ジョーイ・ワロンカー&ピート・ミンが提唱する、実験的ジャズの“新たな視点”

Joey Waronker & Pete Min - King King

Joey Waronker & Pete Min『King King』

米国ロサンゼルスを拠点とする二人の気鋭音楽家による強力なコラボレーション作品『King King』。エクスペリメンタル・ジャズ、ポストロック、アンビエントなどが折り重なり、実験音楽に新たな視点を提供する。

作品の主人公はドラマーでベック(Beck)やR.E.M.のレギュラー・セッション・ミュージシャンとして知られ、さらに直近では英国のバンド、オアシス(Oasis)の再結成メンバーともなったジョーイ・ワロンカー(Joey Waronker)と、プロデューサー/マルチインストゥルメンタリストでミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)との仕事で知られるピート・ミン(Pete Min)。アルバムは3年の制作期間を費やし、ピート・ミンが2021年に創設したレーベル「Colorfield Records」からリリースされた。

(2)「Greener Grass」

音像はアンビエントに近しいが、環境に“馴染む”というより環境に“無意識のうちに影響を与える”ニュアンスが近しいといえる。即興演奏も非常に多く、流動的に変化するリズムやメロディーは退屈とは無縁だ。ゲストも多数参加しており、特筆すべきは“シカゴ音響派”中心人物のジェフ・パーカー(Jeff Parker)、サム・ゲンデル(Sam Gendel)との共演で知られるLAの鍵盤奏者ベニー・ボック(Benny Bock)、2024年のグラミー賞でオルタナティブ・ジャズ部門を受賞したミシェル・ンデゲオチェロの『The Omnichord Real Book』をプロデュースしたサックス奏者ジョシュ・ジョンソン(Josh Johnson)といったタレントを揃えている。

そしてさらに特筆したいのが、ドラマーのマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana )とジョーイ・ワロンカーのツインドラムによる(6)「Big Dipper」と(11)「Little Dipper」だ。ダブの表現も織り交ぜた2台のドラムスによるグルーヴは、言葉に言い表せないほどかっこいい。

(11)「Little Dipper」

Joey Waronker – drums, percussion, piano, guitar, synthesizer, drum machine
Pete Min – guitars, pianos, synthsizer, drum machines

Guests :
Josh Johnson – saxophone (1, 4)
Gabe Noel – cello, ocarina (1, 2)
Jeff Parker – guitar (2, 10)
Nicole McCabe – saxophone (2, 3, 9)
Benny Bock – synthesizer (3, 5)
Mark Guiliana – drums (6, 11)
Daphne Chen – strings (7, 9)

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