ファンクグルーヴが渦巻く好盤だ。

70年代、というかどこか“昭和”さえ感じさせる哀愁オルガン・ジャズ(1)「Banga」から、シンプルで分かりやすいが故に甘酸っぱく複雑な、言葉に表せない感情を呼び覚ますような演奏が続く。即興のフレーズもペンタトニック主体のいなたいものだが、打たれると分かっていながら必死にストレートだけを投げ込んでくる投手のようにその実直な姿勢に妙に多くの共感と感動を誘うような類の音楽なのだ。(2)「Malca」など、シンセの音色もなぜ?と思うようなチョイスだが、なぜか心地良さを感じてしまうところに彼らの絶妙なセンスを感じさせる。

(3)「Lizarb」はミズラヒ(アラブやイスラム圏が多数派の社会に住むユダヤ人)の音楽的影響を受けたギターや、動きのあるベースラインが耳に残る。

(3)「Lizarb」

(6)「Yurika Walks」は前述のかつてのバンド仲間にインスパイアされたものだろう。歌詞があるかのようなキャッチーなメロディーが印象的だ。エチオ・ジャズのようでもあり、日本人にとっても懐かしい匂いのするサウンドを特徴とするこのバンドの象徴的な1曲となっている。

Ilan Smilan – guitar
Amir Sadot – bass
Raz Man – drums
Eitan Drabkin – keyboards
Oded Aloni – percussion

Sababa 5
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