新進気鋭の女性ジャズアーティストが多数集う、ティエリー・マイヤールの野心的なプロジェクト

Thierry Maillard - Caméléon

注目すべき女性ジャズアーティストを多数参加した注目作

フランスのピアニスト/作曲家ティエリー・マイヤール(Thierry Maillard)の新譜『Caméléon』は、7名の女性ヴォーカリストを含む総勢17名のミュージシャンが参加した意欲的なアルバムだ。

収録の楽曲群はいくつものレイヤーに重なる声(教会音楽的な部分もある)と現代的なジャズのアンサンブルで、なかなかありそうでなかった個性的な内容。ティエリー・マイヤールによる作曲・アレンジも変化に富み、変拍子の面白さや展開の妙が楽しめる。

演奏陣を眺めてみると、ピアノのティエリー・マイヨールと国際的なベーシストのクリス・ジェニングス(Chris Jennings)、ドラムスにヨアン・シュミット(Yoann Schmidt)を除くと他は全て女性ミュージシャンばかりだ。ときを同じくして新作をリリースしたばかりの今をときめくベーシストのセレーネ・サン=エメ(Sélène Saint-Aimé)や、ロシア出身でベルリンなどで実績を積んだサックス奏者オルガ・アメルチェンコ(Olga Amelchenko)、フランス発の大型新人SSWとして話題になったマエ・デゥフェイ(Maë Defays)、チェロのオリヴィア・ゲイ(Olivia Gay)、ギターのヴィルナ・ノヴァ(Virna Nova)といったスター性を秘めた顔ぶれがずらりと揃う。いずれも自らのグループを率いるリーダーとしての実力を持つメンバーばかりだが、そういった意味でも非常に注目すべきプロジェクトであることは間違いない。

アルバム『Caméléon』のEPK

Thierry Maillard プロフィール

ティエリー・マイヤールは1966年フランス・ピュトー生まれ。8歳で音楽を始め、14歳でパリの音楽院に和声、対位法、ピアノ、アコーディオンのクラスで入学し、17歳で教職を取得したという早熟ぶりを見せた。
ビル・エヴァンス、キース・ジャレット、ジャン・リュック・ポンティなどを通じてジャズに傾倒し、18歳で最初のピアノトリオを結成。このときのトリオはエギュイヨン・ジャズ・フェスティヴァルで優勝したが、このときの審査員が重い身体障害を背負いながらフランス最高のピアニストと称えられたミシェル・ペトルチアーニで、この出会いが後に彼に多くの扉を開くことになったという。

1998年にデニス・チェンバース(ds)、ジョン・パティトゥッチ(b)とのトリオ編成で『Paris, New York』でデビュー。以降もフランスを代表するピアニストとしてバリエーションの豊かな作品を発表し続けている。

Thierry Maillard – piano, compositions
Chris Jennings – double bass
Yoann Schmidt – drums
Sélène Saint-Aimé – voice, double bass
Maë Defays – voice
Louise Jallu – bandoneon
Olivia Gay – cello
Virna Nova – guitar
Olga Amelchenko – alto saxophone, soprano saxophone
Christelle Raquillet – flutes
Zoé Brocard – vocals
Amandine Bontemps – vocals
Sofie Garcia – vocals
Clémence Maucourant – vocals
Gladys Roupsard – vocals
Tiphaine Zerbib – vocals
Louise Chalieux – vocals

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