モントリオールの5人組Zalam Kao、デビュー作『Tou Lumin』
ブラジル、アルゼンチン、ハイチ、チュニジアなど、異なる文化的背景を持つ若い音楽家たちによってカナダ・モントリオール(モンレアル)で結成された5人組、ザラム・カオ(Zalam Kao)。『Tou Lumin』は、2025年10月にリリースされた彼らにとって最初のアルバムだ。
メンバーはギターやミックスを担うクロヴィス・ラマール(Clovis Lamarre / Tchobis)、ヴォーカル/ラップのアントニオ・ドルサン・マニガ(Antonio Dorsaint Manigat / Ogou Rayfé)、ピアノ、管楽器、打楽器など様々な楽器をこなすモモ(MoMo / Mohamed Magri-Foughali)、ブラジルにルーツを持つギタリスト/ベーシストのルーカス・メロ(Lucas Melo)、作詞作曲/マルチ奏者エダイ・ラロビナ(Edaï Larobina)の5人。もともとそれぞれに音楽活動をしていた彼らは学校で知り合い、友人として交流を深め、のちに一緒に音楽を作ったことからグループでの活動が始まっている。
こうした5人が持ち寄る音楽語彙は幅広く、ジャズ、ファンク、ソウル、ヒップホップに加え、ハイチのコンパ、西アフリカン・ポップ、アフロビート、ブラジルやラテンアメリカの音楽などを内包。歌詞にもフランス語、ポルトガル語をはじめ複数の言語が使われており、多文化都市モントリオールらしい。
(1)「Tou Lumin」から、彼らの音楽的な特徴がよく表れている。
サンプリングされたと思しきダブルベース、ジャジーなピアノのコードが洗練された控えめなリズムに融合し、ラップやコーラスが乗る。ジャズ・ヒップホップの語法を用いながら、そのジャンルに留まらない魅力がある。
5人全員が作者としてクレジットされた(3)「Alhambra」に(4)「Planète Zedka」、フランス語とポルトガル語の歌が交わる(6)「Bombom」など、どの曲にも軽快なグルーヴと親しみやすいメロディーが通底する。(2)「Tournesol」には、アルゼンチン人の父とケベック人の母を持つガスペ出身のシンガーソングライター、ルアン・ラロビナ(Luan Larobina)も参加するなど、コレクティヴ的なところもありそうだ。
本作発表後の2026年には、Festival International Nuits d’Afriqueが主催するワールド・ミュージックのコンペティション「Syli d’Or」で優勝。結成からまだ日の浅いグループながら、地元モントリオールでも着実に評価を高めている。
異なる文化的背景を持つ5人が、互いの音楽を持ち寄りながら作り上げた『Tou Lumin』。
多彩なルーツを感じさせつつも、全編を通して肩肘張らない軽やかさがあり、Zalam Kaoというグループの魅力が素直に伝わってくるデビュー作となっている。