- 2023-01-10
- 2023-01-09
ギリシャ発!米英のポップス/ロックを美しいガットギターと歌唱力で聴かせるハリティニ・パノポロ
ギリシャの女性シンガー/ギタリストのハリティニ・パノポロ(Haritini Panopoulou)のデビュー作『Mystic Emotions』は、彼女自身のナイロン弦のクラシックギターによる伴奏と伸びやかな歌唱で聴かせる珠玉のカヴァー集だ。
ギリシャの女性シンガー/ギタリストのハリティニ・パノポロ(Haritini Panopoulou)のデビュー作『Mystic Emotions』は、彼女自身のナイロン弦のクラシックギターによる伴奏と伸びやかな歌唱で聴かせる珠玉のカヴァー集だ。
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの侵攻以来、所謂“西側メディア”の多くはロシアの指導者と、国そのものを絶対的な悪と扱い、その内情をどうも公平な視点で報じないようになってしまったように感じる。もちろん一方的な侵略戦争自体は国際的に厳しく非難されるべきだが、それを選択してしまった横暴な指導者が統べる国と、そこに生きる国民の意思は別のものだ。どれだけ情報が統制されプロパガンダが横行する中にあっても、それらに疑問を抱く国民は少なからずいるはずだ。
ブラジル・サンパウロのピアニスト/作曲家エドゥ・サンジラルヂ(Edu Sangirardi)による初リーダー作『Um』。フィ・マロスティカ、クレベール・アルメイダとのトリオを軸に、フリューゲルホルンのヂエゴ・ガルビン、木管奏者テコ・カルドーゾ、アコーディオン奏者トニーニョ・フェハグッチ、ローズピアノのチアゴ・コスタといったメンバーを擁するラージアンサンブルや弦楽オーケストラも参加し、参加ミュージシャンは合計30名以上という豪華さだ。
アルジェリア出身のシンガーソングライター/ギタリストのスアド・マッシ(Souad Massi)は、通算10枚目となる新作『Sequana』で彼女の音楽の幅をさらに広げた。プロデューサーはアラブやアフリカ音楽にも造詣の深い英国のギタリスト、ジャスティン・アダムス(Justin Adams)。
スペインのサックス/フルート奏者ホルヘ・パルド(Jorge Pardo)の2022年新譜『Trance Sketches』。ピアノにベテラン、ギル・ゴールドスタイン(Gil Goldstein)、ベースに鬼才マット・ギャリソン(Matt Garrison)、そしてドラムスにマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)という米国の現代ジャズ最高峰のメンバーを迎えたカルテットを軸に、さらに楽曲ごとに多彩なゲストを迎えた圧巻のコンテンポラリー・スパニッシュ・ジャズとなっている。
イタリア出身、ノルウェー音楽アカデミーなどで学んだピアニスト、アレッサンドロ・スゴビオ(Alessandro Sgobbio)の2022年のソロピアノ作『Piano Music』は、世界中で起こる出来事に時に喜び、時に心を痛め、驚きを噛みしめながら淡々とその心情を描き出す繊細な作品だ。
セルビア・ベオグラード出身のピアニスト/作曲家マヤ・アルヴァノヴィッチ(Maja Alvanovic)が率いるピアノトリオ、マヤミスティ・トリオ(Majamisty TriO)の2022年作『Wind Rose』。大きな話題を呼んだ2012年のデビュー作『Mistyland』から数えて4枚目の作品となる今作でもミステリアスな雰囲気を纏い、抒情的だが内面が激しく燃える独創的な音楽を聴かせてくれる。
スペインのコンテンポラリー・フラメンコ・ギタリスト、ニーニョ・ホセレ(Niño Josele)『Galaxias』は、チック・コリア(Chick Corea)やルベーン・ブラデス(Rubén Blades)といった巨匠との共演も楽しめる最高のアルバムだ。圧倒的な技巧で繰り出される歯切れ良く乾いたギターの音も心地よく、現代的なフラメンコ・ジャズの魅力を充分に味わえる。
アルゼンチンのギタリスト二人とパーカッション奏者から成るトリオ、ドス・マス・ウノ(Dos Más Uno)の新作 『Las Canciones Más Lindas del Mundo』は、堂々と冠した“世界でもっとも美しい歌”とというアルバム名に恥じない作品だ。アルゼンチンをはじめとした中南米やカリブのスペイン語圏の名曲たちを2本のスパニッシュギターとパーカッション、そして3人の歌とハーモニーでカヴァー。オーガニックなサウンドが魅力的で、近年のアルゼンチン音楽、特にアカ・セカ・トリオが好きな方に全力でおすすめしたい。
トリオ・コヘンチ(Trio Corrente)のドラマーとして知られるエドゥ・ヒベイロ(Edu Ribeiro)が、ベーシストのブルーノ・ミゴット(Bruno Migotto)とギタリストのヴィニシウス・ゴメス(Vinícius Gomes)と組んだトリオで録音した『News』(2022年)は、終始ブラジルのリズムとジャズの技法による超絶的なアンサンブルに圧倒される最高にエキサイティングな作品だ。
心が、精神が浄化されるような一枚だ。ドイツのピアノ奏者フランク・ヴェステ(Frank Woeste)、アメリカ合衆国のトロンボーン奏者ライアン・ケバリー(Ryan Keberle)、そしてフランスのチェロ奏者ヴァンサン・クルトワ(Vincent Courtois)によるトリオ、レヴェルソ(Reverso)による『Reverso - Harmonic Alchemy』。
スペイン・カタルーニャ州トルトーサ出身の作曲家/クラリネット奏者オスカル・アントリ(Oscar Antoli)の新譜『Isthmus』は、フラメンコからバルカン音楽、トルコ音楽まで地中海沿岸に根付く伝統的な音楽を大胆に取り入れた個性的で優れたジャズ/ワールド・ミュージック作品だ。
ルゾフォニア(ポルトガル語圏)の最重要ミュージシャンの一人であるカーボベルデのシンガーソングライター、マリオ・ルシオ(Mário Lúcio)の2022年新作『Migrants』。“移民”を意味するタイトルの本作は、国境を越える彼の音楽を象徴的に示している。
ブエノスアイレス出身のテオルボ奏者エドゥアルド・エグエス(Eduardo Egüez)率いるアンサンブル、ラ・キメラ(La Chimera)が素晴らしい。古楽器を多く用いた編成からクラシックにカテゴライズされてはいるが、その音楽性はジャンルを超え、多くの音楽を愛する人々の心に刺さるだろう。