- 2023-02-15
- 2023-02-15
今既にここにある楽園を祝福する。現代トロピカリアの旗手ルーカス・サンタナ新譜『O Paraíso』
ブラジルのトロピカリアの継承者、ルーカス・サンタナ(Lucas Santtana)の9枚目のアルバム『O Paraíso』には、彼の代名詞である“エレクトロ・アコースティック”を自然に体現した新しさと懐かしさ、そしてどんな時代にも普遍の心の拠り所となるような素敵な音が詰まっている。
ブラジルのトロピカリアの継承者、ルーカス・サンタナ(Lucas Santtana)の9枚目のアルバム『O Paraíso』には、彼の代名詞である“エレクトロ・アコースティック”を自然に体現した新しさと懐かしさ、そしてどんな時代にも普遍の心の拠り所となるような素敵な音が詰まっている。
レトロなブラジリアン・ポップを表現するシンガーソングライター、ジョアン・セルヴァ(João Selva)の2ndアルバム『Passarinho』がリリースされた。2021年のデビュー作『Navegar』の流れを汲んだヴィンテージ感満載のサウンドが逆に新鮮な、多くのブラジル音楽ファンに届いてほしい作品だ。
ヴォーカル/作詞作曲のレベッカ・ンボングー(Rébecca M'Boungou)とギターのアーナウ・エスター(Arnaud Estor)のデュオ・ユニットとして2018年にデビュー作『Earthquake』をリリースしたコリンガ(Kolinga)が、6人編成となってリリースした2ndアルバム『Legacy』。この編成強化により、ギターとヴォーカルを中心にサウンドが組み立てられていた前作から大幅に色彩感がアップ。当初より高い評価を得ていたレベッカの歌声の魅力はそのままに、より訴求力の高い作品に仕上がった。
セネガル出身の歌手ジュリア・サール(Julia Sarr)の新作『Njaboot』が素晴らしい。2014年の『Daraludul Yow』以来の3rdアルバムとなる今作では、前作にも深く関わっていたフランスのマルチ奏者/作曲家フレッド・ソウル(Fred Soul)らを中心としたオーガニックで洗練されたサウンドに乗せて至高のアフロ・ソウルを聴かせてくれる。
キューバ・ハバナ出身、フランス在住のギタリスト/打楽器奏者/ヴォーカリスト/作曲家ジョエル・イエレスエロ(Joel Hierrezuelo)による2022年新譜『Cimarron』は、ラテン音楽、特にキューバの伝統的なリズムに加え、アフリカや中東音楽のエッセンスも感じられるとてもエキサイティングなジャズだ。
アコースティック・ギターとアフロ・ブラジルのパーカッション、そして適度なエレクトロニック・サウンドに溶け込む極上のハーモニー。女性シンガー/作曲家ブルーナ・ブラッキ(Bruna Black)と、男性ギタリスト/シンガー/作曲家のジョタ・ペー(Jota.pê)によって結成されたデュオ、ÀVUÀのデビュー作 『Percorrer Em Nós』は、今もっともモダンで素晴らしいブラジル音楽のひとつだと断言できる。
ピアノ、バスクラリネット、ドラムスという編成で繰り広げられるベートーヴェン・ピアノソナタの最高のジャズアップ作品が登場した。『Kind of Beethoven』は、クラシックとジャズの両道で活躍するスペイン出身のピアニストであるシャビ・トーレス(Xavi Torres)のプロジェクトで、彼はこの作品でベートーヴェンの楽曲に新たな息吹を与える試みを行なっている。
ブラジル・サンパウロの実力派ヴォーカリスト、ヘナート・ブラス(Renato Braz)と世界屈指のギター四重奏団として知られるクアルテート・マオガニ(Quarteto Maogani)が、南米の数々の名曲に挑んだ2015年作『Canela』は、南米のギターや歌を愛するすべての人におすすめしたい傑作だ。
日常のなかの超現実を描いたジャケットが本作を象徴する。多国籍の音楽家が集い、オランダ・アムステルダムで結成されたクインテット、チャイ・マスターズ(Chai Masters)のデビューアルバム『Magic Realism』は、その名の通り“魔術的リアリズム”をテーマとした興味深い作品だ。
ここ半世紀のブラジル・ポピュラー音楽(MPB)のひとつのアイコンであるジルベルト・ジル(Gilberto Gil)の名曲に、彼の次の世代であり現在のMPBのシーンでは既に重鎮となった二人の音楽家、デリア・フィシェール(Delia Fischer)とヒカルド・バセラール(Ricardo Bacelar)が挑んだ作品が『Andar Com Gil』だ。これは単なる人気の音楽のカヴァーではなく、ブラジルの豊かな音楽文化への再訪とも言えるだろう。
イスラエル出身、現在はデンマークを拠点に活動するピアニスト/作曲家エヤル・ラヴェット(Eyal Lovett)の4thアルバム『Through the Rain』。感傷を運ぶ媒体としての音楽の役割を最高のレベルで体現した、アーティストの感性と表現力がリスナーの想像力を強く刺激する傑作だ。
ベースの名手として知られるトルコの音楽家キャミル・エルデム(Kamil Erdem)の新作『Interactions』は、楽器をベースからクラシックギターに持ち替え、ウードとパーカッションとのトリオで演じる、魅力に満ちたオリエンタル・ジャズ作品だ。
ブラジル・ミナスジェライスの若手音楽家たちの作品に頻繁にクレジットされる二人──ピアニスト/作曲家のルイーザ・ミトリ(Luísa Mitre)と、打楽器/ヴィブラフォン奏者のナタリア・ミトリ(Natália Mitre)姉妹が、デュオ“Duo Mitre”としての初のアルバム『Seiva』をリリースした。ジャズ、クラシック、そしてブラジルの伝統音楽の要素が瑞々しい感性でまとめ上げられており、二人の幼い頃からの精神的な強い絆も感じさせてくれる素晴らしい作品に仕上がっている。
ポーランドの若手ヴィブラフォン奏者、マルチン・パテル(Marcin Pater)が自身のトリオに加えピアニストのレシェック・モジジェルと、さらに数曲でギタリストのヤコブ・ミゼラッツキを再びゲストに迎えた2022年新譜『Between』。ヴィブラフォンの魅力である宝石のように美しい音色、蝶が舞うような速いパッセージ、長いサステインを利用した空間的な表現などジャズ・ヴィブラフォンの魅力も詰まった素晴らしい作品だ。