永遠に続くカルナヴァルの高揚感。レトロ・サイケなブラジル音楽を体現するSSWジョアン・セルヴァ

Joao Selva - Passarinho

“現代のトロピカリア”ジョアン・セルヴァ、2nd『Passarinho』

レトロなブラジリアン・ポップを表現するシンガーソングライター、ジョアン・セルヴァ(João Selva)の2ndアルバム『Passarinho』がリリースされた。2021年のデビュー作『Navegar』の流れを汲んだヴィンテージ感満載のサウンドが逆に新鮮な、多くのブラジル音楽ファンに届いてほしい作品だ。

彼の音楽はサンバ、ボサノヴァ、ディスコファンク、ソフトロック、ソウルといったジャンルが境目なく混淆し、サウンド自体も1970年代頃を思わせる手触りが満載。プロデュースは前作に引き続きフランスの鬼才ブルーノ・パッチワークス(Bruno Patchworks)ことブルーノ・オバール(Bruno Hovart)が務めており、温故知新を体現しつつも無駄を削ぎ落とし、現代の時代感覚にも則した最上級の音楽を届ける。

ブラジルの伝統音楽だけではなく、アンゴラのセンバからカーボベルデのフナナ、カリブ海のズークやコンゴのルンバまで繋がるブラック・アトランティック(黒い大西洋=文化人類学者であるポール・グローヴァーが提唱した、アフリカ系アメリカ人やカリブ諸島のアフリカ系住民の文化、歴史を分析するための概念)に呼応した民族性・音楽性が、洗練された音楽的表現で発露する。本作を聴くとそうした音楽的な視野の広さや、サウンド自体の懐かしさが自然と感情の多くの領域を占めさせられ、それだけでも素晴らしいアルバムだと感じてしまうのだ。

(1)「Passarinho」のMV

アルバムは全体的にカーニヴァルの高揚感が漂う。いつまでも醒めない夢のような感覚。より具体的には、50年、半世紀に及ぶブラジル音楽の夢がここには詰まっている。

(2)「Cantar Cantar」

ジョアン・セルヴァはボサノヴァの代表曲で知られるリオデジャネイロ南部のイパネマ地区の出身。
多くのアーティスト(Flavia Coelho、Mestre Luiz Paixão、Maga Bo、Lucas Santana、Chico César、Renata Rosa など)とのコラボレーションを経て、2016年にソロのキャリアを開始。
以降、フランスのプロデューサー、ブルーノ・パッチワークスと共に70年代のトロピカリアを現代にアップデートする魅力的な音楽を発信し続けている。

João Selva – lead vocals, viola, guitar, percussion
Bruno Patchworks – guitar, bass, percussion, keyboards, accordion

Featuring :
Carina Salvado – backing vocals
Boris Pokora – saxophone, trombone, flute, bugle
Paul Charnay – Fender Rhodes

Joao Selva - Passarinho
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