- 2023-06-11
- 2023-06-11
フランスの革新的ミュージシャンのデュオ、IKIRU が選んだ“エリック・サティ再訪の旅”
黒澤明の『生きる』に触発されたユニット名をもつフランスのサックスとピアノのデュオ、IKIRU。『生きる』の主人公と同じように健康上の問題を抱えるサックス奏者のファブリス・トゥイヨン(Fabrice Theuillon)が新作で選んだ題材は、それまでの音楽の常識を覆し、現代的な音楽の礎を築いたエリック・サティ(Éric Satie, 1866 - 1925)だ。
黒澤明の『生きる』に触発されたユニット名をもつフランスのサックスとピアノのデュオ、IKIRU。『生きる』の主人公と同じように健康上の問題を抱えるサックス奏者のファブリス・トゥイヨン(Fabrice Theuillon)が新作で選んだ題材は、それまでの音楽の常識を覆し、現代的な音楽の礎を築いたエリック・サティ(Éric Satie, 1866 - 1925)だ。
スキャットで歌いながらヴァイオリンを弾くという個性的なスタイルで知られるスイス出身のエヴァ・スロンゴ(Eva Slongo)が、イタリア出身ジャズ・ピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)らとクインテットを組み、ジャズとクラシックという“滅多に出会うことのない二つの世界”の融合を目指した作品が『Souffle』(2022年)だ。
アフロビートやダブ、ファンクなどの影響を受けたフランス発の二人組ユニット、イレケ(Ireke)のデビュー作『Tropikadelic』。ユニット名はヨルバ語でサトウキビ。その名の通り熱帯の気候を思わせるサウンドで、シンプルでダンサブルなリズムとハイライフ風のギターやブラス・セクションが最高に心地良く、聴けば自然に歓喜へと誘われる。夏のドライブのBGMにはうってつけのアルバムではないだろうか。
1994年フランス生まれ、2020年のデビュー作『Spirit Song』が広く絶賛された新鋭ヴィブラフォン奏者、サイモン・ムリエ(Simon Moullier)。コロナ禍でブルックリンを離れ過ごしたブルターニュ沖の小さな島で家族たちとの時間を通じて生み出した新作『Isla』は、創造的で美しい音に満ちた素敵なヴィブラフォンのジャズとなっている。
『Michel Petrucciani: The Montreux Years (Live)』にはミシェル・ペトルチアーニが1990年、1993年、1996年、そして亡くなる前年である1998年に出演した際の演奏が全11曲収録されている。どの演奏も鬼気迫るものがあり、文字通り命を削って演奏した天賦の才能を感じさせる名演だ。彼の代名詞である、しなやかな指のバネを最大限に利用した超高速の同音トレモロなど今聴いても驚くばかり。
ステファン・グラッペリやディディエ・ロックウッドといった史上最高峰のジャズ・ヴァイオリニストを輩出したフランスから、新たな若いヴァイオリンの才能が現れた。名はアルバ・オベール(Alba Obert)。彼女のデビュー作『Kaleidoscope』には、クラシックからマヌーシュ・スウィング、バルカン音楽、ジャズロックなど幅広いスタイルでヴァイオリンを弾き、ついでに歌手としての才覚も備えたこの新星の稀有な魅力が詰まっている。
フランスに生まれ、現在はベルギーを拠点に活動する新進気鋭のベーシスト、バシーレ・ラオラ(Basile Rahola)の初のソロ名義作『Moments』。ヨーロッパ・ジャズらしい叙情性を湛えつつ、彼のこれまでの短くはない旅の中での出会いから豊富なインスピレーションを得た個性的で創造的な作品だ。
2018年に結成以来、ベルギーのジャズシーンに新風を起こすアレフ・クインテット(Aleph Quintet)が待望のデビューアルバム『Shapes of Silence』をリリースした。ウード奏者のアクラム・ベン・ロムダンとピアニストのワジディ・リアヒはともにチュニジア出身。彼らがもたらす北アフリカ/アラブのエッセンスと、ベルギー出身のヴァイオリン奏者マーヴィン・ブルラス、ドラマーのマクシム・アズナール、そしてフランス出身のベース奏者テオ・ジッパーによる欧州の抒情的なジャズの完璧な融合は、彼らの演奏技術の高さとも相まって唯一無二の音楽体験を与えてくれる。
マリ出身のコラ奏者バラケ・シソコとフランス出身のチェロ奏者ヴァンサン・セガール、そして共にフランス出身のソプラノサックス奏者エミール・パリジャンとアコーディオン奏者ヴァンサン・ペイラーニの4人が初めてカルテットを組み、それぞれの楽曲を持ち寄って制作した『Les Égarés』はジャズ、クラシック、アフリカ音楽、フランス音楽などがバランスよく融合した穏やかで美しく、厳粛な作品に仕上がっている。
モロッコ出身で現代グナワ音楽を代表するアジズ・サハマウイ(Aziz Sahmaoui)と、アメリカ合衆国のチェロ奏者エリック・ロングスワース(Eric Longsworth)による双頭名義の『Il fera beau demain matin jusqu'à midi』。アラビア語、フランス語、英語でフォーク・ミュージックやジャズ、ブルースをグナワ音楽と巧みに融合させる試みだ。
トランペット奏者ニコラス・ガルデール(Nicolas Gardel)と、サックス奏者バティスト・エルバン(Baptiste Herbin)の双頭名義の『Symmetric』は、古くはビバップやファンクから現在進行形の最新のジャズのスタイルまで、演奏面でもサウンド面でも多様でハイレベルな音楽が聴ける作品となっている。
クラシックのソプラノ歌手として活躍するリア・ナヴィリア・クンチッチ(Lia Naviliat Cuncic)は、彼女の初のソロ作『Como una Flor sin Raíces』で自身のルーツであるウルグアイ、チリといった南米の音楽を深く探求し、独自の魔術的かつ優雅な世界観を描いてみせた。
目覚ましい活躍を見せるフランス・ストラスブールのジャズユニット、エミール・ロンドニアン(Emile Londonien)が初のフルレンス・アルバム『Legacy』をリリースした。シングルを除くと2021年のEP『Emile Londonien』、そして当サイトでも紹介した2022年のEP『Jazz Contenders』に続く3枚目の作品で、多彩なゲストを迎えUKのジャズシーンとも呼応するサウンドが特徴的だ。
“フランス発のイスラエル・ジャズ”として注目されたフェーン・トリオ(Foehn Trio)の最新作 『ELEMENTS』がリリースされた。今作はこれまでのようにイスラエルのジャズの要素を汲みつつ、GoGo Penguin や Immortal Onion、Tingval Trio といったヨーロッパの現代ジャズシーンの最先端と評されるサウンドにより近づき、新鮮かつ爽快な音楽体験を与えてくれる傑作だ。