様々なジャンルの音楽が淡く混ざり合う、カナダのデュオ Violette & Jordan 最高のデビュー作『Dahlia』

Violette & Jordan - Dahlia

カナダ・ケベックの男女デュオ、ヴィオレット&ジョーダン『Dahlia』

カナダ・ケベックを拠点に活動する男女デュオ、ヴィオレット&ジョーダン(Violette & Jordan)が、デビュー・アルバム『Dahlia』をリリースした。

シンガー/ピアニストのヴィオレット・ラピエール(Violette Lapierre)と、ギタリスト/シンガーのジョーダン・オフィサー(Jordan Officer)によるデュオ。クラシック・ピアノを学び、ジャズやフォーク、ポップなどを背景に持つ女性ヴィオレット・ラピエールと、長年スージー・アリオリ(Susie Arioli)との活動で知られ、ジャズからブルース、アメリカーナまでを渡り歩いてきた男性ジョーダン・オフィサーという、世代も音楽的背景も異なる二人によるプロジェクトだ。

二人が初めて一緒に演奏したのは2023年。モントリオールのライヴ会場Lion d’Orの上階にある小さな練習室だったという。その後は定期的に集まって演奏と作曲を重ね、2024年には最初のシングル「Dis-Moi」を発表。約3年を経て完成した最初のアルバムが今作となっている。

サウンドの中心にあるのは、アコースティックなピアノとギター、そして2人の声。フォークやジャズを基調としながら、ブルース、カントリー、ソウル、ゴスペル、ブラジル音楽、クラシックなど、それぞれがこれまで親しんできた音楽が少しずつ自然と溶け合い、淡く優しい色合いの音風景をつくっている。歌詞はフランス語と英語で歌われており、例えば軽快なカントリー・ジャズのスタイルに乗る(3)「Feu feu」ではフランス語、ジプシージャズを思わせる魅惑的な(10)「I Wish I Would」では英語など、言語の選択も面白い。

(3)「Feu feu」

2人がこのプロジェクトの参考として挙げている顔ぶれも興味深く、今作の特徴をよく表しているようだ。
いずれも男女デュオで、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)&ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)、エリス・レジーナ(Elis Regina)&アントニオ・カルロス・ジョビン(Antônio Carlos Jobim)、イアン&シルヴィア(Ian & Sylvia)、そしてロバート・プラント(Robert Plant)&アリソン・クラウス(Alison Krauss)。それぞれジャンルは異なるが、いずれも二つの異なる声や個性が並び立つことで成立した音楽であり、それらが延長線上で混ざり合ったものがヴィオレット&ジョーダンの音楽性につながる。

その性格は録音方法にも表れている。本作はモントリオールのレコーディング・スタジオ「Treatment Room」で、4日間をかけて録音された。プロデュースを担当したのは、ベース/コントラバス奏者として演奏にも参加するモーガン・ムーア(Morgan Moore)。ミュージシャンは仕切られたブースではなく同じ部屋に入り、互いの演奏を聴きながら録音する方法が採られ、オフィサーのギター・ソロやラピエールのピアノ・ソロなどにも活き活きとしたライヴ感が感じられる。

(10)「I Wish I Would」

リズム・セクションにはムーアと、パトリック・ワトソン(Patrick Watson)との活動でも知られるドラマー/パーカッショニストのロビー・カスター(Robbie Kuster)が参加。そのほかメラニー・ベレール(Mélanie Bélair)によるヴァイオリンとストリングス、ジャン=フランソワ・ガニョン(Jean-François Gagnon)によるブラスなどが曲に応じて加わる。

先行シングル(4)「On partira」では、本作に流れるブラジル音楽への関心もわかりやすく表れている。ボサノヴァを思わせるリズムの上でフランス語と英語の歌が交わり、ピアノとギターもそれぞれにスペースを与えられている。一方、(8)「Isabella」はアコースティック・ギターを軸にしたフォーク寄りの楽曲で、同じ編成でも異なる側面を見せる。

フランス語で歌われる(11)「Mon cœur fou」はジャズ・スタンダードの名曲「My Foolish Heart」というタイトルの方が馴染みが良いだろう。比較的素直な再解釈で、歌も演奏も本当に素敵だ。

(11)「Mon cœur fou」

また、13曲のうちタイトル曲(6)「Dahlia」と(13)「A Place to Land」はインストゥルメンタル。
歌を離れてもなお、ラピエールのピアノとオフィサーのギターによる「対話」がこのデュオの核にあることを示す2曲となっている。

Violette Lapierre – vocals, piano, keyboards, arrangements
Jordan Officer – vocals, guitars, arrangements

Morgan Moore – bass, double bass, percussion, vocals, arrangements, production
Robbie Kuster – drums, percussion
Mélanie Bélair – violin, strings, string arrangements
Rebecca Officer – vocals
Jean-François Gagnon – brass
Warren Spicer – guitar, recording, mixing

Violette & Jordan - Dahlia
Follow Música Terra