ノルウェーの叙情派ピアノトリオ、新型コロナ禍で録音した新譜『End of Summer』

Espen Eriksen Trio - End of Summer

ノルウェーのピアノトリオが思慮深く奏でる“夏の終わり”

ノルウェーのピアニスト/作曲家エスペン・エリクセン(Espen Eriksen)率いるピアノトリオの通算5枚目『End of Summer』。“less is more(少ない方がいい)”をモットーとする彼らだが、聴いてみると意外と音数はあるぞ、という印象。それでも北欧らしくクラシックや民謡に強く影響されたと思われる素朴で親しみやすく、丁寧に紡がれる音楽は、しっかりと疲れ切った心を癒してくれる。

アルバムは全曲がピアノのエスペン・エリクセンの作曲。彼を中心に、ベースのラーシュ・トルモッド・ジェンセット(Lars Tormod Jenset)とドラムスのアンドレアス・バイ(Andreas Bye)が堅実な演奏で支える。

このような一貫して抑制された繊細な音楽に、余計な言葉は不要less is moreだ。もしあなたが日々の不安で押し潰されそうになり、疲弊し消耗しきっているなら、ぜひこの作品を聴いてほしい。(5)「Transparent Darkness」は、きっと心にかかったもやを取り払ってくれる感覚を味わえるはず。続く(6)「A Long Way From Home」には希望が表出する。失敗も成功も含めて、人生という旅を大いに楽しめばいいというメッセージが込められているように感じた。

(1)「Where the River Runs」のライヴ演奏。

エスペン・エリクセン・トリオは2007年に結成、2010年に『You Had Me At Goodbye』でデビュー。2018年作『Perfectly Unhappy』では英国のサックス奏者アンディ・シェパード(Andy Sheppard)とも共演し話題となるなど、独自の地位を築き世界的に高く評価されてきた。

本作は新型コロナ禍でロックダウンされた2020年4月に、ノルウェーの首都オスロで録音された。パンデミックのために彼らのコンサートはすべてキャンセルされたが、そのスケジュールの代わりに新作をレコーディングできたことはラッキーだったかもしれない。どんな絶望的な状況であろうとも、代わりの選択肢はいくらでもあるのだ。

Espen Eriksen – piano
Lars Tormod Jenset – bass
Andreas Bye – drums

Espen Eriksen Trio - End of Summer
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