- 2023-02-26
- 2023-02-22
NYで活動するアルゼンチン出身ピアノ奏者エミリオ・テウバル、南米の豊かな伝統を宿したジャズ
スペイン生まれ、アルゼンチン育ちのピアニスト/作曲家エミリオ・テウバル(Emilio Teubal)の新作『Futuro』がリリースされた。ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する彼だが、バンドリーダーとしては6枚目の作品となる今作も、南米らしい豊かな知性と感性を失わない素晴らしい作品に仕上がっている。
スペイン生まれ、アルゼンチン育ちのピアニスト/作曲家エミリオ・テウバル(Emilio Teubal)の新作『Futuro』がリリースされた。ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する彼だが、バンドリーダーとしては6枚目の作品となる今作も、南米らしい豊かな知性と感性を失わない素晴らしい作品に仕上がっている。
疾走する軽やかなグルーヴ、爽やかなコーラスと複雑なハーモニー。昂揚するサンバやマラカトゥのリズム。様々な楽器が入り乱れる即興のソロ。聴くものの語彙を奪い、ただただ至福としか言い表しようのない(1)「Galope」を聴けば、勝手に血が騒ぎ、心が沸き立つ。これはリオデジャネイロ生まれのギタリスト/サックス奏者/作曲家トゥニコ(Tunico)のデビュー作『Tunico』だ。
これは、カート・ローゼンウィンケルのカイピ・バンドの正統な後継作のようなアルバムだ。ベース奏者フレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)の7年ぶりとなるリーダー作『The Weight of the News』は、カイピ・バンドが魅せたジャズとブラジル音楽の融合の最新形をアップデートしつつ、彼のシンガーソングライターとしての才能にもフォーカスした作品となっている。
アンドレア・モティス(Andrea Motis)やリタ・パイエス(Rita Payés)といった優れた若手ジャズ・ミュージシャンを輩出したことで知られるサン・アンドレウ・ジャズバンド出身のベーシスト/歌手マガリ・ダッチラ(Magalí Datzira)がサン・アンドレウ卒業後の初のフルレンス・アルバムとなる『Des de la cuina』をリリースした。
目覚ましい活躍を見せるフランス・ストラスブールのジャズユニット、エミール・ロンドニアン(Emile Londonien)が初のフルレンス・アルバム『Legacy』をリリースした。シングルを除くと2021年のEP『Emile Londonien』、そして当サイトでも紹介した2022年のEP『Jazz Contenders』に続く3枚目の作品で、多彩なゲストを迎えUKのジャズシーンとも呼応するサウンドが特徴的だ。
“フランス発のイスラエル・ジャズ”として注目されたフェーン・トリオ(Foehn Trio)の最新作 『ELEMENTS』がリリースされた。今作はこれまでのようにイスラエルのジャズの要素を汲みつつ、GoGo Penguin や Immortal Onion、Tingval Trio といったヨーロッパの現代ジャズシーンの最先端と評されるサウンドにより近づき、新鮮かつ爽快な音楽体験を与えてくれる傑作だ。
ポーランド・ワルシャワを拠点に活動するベーシスト/打楽器奏者/作曲家ミハウ・バランスキ(Michal Baranski)の衝撃的なデビュー作『Masovian Mantra』。タイトルの“マゾヴィア(ポーランドのワルシャワを中心とした地域)のマントラ”が表す通り、ポーランドから中東を経てインドに続く、地理的にも時間的にも広大な音楽文化を取り入れた新しいジャズだ。
フランス出身の新星ジャズ系SSW、ギャビ・アルトマン(Gabi Hartmann)の初のフルレンス・アルバム『Gabi Hartmann』がリリースされた。プロデュースはデビューEP『Always Seem to Get Things Wrong』(2021年)に続き、ノラ・ジョーンズのブレイクの立役者であるジェシー・ハリス(Jesse Harris)が務め、オーセンティックでありながら古くない、さまざまなシーンで求められる現代のジャズを体現する。
ブラジル・ミナスジェライス出身のシンガーソングライター/フルート奏者、ナラ・ピニェイロ(Nara Pinheiro)のデビューアルバム『Tempo de Vendaval』。プロデュースをアントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)が務めており、多くの楽曲ではサウンドもロウレイロの個性が強く表れた作品だ。徹底的にこだわり抜いた高度な編曲やサウンド・プロダクションだが、それを強く意識させない柔らかく自然な歌声や手触り感覚があり、聴きやすく、かつ深みのある素晴らしいアルバムとなっている。
キューバ・ハバナ出身、フランス在住のギタリスト/打楽器奏者/ヴォーカリスト/作曲家ジョエル・イエレスエロ(Joel Hierrezuelo)による2022年新譜『Cimarron』は、ラテン音楽、特にキューバの伝統的なリズムに加え、アフリカや中東音楽のエッセンスも感じられるとてもエキサイティングなジャズだ。
ピアノ、バスクラリネット、ドラムスという編成で繰り広げられるベートーヴェン・ピアノソナタの最高のジャズアップ作品が登場した。『Kind of Beethoven』は、クラシックとジャズの両道で活躍するスペイン出身のピアニストであるシャビ・トーレス(Xavi Torres)のプロジェクトで、彼はこの作品でベートーヴェンの楽曲に新たな息吹を与える試みを行なっている。
日常のなかの超現実を描いたジャケットが本作を象徴する。多国籍の音楽家が集い、オランダ・アムステルダムで結成されたクインテット、チャイ・マスターズ(Chai Masters)のデビューアルバム『Magic Realism』は、その名の通り“魔術的リアリズム”をテーマとした興味深い作品だ。
イスラエル出身、現在はデンマークを拠点に活動するピアニスト/作曲家エヤル・ラヴェット(Eyal Lovett)の4thアルバム『Through the Rain』。感傷を運ぶ媒体としての音楽の役割を最高のレベルで体現した、アーティストの感性と表現力がリスナーの想像力を強く刺激する傑作だ。
ベースの名手として知られるトルコの音楽家キャミル・エルデム(Kamil Erdem)の新作『Interactions』は、楽器をベースからクラシックギターに持ち替え、ウードとパーカッションとのトリオで演じる、魅力に満ちたオリエンタル・ジャズ作品だ。