山の上のディスコへようこそ。ここでは、何も考えずにただ音楽を聴き、踊ればいい──Cavolo Nero『Mountain Disco』

Cavolo Nero - Mountain Disco

オランダのサイケデリック・グルーヴ・バンド、Cavolo Nero 初アルバム

“サイケデリック・グルーヴ”を掲げるオランダ・ユトレヒトの6人組バンド、カーヴァロ・ネーロ(Cavolo Nero)による初のフル・アルバム『Mountain Disco』。山の中にある架空のクラブ「Mountain Disco」では、アフロビートも、ファンクも、ディスコも、クンビアも、サイケデリック・ロックも関係なく、ただ音楽が鳴っている。日常のことはいったん忘れて、踊る──そんな幸せな場所が、このアルバムのテーマだ。

実際、本作はジャンルをきれいに分類することが難しい。フェラ・クティ(Fela Kuti)やジャングル・バイ・ナイト(Jungle By Night)などから感じられるアフロビートの影響があり、クルアンビン(Khruangbin)やテーム・インパラ(Tame Impala)を思わせるサイケデリックな感触もある。そこにファンクやディスコ、クンビアなどのリズムが加わる。それらを曲ごとに順番に聴かせるような作りではなく、さまざまな音楽を吸収した6人が、自分たちのグルーヴとして鳴らしている。

(1)「Agar」

(3)「Monsoon」では、日々の責任に追われて身動きが取れなくなった感覚が歌われ、(4)「Say What You Want」では、周囲を気にせず自分の言葉を口にすることが促される。踊れる音楽の裏側には、日常から少し離れたいという気分がある。

中盤の(5)「Interlude: Mauna Kea」から(6)「Mauna Kea」へ移る流れも印象的だ。短いインタールードを挟むことで、アルバム全体が一続きのセットのように聴こえる。Cavolo Neroはライヴでも曲と曲の間をつなぎ、ひとつの長い流れを作ることを大切にしているという。本作の構成にも、その考え方が表れている。

一方で、(10)「Durian」のような曲はかなりふざけている。「Durian at the disco」というフレーズを繰り返しながら、あの果実のドリアンをそのままディスコへ持ち込んでしまう。深刻になりすぎないところも、このバンドの魅力だろう。

(8)「El Mundo」

そもそもカーヴァロ・ネーロ(Cavolo Nero)というバンド名自体が、イタリア語で黒キャベツを意味する野菜の名前だ。これは彼らがアカデミーでバンドを始めた際、食べ物に由来する名前を付けようと考えたことがきっかけだったという。音楽だけでなく、バンド名にも肩の力が抜けたユーモアがある。

この世界のどこかにあるかもしれない、山の上のディスコ。
とてもいい気分になれそうだ。

Cavolo Nero 略歴

カーヴォロ・ネーロはオランダ・ユトレヒトを拠点とする6人組のサイケデリック・グルーヴ・バンド。Herman Brood Academyでの課題をきっかけに活動を始め、2022年にデビューEPを発表。同年にはオランダ各地を巡る新人アーティスト・ツアー「Popronde」に参加し、その後Noorderslag、Down The Rabbit Hole、Zwarte Cross、Into The Great Wide Openなどのフェスティバルにも出演してきた。

音楽性の軸にあるのは、ファンク、ディスコ、アフロビートなどのダンス・ミュージック。そこへサイケデリック、インディー、現代的なクラブ・ミュージックの要素を加えた独自の「psychedelic groove」を展開する。Fela Kuti、Tame Impala、Nu Genea、Khruangbin、Jungle By Nightなどから影響を受けているが、特定の音楽文化をそのまま再現するのではなく、さまざまなリズムやジャンルを自分たちの音楽として融合させることを目指している。

2024年には2作目のEP『Nightshade』を発表。2025年には初のフル・アルバム『Mountain Disco』をリリースした。同作では「Mountain Disco」という架空のクラブを舞台に、異なるジャンルの音楽が共存する世界を描いている。ライブでも楽曲を個別に演奏するのではなく、曲と曲をつなぎながら一つの長い旅のようなセットを構成し、観客をグルーヴとトランスの中へ引き込むことを目指している。

Cavolo Nero :
Daniel Hooglandt – keyboards, vocals
Jelle Crooijmans – guitar, vocals
Jens Dortmans – guitar
Chris Walthaus – bass, vocals
Daan van de Ven – drums, vocals
Omar Beganovic – percussion

Cavolo Nero - Mountain Disco
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