私がこの1年間でもっとも感銘を受けた音楽作品を10枚、選びました。
このリストは広く安心や共感を呼ぶものではないかも知れませんが、間違いなく刺激的で、好奇心をくすぐる世界の音楽への扉を開くものとなっているはずです。
- 1 ① What will be the end with us / Pinhas & Sons(イスラエル)
- 2 ② A Dos / Lau Noah(スペイン)
- 3 ③ Vari / Varijashree Venugopal(インド)
- 4 ④ Terre Rouge / Lubiana(ベルギー/カメルーン)
- 5 ⑤ De camino al camino / Rita Payes(スペイン)
- 6 ⑥ Ladaniva / Ladaniva(アルメニア、フランス)
- 7 ⑦ THE VANDALIST / Noga Erez(イスラエル)
- 8 ⑧ Shams / Amin Al Aiedy(フランス、イラク)
- 9 ⑨ Algodão / Maria João & André Mehmari(ポルトガル、ブラジル)
- 10 ⑩ Small Variations of the Previous Day / Louis Matute(スイス)
- 11 関連記事
① What will be the end with us / Pinhas & Sons(イスラエル)
今年もっとも聴いたアルバムは、その遊び心溢れるユニークな個性、作編曲における音楽性の高さ、バンドの演奏力の高さなどの点において、現代最高峰のバンドといえるピンハス&サンズ(Pinhas & Sons)の2018年以来となる待望のアルバムです。音楽や表現への純粋な探求心と、彼らの生活環境を取り巻く異常な事態へのやるせない想いが複雑に交叉した、驚くべき作品です。
▼ What will be the end with us / Pinhas & Sons 詳細記事はこちら
② A Dos / Lau Noah(スペイン)
スペイン・カタルーニャ出身の女性SSW/ギタリストのラウ・ノア(Lau Noah)が、ジェイコブ・コリアー、ホルヘ・ドレクスレル、シルビア・ペレス・クルス、クリス・シーレ、セシル・マクロリン・サルヴァント、サルヴァドール・ソブラルといった世界中の一流音楽家たちと作り上げたシンプルなようでいて複雑な色合いを持った大傑作。
▼ A Dos / Lau Noah 詳細記事はこちら
③ Vari / Varijashree Venugopal(インド)
インド出身の歌手ヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)の新作。プロデュースはスナーキー・パピーのマイケル・リーグ!インド音楽の伝統的な歌唱法が、過去のものとも未来のものとも判別のつかない素晴らしいサウンドに溶け込み、神秘的な世界観を醸し出す。聴いていて精神が研ぎ澄まされるような、途轍もない作品です。
▼ Vari / Varijashree Venugopal 詳細記事はこちら
④ Terre Rouge / Lubiana(ベルギー/カメルーン)
カメルーン人とベルギー人の両親のもとに生まれた女性SSW/コラ奏者のルビアナ(Lubiana)。彼女が幼少期から毎年家族とともに訪れた父の故郷アフリカ・カメルーンの真っ赤な大地の記憶を、コラの繊細な音に乗せて歌っていく。豊かな感受性で歌われる、望郷や憧憬の想いが詰まった素晴らしいアルバムです。
▼ Terre Rouge / Lubiana 詳細記事はこちら
⑤ De camino al camino / Rita Payes(スペイン)
バルセロナの少年少女楽団、サン・アンドレウ・ジャズバンド出身のSSW/トロンボーン奏者リタ・パイエス(Rita Payes)は近年ますますその個性を強め、急速に音楽性を充実させています。この最新作では、前作『Como la Piel』でも少し顔を覗かせていたダーク・ファンタジーな世界観へとより舵を切っており、ジャズ、カタルーニャ音楽、フラメンコ、クラシックなどが彼女のフィルターを通して織りなす複雑な色彩のタペストリーを存分に味わうことができます。
▼ De camino al camino / Rita Payes 詳細記事はこちら
⑥ Ladaniva / Ladaniva(アルメニア、フランス)
ヨーロビジョン・ソング・コンテスト2024に出場し一躍有名となったアルメニアのユニット、ラダニヴァ(Ladaniva)のアルバムが面白かった。残念ながら優勝とはいきませんでしたが、いつもどおり、毒にも薬にもならないダンス音楽や大仰なバラードだらけの同コンテストの中で彼らの音楽は唯一“国境なきワールド・ミュージック”といった感じで際立っていました。
▼ Ladaniva / Ladaniva 詳細記事はこちら
⑦ THE VANDALIST / Noga Erez(イスラエル)
現在のイスラエルでは、アーティストたちは公の場で戦争反対の声を上げることもできません。デビュー当初より祖国の酷い状況への抵抗を創造のエネルギー源としてきたディストピア・ポップのカリスマ、ノガ・エレズ(Noga Erez)の新作は、愛し尊ぶべきもの、美しいものを破壊する者たちへの絶望的な最後通牒のような激しさです。
▼ THE VANDALIST / Noga Erez 詳細記事はこちら
⑧ Shams / Amin Al Aiedy(フランス、イラク)
▼ Shams / Amin Al Aiedy 詳細記事はこちら
⑨ Algodão / Maria João & André Mehmari(ポルトガル、ブラジル)
ポルトガルの歌手マリア・ジョアン(Maria João)と、ブラジルのピアニスト/作曲家アンドレ・メマーリ(André Mehmari)による志向のデュオ・アルバム。表現力が凄まじく、音楽はただのエンターテインメントではなく、芸術なのだと実感させてくれる素晴らしい作品です。
▼ Algodão / Maria João & André Mehmari 詳細記事はこちら
⑩ Small Variations of the Previous Day / Louis Matute(スイス)
スイス出身のギタリスト/作曲家ルイ・マトゥテ(Louis Matute)の第4作目。大西洋〜中南米を旅するようなバラエティ豊かな楽曲群が楽しめる1枚で、レユニオンのマロヤ、カーボベルデのモルナ、ブラジルのサンバやボサノヴァといった音楽的エッセンスをジャズの中に吸収した魅力的なサウンドが繰り広げられています。