- 2023-02-15
- 2023-02-15
今既にここにある楽園を祝福する。現代トロピカリアの旗手ルーカス・サンタナ新譜『O Paraíso』
ブラジルのトロピカリアの継承者、ルーカス・サンタナ(Lucas Santtana)の9枚目のアルバム『O Paraíso』には、彼の代名詞である“エレクトロ・アコースティック”を自然に体現した新しさと懐かしさ、そしてどんな時代にも普遍の心の拠り所となるような素敵な音が詰まっている。
ブラジルのトロピカリアの継承者、ルーカス・サンタナ(Lucas Santtana)の9枚目のアルバム『O Paraíso』には、彼の代名詞である“エレクトロ・アコースティック”を自然に体現した新しさと懐かしさ、そしてどんな時代にも普遍の心の拠り所となるような素敵な音が詰まっている。
レトロなブラジリアン・ポップを表現するシンガーソングライター、ジョアン・セルヴァ(João Selva)の2ndアルバム『Passarinho』がリリースされた。2021年のデビュー作『Navegar』の流れを汲んだヴィンテージ感満載のサウンドが逆に新鮮な、多くのブラジル音楽ファンに届いてほしい作品だ。
アコースティック・ギターとアフロ・ブラジルのパーカッション、そして適度なエレクトロニック・サウンドに溶け込む極上のハーモニー。女性シンガー/作曲家ブルーナ・ブラッキ(Bruna Black)と、男性ギタリスト/シンガー/作曲家のジョタ・ペー(Jota.pê)によって結成されたデュオ、ÀVUÀのデビュー作 『Percorrer Em Nós』は、今もっともモダンで素晴らしいブラジル音楽のひとつだと断言できる。
ブラジル・サンパウロの実力派ヴォーカリスト、ヘナート・ブラス(Renato Braz)と世界屈指のギター四重奏団として知られるクアルテート・マオガニ(Quarteto Maogani)が、南米の数々の名曲に挑んだ2015年作『Canela』は、南米のギターや歌を愛するすべての人におすすめしたい傑作だ。
ここ半世紀のブラジル・ポピュラー音楽(MPB)のひとつのアイコンであるジルベルト・ジル(Gilberto Gil)の名曲に、彼の次の世代であり現在のMPBのシーンでは既に重鎮となった二人の音楽家、デリア・フィシェール(Delia Fischer)とヒカルド・バセラール(Ricardo Bacelar)が挑んだ作品が『Andar Com Gil』だ。これは単なる人気の音楽のカヴァーではなく、ブラジルの豊かな音楽文化への再訪とも言えるだろう。
ブラジル・ミナスジェライスの若手音楽家たちの作品に頻繁にクレジットされる二人──ピアニスト/作曲家のルイーザ・ミトリ(Luísa Mitre)と、打楽器/ヴィブラフォン奏者のナタリア・ミトリ(Natália Mitre)姉妹が、デュオ“Duo Mitre”としての初のアルバム『Seiva』をリリースした。ジャズ、クラシック、そしてブラジルの伝統音楽の要素が瑞々しい感性でまとめ上げられており、二人の幼い頃からの精神的な強い絆も感じさせてくれる素晴らしい作品に仕上がっている。
ポルトガル出身のシンガー/鍵盤奏者アンテラ(Antera)とブラジル出身のギター奏者フェリペ・マットス(Filipe Mattos)がベルリンで出会い誕生したユニット、オルフェリア(Orfélia)初のフルレンス・アルバム『Tudo o Que Move』。両国の伝統的なリズムとサイケデリアが混ざり合い、絶妙な浮遊感のある夢心地のサウンドが展開される。
イスラエルの作曲家/ピアニスト、アサフ・カラソ(Asaf Karaso)のデビュー作『Karasorchestra Project』はイスラエル特有のジャズから北アフリカ音楽、ブラジル音楽、アフロ・キューバンといった幅広い音楽性が魅力のハイレベルな作品だ。ここにはイスラエル・ジャズと呼ばれるシーンの面白さが凝縮されている。
鍵盤奏者のエリック・エスコバル(Erik Escobar)、ベーシストのミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)、そしてドラマーのミゲル・アシス(Miguel Assis)のトリオによる2022年作『New Brazilian Trio』。3人それぞれが10代前半から頭角を表したという“元・神童”バンドで聴かせてくれる音楽は、ブラジルのリズムと少し懐かしい感じのする米国のフュージョンが融合したサウンドだ。
ブラジル出身の気鋭編曲家/指揮者ガイア・ヴィルメル(Gaia Wilmer)によるエグベルト・ジスモンチ曲集『Folia: the Music of Egberto Gismonti』がリリースされた。数曲でエグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)本人も参加した本作では、ガイア・ヴィルメルによる目の覚めるような素晴らしいアレンジでジスモンチの珠玉の作品群を楽しむことができる。
軽快な2000年代にニコラ・コンテに見出されたブラジル出身のシンガー、ホザリア・ヂ・ソウザ(Rosalia De Souza) の2022年作『Inspirada』は、90年代後半にイタリアで勃興し世界を席巻したブラジル系クラブジャズの流れを汲んだ、どこまでも爽快なグルーヴを楽しめる作品に仕上がっている。
ブラジル・サンパウロのピアニスト/作曲家エドゥ・サンジラルヂ(Edu Sangirardi)による初リーダー作『Um』。フィ・マロスティカ、クレベール・アルメイダとのトリオを軸に、フリューゲルホルンのヂエゴ・ガルビン、木管奏者テコ・カルドーゾ、アコーディオン奏者トニーニョ・フェハグッチ、ローズピアノのチアゴ・コスタといったメンバーを擁するラージアンサンブルや弦楽オーケストラも参加し、参加ミュージシャンは合計30名以上という豪華さだ。
トリオ・コヘンチ(Trio Corrente)のドラマーとして知られるエドゥ・ヒベイロ(Edu Ribeiro)が、ベーシストのブルーノ・ミゴット(Bruno Migotto)とギタリストのヴィニシウス・ゴメス(Vinícius Gomes)と組んだトリオで録音した『News』(2022年)は、終始ブラジルのリズムとジャズの技法による超絶的なアンサンブルに圧倒される最高にエキサイティングな作品だ。
ブエノスアイレス出身のテオルボ奏者エドゥアルド・エグエス(Eduardo Egüez)率いるアンサンブル、ラ・キメラ(La Chimera)が素晴らしい。古楽器を多く用いた編成からクラシックにカテゴライズされてはいるが、その音楽性はジャンルを超え、多くの音楽を愛する人々の心に刺さるだろう。