“文豪の玄孫”の二つ名はもう不要!? ヴィクトリア・トルストイ新譜『Stations』

Viktoria Tolstoy - Stations

ヴィクトリア・トルストイ新譜『Stations』

スウェーデンを代表する人気ジャズシンガー、ヴィクトリア・トルストイ(Viktoria Tolstoy)の3年振り新譜『Stations』は、ボブ・ディランの(5)「Million Miles」、イダ・サンドの(1)「I Should Run」や(3)「The Mind Is Free」、ナット・アダレイの(7)「Old Country」、ナット・サイモン(10)「Poinciana」など選曲も親しみやすい、驚きはないが上質なジャズ・ヴォーカル作品だ。
POPS寄りのジャズなので、普段あまりジャズを聴かない人にとっても聴きやすい作品だと思う。

バックバンドにはピアノにデビュー間もない俊英ヨエル・リュサリデス(Joel Lyssarides)、ギターにジャズやロック、プログレと幅広く活躍するクライスター・ヨンソン(Krister Jonsson)、スウェーデンを代表するベース奏者マティアス・スヴェンソン(Mattias Svensson)、そしてヤン・ラングレン・トリオの初代ドラマーとしても知られ、トルストイ作品への参加率も高いラスムス・キルベリ(Rasmus Kihlberg)というスウェーデンの一流奏者が集い、彼女の歌を完璧にサポートする(控えめながら、もちろん各自のソロもある)。

“文豪の玄孫”の二つ名はもう不要!?

ヴィクトリア・トルストイは1974年生まれのスウェーデンのジャズシンガー。音楽家であり音楽学者の父と、『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などの名作で知られるロシアの文豪レフ・トルストイのひ孫にあたる母の元に生まれた。
1994年のデビュー作『Smile, Love and Spice』や、1997年にジャズの名門ブルーノート・レコーズと契約し発表した『White Russian』などでは大いにこの“トルストイの玄孫(やしゃご)”という二つ名が喧伝され注目されたようだが、作品を聞いてもらえば分かるように、実力の備わったシンガーだ。
そして、おそらくは“運”も。

2017年のライヴ映像。
ギターのクライスター・ヨンソン、ベースのマティアス・スヴェンソンはトルストイ新譜『Stations』にも参加している。
Viktoria Tolstoy - Stations
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